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2023年6月9日【経済・社会】

J.D. パワー 2023年中国新エネルギー車商品魅力度調査

坂上 賢治

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デザイン、燃費/航続距離が消費者体験のカギ

 

CS(顧客満足度)調査のJ.D. パワーは日本時間の6月9日、J.D. Power 2023 China New Energy Vehicle–Automotive Performance, Execution and Layout (NEV-APEAL) Study℠(2023年 中国新エネルギー車商品魅力度調査)の結果を公開した。

 

中国の新エネルギー車(NEV)は、この1年でめざましい発展を遂げている。商品魅力度の指標となるAPEALインデックスの業界平均スコアは776ポイントで、前年比+37ポイントとなった(1,000ポイント満点)。

 

NEV市場の急速な発展は、政策主導から製品主導に変化していることを示唆している。特に海外メーカーが力強い成長を示し、海外メーカーの平均スコアは前年比+40ポイントの784ポイントと、2年連続で中国振興メーカーの平均スコア(781)を上回った。

 

中国振興メーカー各社、速いペースで新製品の販売を促進

 

従来の中国メーカーの平均スコア(773)も大きく向上し、前年比+42ポイントの大幅増となった。OEMブランド間では、総合APEALスコアの差が1桁台まで縮小し、競争の激化が示唆された。

 

カテゴリー別では、11カテゴリー中、”exterior(外装)”に対する総合満足度が807ポイントでトップとなり、”fuel economy and driving range(燃費/航続距離)”が780ポイントで2位となった。

 

この結果には、NEVのデザインと燃費に対するユーザーの意識が反映されており、今後、航続距離に対する不安が徐々に軽減されることが予想される。

 

”infotainment system(インフォテインメントシステム)”(764)、”driving feel(ドライビングフィール)”(765)、”charging experience(充電)”(765)に対する満足度が、前年からわずかに向上した。

 

女性の買い物客にとっての決定要因はデザイン

 

2022年は中国振興メーカーが販売するモデルの半数以上(53%)が新型モデルであり、中国振興メーカーの売上シェアの66%を占めていた。これらの新型モデルの総合満足度は既存モデルよりも14ポイント高い788ポイントとなった。

 

NEVの購買段階において、女性が最終的な購入決定を下す際の主な決定要因となっているのは製品のデザインである。本調査で、女性の買い物客が他のモデルと比較検討して購入決定した理由のトップは「他モデルよりも優れた外装(31%)」であった。

 

NEVの購入をやめた理由のトップは、「見た目が期待外れ(23%)」であった。女性顧客にとっては、製品のデザインが意思決定において重要な役割を果たしている。

 

日系メーカーは激しい潮流から遅れをとり、上位に食い込むことが出来ない

 

J.D. パワー ジャパン 代表取締役社長 兼 オートモーティブ部門 部門長 山本浩二氏は 現在、中国のNEV市場は急成長しており、特に急激に進むEVシフトの状況に世界が注目している。

 

中国系の既存メーカーも新興メーカーも、積極的に車両の電動化に投資をし、着実にEVの競争力を向上させており、今回のNEV-APELの結果を見ても上位に多くの中国メーカーが並んでいる。

 

一方で、日系メーカーはこの激しい潮流から遅れをとり、今回のNEV-APEALでも上位に食い込むことが出来ていない。

 

今後、日系メーカーのEVがこの潮流に乗って中国市場で競争力を確保していく為には、お客様の声をしっかり捉えながら、魅力的で高品質のEVを発表していけるかがポイントになると言える」と述べている。

 

J.D. パワー 2023年 中国新エネルギー車商品魅力度調査SM、各部門のNo.1を発表

 

【セグメントアワード】(対象36ブランド76モデル ※うち53モデルは不十分サンプル)
スモールBEVセグメント:Geometry E(幾何E)
コンパクトBEVセグメント:Aion Y/Y Plus(埃安 Y/Y Plus)、BYD Dolphin

 

 

ミッドサイズBEVカーセグメント:BYD Han BEV
ミッドサイズ/ラージBEV SUVセグメント:XPeng G9(小鵬 G9)

 

 

プレミムBEVセグメント:NIO ET7(ニーオ ET7)
マスマーケットPHEVセグメント:DEEPAL SL03(深藍SL03)

 

プレミアムPHEVセグメントとMPV BEVセグメントは社内基準を満たさなかったため本年は不成立。

 

J.D. パワー 2023年 中国新エネルギー車商品魅力調査℠概要
年に一回、新車購入後2~6ヶ月経過したユーザーを対象に、所有する新エネルギー車の商品魅力について11カテゴリー* 45項目の評価を聴取。回答結果を元に1,000ポイント満点で商品魅力度スコアを算出。

 

 11カテゴリー:Exterior(外装)、 setting up and starting(車両設定/始動)、 getting in and out(乗降性)、interior(内装)、performance(性能)、driving feel(ドライビングフィール)、 keeping you safe(安全性)、infotainment(インフォテインメント)、driving comfort(快適性)、fuel economy and driving range(燃費/航続距離)、 charging experience(充電)

 

実施期間:2023年1月~3月(中国81都市)
調査対象:2022年7月から2023年1月までの間に新エネルギー車を購入したユーザ調査方法:オンラインインタビュー及びインターネット調査 

調査回答者数:7,209

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。