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2018年12月21日【オピニオン】

自動車ユーザーからの借金6994億円、次年度の返済額は37.2億円に

中島みなみ

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撮影=中島みなみ 

 

自賠責保険料運用益積立金から一般会計が借り続けている累積額は6994億円。今回は2019年度一般会計予算から、前年度比1.6倍の37.2億円を返済することに

 

2019年度の一般会計予算が21に閣議決定され、一般会計に貸し出された自動車ユーザーの自賠責保険料運用益積立金の一部が、今年度に引き続いて繰り戻される(=返済)ことになった。

 

返済額は37億2000万円。今年度の返済と比較すると1.6倍になる。伸び率でみると、返済への理解が進んでいることがわかる。制度に対する危機感を訴えていた「自動車損害賠償保障制度を考える会」(座長=福田弥夫日大危機管理学部長)は、今回の予算決定について「継続的な繰戻しと繰戻額の増額を求めてきた我々の要望に沿う結果として評価したい」と声明を出した。

 

自動車ユーザーの保険料は、被害者に対する保険金の直接支払いだけでなく、自動車事故の被害者の後遺障害の治療など専門的な療護施設の設置や運用、トラックやバスなど先進安全自動車の補助、衝突安全性能などの自動車アセスメント事業の費用を生み出すための運用資金としての役割がある。

 

撮影=中島みなみ

 

1994年から総額1兆1200億円が貸し出され、2004年から2017年まで返済が滞っていた。今年度14年ぶりに約23億円が返済されたが、それでも6994億円が貸し付けられたままだ。そのため財源となるべき運用益が得られず、資金を取り崩して被害者救済などを行っているのが現状だ。ただ、来年度の増額返済で積立金の取り崩し額は2018年度より3億円減、79億円に縮減することができた。

 

返すに返せないほど巨額な貸付金だったが、2年連続の返済と増額決定により、返済の道は拓けたとみられる。2019年度の要求で国交省は、今年度に上乗せする形の予算額確保を求め、それを財務省が認めた。

 

貸し出された自動車ユーザーの保険料を、どのように返済するかは、国土交通大臣と財務大臣との合意により決まる。石井国交相と麻生財相間の覚書は昨年、返済期限を2022年度までとしたが、その返済額については「毎年度の具体的な繰り戻し額については、被害者等のニーズに応じて、被害者保護増進事業等が安定的、継続的に、将来にわたって実施されるよう十分に留意しつつ協議の上で決定していく」ことで、毎年度の具体的な返済額は盛り込まれなかったが、ひとまず自動車事故対策事業の継続運営が危ぶまれる状況は避けられそうだ。( 中島みなみ・中島南事務所/東京 文京)

 

写真は、今年9月10日に都内で行われた「自動車損害賠償保障制度を考える会」での風景(佃モビリティ総研・片山雅美撮影)

 

(NEXT MOBILITY編集部)自賠責積立金を巡る経緯とその詳細については、2018年10月1日発行の弊誌「NEXT MOBILITY」06号・P64-65に「〝借りた金は返せ〟交通事故被害者救済のための自賠責積立金・約6000億円が一般会計?(佃モビリティ総研・片山雅美・上稿)」としても掲載している。同テーマについては、こちらも参照されたい。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。