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2019年3月1日【オピニオン】

高速120km/h引き上げ試行スタート、岩手県と静岡県の一部で

中島みなみ

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 3月1日朝10時から、岩手県内の東北道、静岡県内の新東名の約80km間で、高速道路史上初の最高速度120km/hに引き上げられた。1年間は安全性検証のための試行が続く予定だ。

 

東北道の試行区間は花巻南IC~盛岡南ICの約50km。新東名は新静岡IC~森掛川ICの約30km。当日の東北道の実施区間付近は天候が安定し路面には降雪がなかった。また新東名は実施区間以東で雨が降っていたが、実施区間では晴れ間も見えた。両区間ともに天候に恵まれ、10時に110km↓120km/hに移行した。

 

新東名藤枝パーキングエリアで運転者に注意を呼び掛ける静岡県警

新東名藤枝パーキングエリアで運転者に注意を呼び掛ける静岡県警

 

 高速道路の最高速度100km/hを超える実証検討は2017年からスタートした。静岡県で11月に、岩手県で12月に、最高速度110km/hの引き上げ試行に入った。両県警では、それぞれ1年間の状況を、実施区間で発生した事故や引上げ前後の実勢速度を検討した結果、両県ともに速度引き上げが原因となる物損、人身事故はなかったと結論づけた。段階的に120km/hまで引き上げる方向性は、試行実施前に警察庁が示している。

 

岩手県警・高速道路交通警察隊は毎週水曜日を運転者への注意を呼び掛ける日に定めている。2月は120km/h試行区間に関係する盛岡南IC、北上IC、盛岡ICで高速道路を利用しようとする車両に注意を呼び掛けた。また、3月1日は紫波SAで、東日本高速と共にチラシなどを配布した。

 

静岡県警は1日に、静岡SA下り線、藤枝PA上り線、遠州森町上下線で運転者に引き上げを伝えるチラシなどを配布。
「必ずしも120km/hで走行する必要はなく、交通状況や天候に応じた速度で、法規を守って運転してほしい」(高速道路交通警察隊・奥野仁新静岡分駐隊長)と、注意を呼び掛けた。

 

「車線変更には早めのウインカー、後方の安全確認の徹底で、余裕を持った運転操作を」と注意を呼び掛ける静岡県警高速道路交通警察隊・奥野仁新静岡分駐隊長

「車線変更には早めのウインカー、後方の安全確認の徹底で、余裕を持った運転操作を」と注意を呼び掛ける静岡県警高速道路交通警察隊・奥野仁新静岡分駐隊長

 

また、最高速度120km/hでも、大型トラックや一部の中型トラックは最高速度80km/hのままだ。速度差40km/hになる。
「一番右側は追越のための車線。遅い車の追越以外の走行は控えてほしい。また、車線変更には早めのウインカー、後方の安全確認の徹底で、余裕を持った運転操作をお願いしたい」(前同)

 

3月1日午前10時に東北道、新東名で一斉に切り替えられた120km/hの最高速度表示

3月1日午前10時に東北道、新東名で一斉に切り替えられた120km/hの最高速度表示

 

 岩手、静岡の両県警は速度超過、通行帯違反、車間距離対策を重点に、110km/h引き上げ時と同様の取締り強化を維持。大型車両専用通行帯の設置などの対策も講じる。( 取材/執筆/写真撮影、中島みなみ・中島南事務所=東京 文京)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。