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2020年3月31日【エネルギー】

デンソー、量子コンピュータを使う新型コロナ研究をサポート

坂上 賢治

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 カナダの量子コンピュータ開発企業であるディー・ウェイブ・システムズ(D-Wave Systems Inc.:本社:ブリティッシュコロンビア州、CEO:アラン・ブラッツ)は目下、自社開発した量子コンピュータを用いたクラウドサービス「Leap2」を世界に向けて展開している。そんな同社は今回、このソリューションを活用して、新型コロナウイルスの研究を行う企業や団体に対して、クラウドサービスの無償利用を促すプロジェクトを開始した。(坂上 賢治)

 

またプロジェクト始動に併せて同社は、過去に同社サービス利用の実績を持つ法人に対し、技術・運用面での支援を呼び掛け、これを受けた株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:有馬 浩二)は3月31日、同プロジェクトへの参加を表明した。

 現在、世界では人類に対する危機として立ちはだかっている新型コロナウイルスの完全終息に向けて、治療薬開発や感染抑止に向けた研究が鋭意進められている。そこでディー・ウェイブ・システムズは、カナダ政府の要請を受け、新型コロナウイルスに関わる研究を目的に、量子コンピュータ利用を希望する企業・団体に対し自社サービスを無償て提供することを決めた。

 

 一方、研究開発スピードの加速に期待が掛かる量子コンピュータは、利活用のための専門知識がどうしても必要とされる。デンソーは、これまで量子コンピューターを使った工場の効率化シミュレーションの実証実験など、多彩な研究を行ってきた。

 

具体的には、渋滞解消や交通問題などの社会課題を見据え、2017年にバンコクで豊田通商のシステムを搭載したタクシーのデータから配車のマッチングに関する検証で量子コンピュータを用いた施策を消化。

 

ほかにも生産現場のIoT化に向けて、自社工場内で部品などを運ぶ無人配送車の停止時間を極限まで短くするべく、量子コンピュータを活用して効率的な移動ソリューションを研究。約15%の稼働率向上を実現させている。

 

デンソーは、このような量子コンピュータに関する応用力や計算式算出に係る知見を、世界のコロナウイルス研究の加速に役立てるべく、量子コンピュータに入力する定式化や解析スピードを高速化させていくための技術支援を行う。

 

 

 このプロジェクト参加についてデンソーの有馬浩二代表取締役社長は 「コンピューティング技術は、科学技術や産業の発展に貢献してきました。

 

量子コンピューティングは、 さらなる発展に貢献できる技術として期待されており、デンソーはその研究を続けてきた実績があります。

 

今回は、世界中で新型コロナウイルス対策に携わる多くの研究者や開発者が、ディー・ウェイブ・システムズによる量子コンピュータ ーの無償提供を即座に利用開始できるよう、技術支援のプロジェクトに参画し、デンソーのスピリッ トである総智・総力で新型コロナウイルスによる危機の回避と世界の継続的な発展に貢献したいと思います。

 

世界の知恵を結集させることで、この困難は必ず乗り越えられると信じています」と語った。

 

 一方、ディー・ウェイブ・システムズのアラン・ブラッツ(Alan Baratz)CEOは「私たちは、ほぼすべての産業と人口に影響を与える未曾有の危機に瀕しています。

 

 

お客様やパー トナーの専門知識を当社のハイブリッド量子コンピューティングと組み合わせることで、世界中の個 人、組織、政府が迅速かつ共同で解決策を構築するための強力なリソースを提供できると考えています。

 

 

デンソーの研究チームは、当社の量子コンピューター利用に精通しています。我々は量子システムに関する専門知識を結集し、新型コロナウイルスに対応する皆様を支援します。

 

このプ ロジェクトを通じ、我々のの最新サービス「Leap2」に無償でアクセスできるようになり、古典的コン ピューターと量子コンピューターを組み合わせたハイブリッドソリューションを迅速に使うことができるようになります」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。