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2022年9月5日【イベント】

ハイパーカーGR010 HYBRIDが初の富士凱旋レースへ

坂上 賢治

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FIA世界耐久選手権(WEC)が3年振りに富士スピードウェイで開催される。この第5戦でTOYOTA GAZOO Recing(TGR)のハイパーカー「GR010 HYBRID」がホームコースの富士スピードウェイで初レースに挑む。

 

シリーズは前戦モンツァから約2か月のインターバルを経て日本に舞台を移す。これにより2022年シーズンのWECも全6戦中、残すところ2戦。今回の第5戦は、6時間レースとして静岡県の富士スピードウェイで行われる事になる。富士スピードウェイは、東京から西に100kmほどの富士山麓に位置し、WECのレースが行われるのは2019年以来。TGRはこのホームコースでの5連覇を目指す。

 

 

ちなみに2020年シーズンのWECは、ここまでの4戦で激しい接近戦が繰り広げられた。7月にイタリア・モンツァで行われた第4戦終了時点で、TGRはマニュファクチャラーズランキングで2位のアルピーヌに15ポイント差の首位に付けている。

 

一方で今季ル・マン24時間を制したセバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手がドライブするGR010 HYBRID 8号車は、前戦モンツァで2位フィニッシュを果たし、ドライバーズランキングでは首位を走るアルピーヌに10点差の2位。

 

対して2021年のWECチャンピオン、小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ホセ・マリア・ロペス選手がドライブする7号車は、他車との接触により3位に終わった。

 

またTGRにとって富士でのWEC戦は、単なるホームレースであるという事以外に、車載のパワートレーン自体が富士スピードウェイ近隣の東富士研究所で開発・製造されているため、東富士の仲間達にとっては、GR010 HYBRIDがレースで戦う姿を初めて目にする機会でもある。

 

そんな車両の披露は、9月9日(金)のそれぞれ90分間・2度の公式練習セッションから。翌10日(土)は、午前中の最終練習走行で予選及び決勝レースへの準備を整え、午後3時よりハイパーカークラスの予選が行われ、11日(日)の日本時間午前11時に6時間で争われる決勝レースのスタートが切られる。

 

 

小林可夢偉(チーム代表 兼7号車 ドライバー)
 日本のファンの皆様の前で、やっと初めてGR010 HYBRIDが実際にレースを戦うところを見て頂ける事になり、とても興奮しています。

 

ここ数年WEC日本ラウンドがなかったのは残念でしたが、それだけにこの週末は特別なものになります。レースだけでなく、トヨタ自動車の仲間、特に東富士のGRパワトレ開発部のメンバー、そして、日本のパートナー関係者などチームにとってとても大切な皆様とお会いできる機会でもあり、いつも支えてくださっている方々にお礼の言葉を届けたいと思っています。

 

今季の戦いでは、前戦のモンツァで速さが足りず、残念ながら勝利を逃してしまったので、更に強くなって富士に挑む必要があります。もちろん、我々の目標はチームとして両タイトルを勝ち取る事ですが、この週末の勝利も望んでいます。

 

ハイパーカーのバトルは激化しており、レースはチャレンジングな混戦になるでしょうが、それがチームをより強くしてくれます。日本のファンの皆様の前で、表彰台の中央に返り咲くべく全力を尽くします。

 

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
 モンツァでのレースから随分時間が経ったように感じますが、その間にリフレッシュして充分な準備と共に、残り2戦に立ち向かいます。我々7号車にとってはこれまでのところ、ベストなシーズンとは言い難い状況ですが、全力でプッシュを続け、クリーンなレースで富士ではトップ争いをしたいと思っています。

 

富士は我々のホームレースであり、これまでに多くの勝利を重ねてきたので、今年もその再現を願っていますが、それが簡単でないことはモンツァで証明されました。ハイパーカーの競争レベルはより厳しいものとなっており、何よりも8号車はいつも最強のライバルです。日本のファンの皆様に最高のレースを見て頂くべく頑張ります。

 

ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)
 また日本に行くことが出来るのを嬉しく思います。レースをするのにも素晴らしい場所ですし、何より日本の熱狂的なモータースポーツファンの皆様と過ごす事が出来るのは最高です

 

TOYOTA GAZOO Recingのホームである日本にチームの一員として訪れる事で、なかなかヨーロッパのレースには来るのが難しい日本の多くの仲間と会うことが出来る特別なイベントでもあります。

 

富士は素晴らしいサーキットで、私自身レースでの良い思い出があります。長いストレートを持つレイアウトは、高速性能に優れる我々のクルマに合っていると思いますし、力強い戦いが出来る週末になると思います。

 

 

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
 富士は我々にとって特別なレースであり、私自身幸運にも3勝を挙げているので、個人的にも相性の良いサーキットです。当然チームにとってとても重要なレースであり、2019年以来のWEC戦という事もあり、ホームレースである富士では力強いレースをする事が重要です。

 

東富士の仲間はチームにとって大きな存在なので、彼らと再び会えるのも楽しみですし、彼らと好結果を祝えるよう全力を尽くします。今シーズン、ハイパーカーの競争は激しさを増しているので簡単ではないでしょうが、正しいセットアップを見出し、クリーンなレースを戦わなくてはなりません。

 

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
 我々が2019年に勝利を挙げて以来、随分間が空いてしまっただけに、ようやく富士に戻れる事に興奮を抑えきれません。熱狂的な日本のファンの皆様はいつも独特の雰囲気を生み出してくれますし、何よりもTOYOTA GAZOO Recingにとってのホームイベントという事で、本当に歓迎されている事を感じます。

 

富士は有名なロングストレートを持つコースなので、GR010 HYBRIDであの1.5kmのストレートを全開で、母国ファンの前で走るのは本当に素晴らしい気分になると思います。シーズンも残すところ2戦となりますが、ドライバーズ選手権では首位を10ポイント差で追っているので、目標はその差を縮めることであり、勝利でそれが叶えられれば最高です。

 

平川 亮(8号車 ドライバー)
 富士ラウンドは私にとってWECで初めての母国開催レースであり、日本のファンの皆様の前でレースをするのを本当に楽しみにしています。私自身はSUPER GTやスーパーフォーミュラ、それ以前のジュニア時代から数多く富士でレースを戦ってきていて、WECシリーズの他のどのサーキットよりも富士の事はよく判っています。

 

そして、何度も良いレースを戦い、今季も既に勝利を挙げているので、今週末に向けては十分に準備が出来ていると感じています。シーズンは残り2戦となりますが、我々はドライバーズ、マニュファクチャラーズの両選手権でタイトルを争っており、富士でもプッシュを続けます。我々の目標は明確で、また勝つために、最大限の努力をするだけです。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。