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2024年5月9日【ESG】

日本郵便と西濃運輸、幹線輸送の共同運行で基本合意

坂上 賢治

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幹線輸送の共同運行トライアルに取り組む両グループのトラック

 

日本郵便グループとセイノーグループは5月9日、幹線輸送の共同運行に向けた業務提携で基本合意。2024年問題を筆頭とする物流課題の解決で互いに協力して持続可能な物流サービスの提供を目指すことで意見が一致した。

 

より具体的には、日本郵便(東京都千代田区、代表取締役社長 千田 哲也)、日本郵便輸送(東京都港区、代表取締役社長 原口 亮介)およびJPロジスティクス(東京都千代田区、代表取締役社長 長谷川 実)(以下「日本郵便グループ」)と、セイノーホールディングス(岐阜県大垣市、代表取締役社長 田口 義隆)、西濃運輸(岐阜県大垣市、代表取締役社長髙橋 智)およびセイノーの輸送ネットワークを担うグループ会社(以下「セイノーグループ」)は、物流課題の解決に取り組み、持続可能な物流サービスを提供すべく、幹線輸送(お客さまから荷物をお預かりする集荷側の拠点から配達側の拠点への長距離輸送)の共同運行を目的とした業務提携に関する基本合意書を締結した。

 

物流業界は、トラック運転手の時間外労働の是正に伴い輸送力が不足する2024年問題や、少子高齢化による一層の人手不足など、深刻化する様々な課題に直面、大きな変革を迫られている。

 

これらの物流課題の解決に向けては、企業単独の施策では遺憾ともし難く、垣根を超えた「共創」に取り組むしかない状況下にある。

 

そうしたなかで日本郵便グループとセイノーグループは、今年2月より幹線輸送に於ける共同運行の可能性を検討するため、トライアル実証に取り組んできた。そして今回、両社による検討の結果、この度の基本合意に至った。

 

幹線輸送の共同運行イメージ

 

つまり先の双方のトライアル実証のなかで、日本郵政グループが目指す「共創プラットフォーム」と、セイノーグループが描く「オープン・パブリック・プラットフォーム」は、共に「共創」を志す将来ビジョンであることを確認でき、目指す方向性が合致する両者が、相互に強みを活かすことでWin-Winな「共創」が実現できるとの考えに至った。

 

今後は、幹線輸送の共同運行に向けて具体的な方策を策定すると共に、幹線輸送に留まらない共同化や協業の可能性についても検討を深めつつ、物流サービスの維持・向上に努めていく構えだ。

 

以上を前提とした業務提携で両社グループは、幹線輸送に於ける共同運行を実現すべく取り組みを進めていく。その枠組みは荷物をお互いに積み合わせて行う共同運行により、輸送効率の向上や環境負荷を低減させ、互いの顧客にとっての利便性維持に繋げていく。

 

また、可能であれば単なる荷物をお互いに積み合わせだけに留まらず、両社既グループの物流ネットワークをより進化させて、効率良く、便利で、かつ強靭な「サステナブルな物流」を視野に、国民生活や経済活動を支えて社会に貢献することを目指していくという。

 

そこで各社の協調領域と考えられる幹線輸送から取り組みを始めることによって、誰でも参加可能なプラットフォームの役割を担い、業界連携の輪をより大きく拡大させることにも挑んでいく。それによって物流業界の魅力向上、働きがいのある環境づくりを牽引し、業界ステータスの向上にも貢献していきたいとしている。

 

双方の業務提携に係る基本合意内容は以下の通り

 

日本郵便グループとセイノーグループは、2024年3月28日付の共同運行トライアル実施時点で示した通り、 既に幹線輸送の共同運行トライアルを実施。相互理解を深めてきた。

 

今後は、共同運行を推進する両者合同のチームを立ち上げ、荷物の受け渡しの方法や発着拠点の使い方など、共同運行の際に課題となる部分を洗い出しながら、ルールや仕組みづくりに着手していく。

 

更にこの取り組みをトライアルレベルに留まることなく、共同便を定常的に運行する状態を一つの大きな目標とし、実効性にこだわりながら推進していく。

 

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会社概要
(1)日本郵便グループ
名称 :日本郵便株式会社
代表者 :千田 哲也
本社所在地 :東京都千代田区大手町二丁目 3 番1号
設立年 :2007 年
事業内容 :郵便業務、銀行窓口業務、保険窓口業務など
従業員数 :175,950名
車両数 :115,481台
ホームページ: https://www.post.japanpost.jp/

 

名称 :日本郵便輸送株式会社
代表者 :原口 亮介
本社所在地 :東京都港区西新橋一丁目 16 番2号
設立年 :2007 年
事業内容 :郵便物および郵便事業に関連する物品の運送事業など
従業員数 :2,213 名
車両数 :2,530 台
ホームページ https://jptransport.jp/

 

名称 :JP ロジスティクス株式会社
代表者 :長谷川 実
本社所在地 :東京都千代田区大手町二丁目 3 番1号
設立年 :2002 年
事業内容 :貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業、倉庫業、
自動車分解整備事業、航空運送代理店業、通関業など
従業員数 :3,854 名
車両数 :2,552 台
ホームページ: https://www.jp-logistics.jp/

 

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(2)セイノーグループ
名称 :セイノーホールディングス株式会社
代表者 :田口 義隆
本社所在地 :岐阜県大垣市田口町 1番地
設立年 :1946 年
事業内容 :純粋持ち株会社
従業員数 :32,333 名(セイノーホールディングス連結)
車両数 :31,686 台(セイノーホールディングス連結)
ホームページ: https://www.seino.co.jp/seino/shd/

 

名称 :西濃運輸株式会社
代表者 :髙橋 智
本社所在地 :岐阜県大垣市田口町 1番地
設立年 :2005 年
事業内容 :貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業、倉庫業、航空運送代理店業、
通関業、国際複合一貫輸送事業、カンガルー特急便を中心とした商業物流サービス事業など
従業員数 :17,129 名
車両数 :11,432 台
ホームページ: https://www.seino.co.jp/seino/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。