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2019年5月2日【エネルギー】

デンソー、米マイクロモビリティシェア企業に出資

坂上 賢治

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デンソー・ロゴ

 

都市型MaaSを実現するため米Bond Mobility(ボンド・モビリティ)に出資しコネクティッド技術開発を加速へ

 

 株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:有馬 浩二)は5月2日、自らのMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の研究並びに開発を加速させるべく、マイクロモビリティのシェアサービスを提供するボンド・モビリティ社(Bond Mobility Inc./本社:アメリカ合衆国カリフォルニア州、CEO:Raoul Stöckle)への出資を発表した。(坂上 賢治)

 

 

デンソーは、予てより安心・安全で快適なモビリティ社会の実現に向けて、コネクティッド分野を技術開発の注力分野に据え、MaaS環境の実現に貢献するクラウド技術や車載技術など、多角的な要素技術の開発を行ってきている。

 

このなかでも特に移動体そのものに伴うMaaS領域に於いては、国内外の戦略的パートナーシップを積極的に進めることで、様々なサービス事業者のニーズや課題の把握を精緻に行い、市場ニーズ先行型の事業開発を推し進めている。

 

そうした折り欧州地域を含め世界各国の都市圏では、CO2排出と交通渋滞が深刻な社会問題となっており、同課題を解決する新たな移動手段としてマイクロモビリティシェアサービスの活用分野に大きな期待が寄せられている。

 

 

ちなみにこのマイクロモビリティシェアサービスとは、自動車より手軽かつコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の移動の足となる車両を選択して、特に都市部の移動ニーズを充足していくもの。

 

 今回デンソーが出資を行うとしたボンド・モビリティ社は、上記2倣い、現在スイスのチューリッヒ市とベルン市の2都市で、スポーツタイプの電動アシスト付高機能自転車の「eバイク」シェアサービス事業を展開している。

 

 

この電動アシスト付高機能自転車とは、別名スピード・ペデレック・エレクトリック・バイク(Speed Pedelec Electric Bike)と呼ばれるタイプの車両で、規制環境が厳しい日本国内事情とは異なり、最高時速45kmの高機能型eバイクのシェアサービスを選択。これを世界初で展開。

 

結果、従来の自転車シェアや電動スクーターシェアよりも広範囲な移動を実現していることから、サービス展開地域のユーザーから高い顧客満足を獲得している。

 

デンソーはこうした同社の活動を踏まえつつ、積極的な出資を実施することで、これまでの視野を超えて乗用車の枠内だけでなく2輪車なども活用した総合的な都市型MaaSのニーズや課題を抽出。これに関わる技術開発をさらに加速させていきたい意向だ。

 

 

 これに対してボンド・モビリティ社側では、共同創設者兼CEOのRaoul Stockle氏が「デンソーと共に進めるマイクロモビリティシェアサービスの組み合わせや、サービス拡張のついては、様々な事業のスタイルが考えられ、生み出されるアイデアは無限の可能性があります」と語りかけた。

 

さらに同社の共同創設者兼ビジネスディレクターであるKirt McMaster氏は「今回の出資を受けて、欧米に於けるシェアサービス事業を更に拡大・展させていくと共に、さらなる外部サービスとの連携や車両配置に加えて配車台数の最適化を進めていきたいと考えています。

 

それによって都市環境下でのマイクロモビリティシェアの新しいビジネスモデルの構築を模索し、引いては利便性向上と利用者の拡大に取り組んでいきたい」と結んでいる。

 

なおボンド・モビリティ社は3人の共同創設者によって2017年に設立。カリフォルニア州パロアルトとチューリッヒ(スイス)にヘッドオフィスを置いている。今回の高機能電動自転車によるサービスは、目下のところ都市交通を変えるだけでなく、郊外エリアに於ける利便性確保という面でも着実な影響を与えつつある。

 

同社では、8キロメートル未満の多くの移動に於いて既存の公共交通機関から置き換え可能な真の代替手段であると謳っている。

 

<Bond Mobility社の概要>
1.社名:Bond Mobility Inc. (ボンド・モビリティ)
2.設立年:2017年
3.所在地:米国カリフォルニア州Palo Alto市
4.社長兼CEO:Raoul Stöckle
5.事業内容:マイクロeモビリティシェアサービスの開発と提供

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。