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2024年3月14日【イベント】

グラフィットの特定原付、クラファン始動2時間で1千万円突破

坂上 賢治

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自転車に近い乗り心地は老若男女問わずに利用ハードルが下がる

 

glafit( グラフィット / 本社:和歌山県和歌山市、代表取締役CEO:鳴海 禎造 )は3月14日、特定小型原動機付自転車( 特定原付 )タイプの新しい電動バイク「電動サイクルNFR-01Pro( エヌエフアールゼロイチプロ )」を同日8:00から応援購入サービス(クラウドファンディング)「Makuake( マクアケ )」にて先行予約販売を行い、開始2時間後の10時現在での累計受注額が1,000万円を突破した。

 

そんな「NFR-01Pro」は、昨年の道交法改正により生まれた新車両区分「特定原付」に係る新しい乗り物ではあるが、 今回のglafit発の特定原付は、他社の特定原付でよく見る立ち乗りの電動キックボードタイプではなく、着座式の自転車スタイルが採用されている。

 

それは、電動の手軽な乗り物への関心はあっても、なかなか自身のライフスタイルへ取り入れるにはハードルが高いケースもあるためとしている。詰まる所、着座式は自転車に近い乗車姿勢で乗れるため、〝自分にも乗れるかな?〟という操作上の不安が軽減されるからだ。また、平均的な電動キックボードに比べて、装着タイヤが大径であるため、段差を乗り越える際にも姿勢を崩すことなく安定している部分も美点だ。

 

一方で見た目通りの気軽な。出で立ちを勘案すると、「NFR-01Pro」は自転車のように見えるが、〝絶対性能は電動バイクという〟いいところ取りとなっている。要は「NFR-01Pro」は、16歳以上の学生の通学にも、免許返納後のシニアにも、幅広く受け入れられる新しいパーソナルな「電動サイクル」の姿なのだとglafitでは説明している。

 

つまりglafitが提案する「電動サイクル」とは、動力源として電力を利用する〝電動( motor )〟に、手軽な〝自転車(cycle)〟であることを掛け合わせた造語だとした。 

 

そんなNFR-01Proは、OpenStreetとの業務提携から生まれた

 

左、glafit 代表取締役CEO 鳴海禎造 右、OpenStreet 代表取締役社長CEO 工藤 智彰

 

そんなglafitと、国内最大級のシェアモビリティサービス事業「HELLO CYCLING」を展開するOpenStreetが連携。新車両区分の特定小型原付車両の共同開発に取り組んだのは昨年の話だ。

 

実は今回の「NFR-01Pro」を開発するアイディアは、その協業から生まれたのだという。実際、2023年10月の「Japan Mobility Show2023」に特定小型原付のコンセプトモデルを共同出展した際、1万人を超えるブース来場からシェアリング開始への期待のみならず、新たな特定原付に対して一般販売して欲しいとの要望が多数寄せられたのだ。

 

その後、「HELLO CYCLING」では2024年1月30日から千葉市や、さいたま市に於いて国内初の座り乗り2輪タイプの「特定原付」のシェアリングサービスとして、glafitが提供する「電動サイクル」を使うシェアリングサービスが開始された。

 

そんなシェアサイクル向け研究開発の過程で取り組んだ「高耐久性」への努力や、「先進のIoT技術」に係る技術県境の成果をそのまま活かしたのが「NFR-01Pro」だった。その文字通り贅沢な最スペック車両であることが、その名前に冠された「Pro」の由来となったのだ。

 

提供車両のシェアリング利用では、若者から年配者まで幅広い層が利用するため、使い易い形状や操作方法などを細部まで拘った。またシェアリング利用上の過酷な環境下でも耐えられる絶対性能も追い求めた。

 

それゆえ「NFR-01Pro」は、長く使って貰う事が車両開発の前提となっている。従って他社の特定原付車両は6ヶ月~1年のメーカー保証が多いのに、「NFR-01Pro」はメーカー保証を2年としている。更に今回マクアケを介した販売車両では、更に1年の延長保証と充実のアフターサポートとなる「NFR-01Pro向けプレミアム保証」を付与している。

 

そんな電動サイクルNFR-01Proの特徴は以下の通り

 

1.漕がずに進む電動サイクルが日常の移動を便利に楽しくする
– シンプルな操作性で誰でも簡単に乗れる – 

 

特定原付は20km/hの巡航走行では車道などを走行可能だ。バイクのようにスロットル形状のアクセルを回すだけで簡単に走行できる。そうしたなかで最も大事なことは、16歳以上であれば免許不要で乗れることから極力、操作性をシンプルに仕立ててることこそが大事だという。

 

右手側のアクセルスロットルを回すだけで走り出し、ブレーキは自転車と同じ操作方法で前後のディスクブレーキが作動する。ペダルもクランクも無く、足元は漕がずにステップ上に足を置くだけだ。6kmの低速モードで走るんら歩道走行も可能。それゆえオリジナルのメーター表示は、できる限りシンプルさに拘った。歩道通行モードと車道モードとの切り替えも判り易い配慮が施されている。

 

ウインカー一体型の最高速度表示灯が前後に点灯する

 

歩道走行モードでは自転車歩行者道を走行可能。なお歩道走行モードでは最高速度標示灯が点滅する。

 

先の通り、20km/hでの車道走行モードと、6km/hで歩道走行モードのメーター表示は直感的に判り易いデザインとしており、止まった状態でボタンを1回押せば、最高速度標示と連動してモードの切り替えが簡単に行える。このメーター表示のデザインや操作性は、何度も試作を重ねて作りこんできたglafit独自の拘りだという。

 

漕がずに坂道を登れるパワフルさ

 

ペダルを漕げないと不安な気持ちになる登坂性能は、電動アシスト自転車では立ち漕ぎをしてなんとか登れるような坂道も難なく登っていく。それはオリジナル設計の高性能BMS(バッテリーマネジメントシステム)を搭載した48Vのバッテリーと、速度域20㎞/hに最適設定した低中速域高トルク型チューニング、そして定格出力500wのインホイルモーターの採用で、ペダルレスでも力強い走行が可能になったためとしている。

 

漕がずに進む電動サイクルが日常の移動を便利に

 

近所にちょっと出かける〝チョイノリ〟時はもちろん、一貫して自転車のように漕ぐ必要がないので、汗をかかずに通勤利用もストレスに縛られず爽快。また自転車で起こりがちなチェーンへの巻き込みや、漕ぐ時に裾がめくれ上がってしまう事などからも開放される。スカートやワイドパンツであっても乗車も可能なので、オシャレを楽しみたい女性にも薦められるとglafitでは説明している。

 

高齢者の免許返納後の身近な移動手段として

 

また、ここ数年、高齢者の免許返納が進み、返納後の移動手段として多くの高齢者は自転車の利用を選択するものだ。しかし高齢者の自転車運転で問題となっているのが、漕ぎ出しの踏み込みでバランスを崩すことによる不安定さだ。

 

脚力不足による漕ぎ出しの不安定さは、転倒事故の発生率が高いことがあるそうだ。そうした場面で漕がずに済む電動サイクルは、立ち上がり加速はスロットル操作のみのため、脚力を必要とせず、高齢者でも乗り易いとしている。

 

2.ふたつの充電スタイルが可能。着脱しやすいバッテリー設計

– 毎日使うからこそ脱着を簡単に – 

 

毎日の充電は、自宅で簡単に行えるよう着脱をワンタッチで行える設計にした。鍵を開けたらワンプッシュで引き抜け、装着も同様に押し込むだけ。誰もが簡単に素早くできる。

 

充電方法は2way、状況に合わせて選べる

 

車体にバッテリーを付けたまま給電口に充電器を差し込む  
またはバッテリーを車体から取り外しての充電も可能

 

繰り返すと充電手段は先の通りの二通りだ。ひとつは、車体からバッテリーを外すこみとなく給電口に充電器を直接挿して充電する。もうひとつはバッテリー本体を取り外しての充電する方法となる。車両の保管場所やTPOに合わせて充電方法は選べる。エンジン駆動ミニバイクとは違うから、わざわざ給油に行く時間も掛からず、自宅の100Vコンセントに繋げば良い。

 

1回の充電で走れる走行距離は40km走行程度か

 

そもそも特定原付の場合は、ペダルを漕いで加速させて万が一にも20km/hを超えてしまうと法律の要件を満たさなくなってしまう。従って基本的にペダルはない。要は人力で漕くことができないからこそglafitは、1回の充電での航続距離に関して慎重に検討したようだ。

 

結果、「NFR-01Pro」では1回の充電で40kmの走行できるようにしている。なので近隣の買い物や用足しといった短時間利用の他、自転車で行くには少し大変かな、と考えがちな中距離利用にも使えるスペックを有しているから、普段の移動範囲を拡げられるという。

※定地走行試験値:46㎞ 
※定地走行試験条件…60Kgの人がサーキットコースの平坦路で走行した性能を測定

 

40kmの距離を具体的に可視化すると図のようになる。

3.コンパクト設計で室内保管や車載もできる
– ペダルの折りたたみが実は便利!壁に寄せて置ける –
ハンドルポストと足置きのペダル部分がワンタッチで折りたたみできるのも開発に於ける拘りで、保管時には非常にコンパクトになる。折りたたむことで壁に寄せておくこともでき、玄関スペースやマンションの廊下など、限られたスペースでの保管も問題がない。

4.コンパクトなサイズ感+折りたたみで車載もOK

全長1,300mmと軽自動車の車幅に収まるサイズとハンドルポストの折りたたみで、コンパクトカーのトランクやシートの間にも車載できる。急な雨や帰りが遅くった時のお迎え時に、さっと車に収納できるのは便利だろう。

 

 

また、自宅の部屋に「NFR-01Pro」を持ち込む時にエレベーターを使う場合にもコンパクトな車体サイズが重宝する。マンションなどにある6人乗りの小型エレベーターにも、そのまま車両を積載でき、上り下りのストレスも無くなる。※但しマンション内エレベーター利用については管理規約を確認されたい。

 

5.<国内初>4G LTE通信内蔵特定原付は、スマホアプリで愛車を遠隔管理
加えてかつてGFRシリーズでは、Yubi-Lockをいち早く採用してきたが、今回は更に機能をアップさせ最新IOT技術を搭載した。

 

スマートアプリでできること
(1)glafit Ride Start Systemについて
スマートロック&アプリを通じて、特定原付の販売ガイドラインを遵守するにあたり、年齢確認やナンバー登録、自賠責保険加入の登録ができない限り車両の電源が入らない。

 

また乗り始めのテストの実施をするなど、誰にとっても乗り出しがスムーズになるようにサポートしている。これは、購入した顧客がルールを守り、更には安全に利用して貰えるために特定小型原付の事前準備がスマホアプリだけでできるようにした。

 

スマートアプリでできること
(2)4G LTE通信内蔵

「NFR-01Pro」は通信機能を持っているから、アプリから愛車の状態を常時遠隔管理できる。つまり乗り続けるために必要な管理がスマホを通じて行える。

a. バッテリー残量の可視化
 現時点でのバッテリー残量をパーセンテージで表記(充電率)

 

b.バイクの位置情報表示
バイクの位置情報をアプリで確認可能。遠隔でリアルタイムのバイク位置情報を確認できるので、バイクが見当たらない時に国内のどこにあるか今の位置情報が分かる。

 

c.アプリでの鍵の解錠
 アプリのボタン操作で解錠できる。

 

スマートロックでできること
– 専用のICタグ及びSuicaなどのNFCで車両のロックを解錠可能 –
ロックの解錠と同時に電源が連動。OpenStreet社へのシェアリング車体提供で培った技術を一般販売車両へ活かした。glafitのサードプロダクトである「電動サイクル NFR-01Pro」は、2022年12月に国内最大級のシェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」を展開するOpenStreet(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO:工藤 智彰)と業務提携を行い、「自転車のように手軽にバイクのように遠くへ楽しく移できる世界」の実現を目指し特定小型原付車両を共同開発してきた。

 

また気になるカラーバリエーションは、開発時を介して人気1位のMatt Blackと女性に人気のLatte Beigeが用意されている。

 

車両スペック

 

Makuakeプロジェクトの情報
プロジェクトページ
https://www.makuake.com/project/glafit_nfr_01pro/
期間:3月14日8時~5月30日18時まで

 

なお4月より全国各地でNFR-01Proの試乗会を実施予定としておりglafitでは、「どれくらい乗れるのかな。近くの坂を登れるかななど、購入を悩まれている方は、試乗会にてNFR-01Proを実際に手に取って体感して下さい」と呼び掛けている。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。