4輪レース最高峰フォーミュラワン( F1™ )レースの興行権を持つ米リバティ・メディア・コーポレーション/Liberty Media Corporationは4月1日( 米国コロラド州イングルウッド発 )、MotoGP™世界選手権の独占的商業権所有者のドルナ スポーツ,S.L. /Dorna Sports, S.L.を買収する契約を締結したことを発表した。( 坂上 賢治 )
MotoGPはオートバイレースの最高峰であり、時速360キロ超の最高速度と60度超えのリーンアングルで繰り広げられるスリリングなレース運びが魅力だ。そんなMotoGPは、かつてヨーロッパ全土に於いて6ラウンド程度で開催されていた1949年頃から大きく成長。今や2024年シーズンでは、世界17か国で21レースが開催されている。
そんな同事業は、高いEBITDA(イービットディーエー/Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization/税引前利益に支払利息と減価償却費を加えて算出される利益)マージン、低い資本集中性により大幅なフリーキャッシュフローをもたらす魅力的な財務プロファイルの恩恵を受けているものの、同選手権の運営自体は、買収後もドルナのCEOを務める(1994年以来)カルメロ・エスペレータ氏が、引き続きマドリッドに本社を置き事業を進めていく構えだ。
同買収についてリバティ・メディアの社長 兼 最高経営責任者( CEO )のグレッグ・マッフェイ氏は、「MotoGPの買収により、主要なライブスポーツとエンターテインメント資産のポートフォリオを、更に拡大できることに心から、わくわくしています。
MotoGPは熱狂的なファン、魅力的なレース、そして高いキャッシュフローを生み出す世界的なリーグ戦であり、カルメロ氏と彼の経営チームは長年、世界の幅広い視聴者へ訴求できる素晴らしいスポーツスペクタクルを提供してきました。
一方で、このビジネスには、大きな成長因子がまだまだ内包されており、ドルナと共に我々はMotoGPファン、チーム、商業的パートナー、更に株主のためにこのスポーツをより大きく成長させていくつもりです」と述べた。
対してドルナのカルメロ・エスペレータCEOは、「これはMotoGPを、より大きく進化させていくための新たなステップであり、我々がMotoGPパドック、そしてレースファンに、どのような付加価値を提供することができるのか。MotoGPの将来の姿を思い描き、未来への夢を馳せているところです。
私たちは、世界的なスポーツに育てあげてきた自社の経営手法に誇りを持っており、この取引に至ったことはモータースポーツの普遍的な価値と、成長性の高さを証明しています。
そしてリバティ側は、伝統あるスポーツ資産を大きく育て上げることについて輝かしい実績を持っており、更なるMotoGPのファン獲得するための計画策定にあたって、リバティ以上のパートナーは望めません」と契約の合意について説明している。
なお今合意についてリバティ・メディアの社長兼最高経営責任者(CEO)のグレッグ・マッフェイ氏と、ドルナの最高経営責任者(CEO)のカルメロ・エスペレータ氏は、2024年4月1日午前8時30分(東部時間)/午後2時30分(中央ヨーロッパ時間)に投資家向け電話会議を主催し、買収について更に詳しく話し合うとしていた。
加えて以下は、財務面の説明となるがリバティ・メディアは、MotoGP株式の86%を取得。MotoGP経営陣は同事業の株式の約14%を保有することになる。この取引は、MotoGPの企業価値 42億ユーロと株式価値35億ユーロを反映しており、MotoGPの既存の負債残高は取引完了後も維持されることが予想されている。
また売り手への株式対価は、現金約65%、シリーズCリバティ・フォーミュラワン普通株式( ナスダック:FWONK )の株式21%、MotoGP経営陣の保有株式14%で構成される見込みだ。
現金対価は、市場の状況に応じて現金と負債の組み合わせで賄われる。 FWONK株式の対価は、取引完了前に20日間の出来高加重平均価格に基づいて決定される。加えてリバティ・メディアは独自の裁量により、FWONK普通株式の代わりに追加の現金を交付するオプションも保有している。
最後に同買収は2024年末までに完了する予定で、その過程では、様々な管轄区域の競争法および外国投資法当局による認可と承認の受領が条件となる。
買収交渉では、リバティ・メディアの財務顧問を務めるGoldman Sachs & Co. LLC( ゴールドマン・サックス )が同取引に対してコミットメントされた債務融資を提供しており、O’Melveny & Myers LLP( オメルベニー&マイヤーズ )が法律顧問を務める。一方でドルナの財務顧問をMoelis & Company LLC( モーリス&カンパニー )が務め、Latham & Watkins LLP( レイサム&ワトキンス )が法律顧問を務める。