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2019年5月9日【トピックス】

マツダの2019年3月期決算、増収減益

間宮 潔

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2025年に向けた中期経営方針策定

 

 マツダは5月9日、都内で2019年3月期の連結決算を発表、売上高で3兆5647億円と前期比3%増となったが、グローバル販売台数では、4%減の156万1千台となり、中国市場での落ち込みや米市場、オーストラリア市場での落ち込みに伴う競争激化が業績に反映した。

特に営業利益では前期比43%減の830億円と大幅にダウン、売上高営業利益率を前期の4.2%から「2.3%」に低下させた。

 

 

 減益要因については、台数減や車種構成による変化(147億円)、為替変動(381億円)、米国販売ネットワークにおける改革費用や品質関連の費用発生など(317億円)をあげ、コスト削減などでカバーすることができなかった。この結果、当期純利益は635億円と前期に比べ43%低下した。

 

 次期業績(2020年3月期)予想は、グローバル販売台数を161万8千台(前期比4%増)を見込み、1月に北米市場で新型Mazda3を投入、3月の欧州、4月にオーストラリアに投入、これから日本を含む諸地域で販売を始める。

 

また3月にジュネーブショーで発表したCX-30を夏から順次投入する予定だ。この結果、売上高は3兆7000億円(前期比4%増)、営業利益は1100億円(同33%増)、当期純利益は800億円(同26%増)とした。営業利益率を「3%のレベル」に回復させることにした。

 

 

 決算説明会に臨んだ丸本明社長は来年1月、マツダ創立100周年という大きな節目を迎えるにあたって、「次の100周年に向けてマツダを維持、発展させていくことはこの節目でバトンを渡された私の責任である」と決意を表明した。

 

加えて「経営はゴールの無い駅伝であり、先人が遺したタスキを渡してく」と語り、「スモールプレーヤーであるマツダが企業として存続してきたのは『マツダの独自性』を大切にしてきた」こと、また「独りよがりにならず、人を第一に考え、『人と共に創る』との姿勢を大切にしてきたこと」を強調した。

 

その上で、丸本社長は向こう6年間にわたる中期経営方針を披露した。重点施策として(1)独自の商品・顧客体験への投資、(2)ブランド価値を低下させる支出の抑制、(3)遅れている領域への投資―3本柱を掲げ、最終年度2025年度には売上高4兆5千億円、営業利益率5%以上、販売台数を180万台との指標を示した。

 

 この方針に沿って、具体的な実行計画を秋までにつくる。従来の中期計画は3年だったが、これを6年計画に改めた理由として、「激変する自動車業界にあって、長期での視点が必要になった。課題を明確化させ、マツダの強みを際立たせる一方、弱みを和らげる」との考えを披歴した。

 

 トヨタ自動車との包括提携に基づき、2021年に稼働開始する米国合弁新工場(アラバマ州ハインツ市)ではマツダのSUVを年15万台生産する計画で、次世代ブランド店舗(300カ所)の展開と相まって、ブランド価値を向上させる体験型投資にも力を注ぐ。一方、ブランド価値を低下させる新車販売時の販売奨励金はできるだけその支出を抑え、残価の改善、中古車価格の維持につなげる考えだ。

 

 マツダ独自の商品開発では、最新のスカイアクティブエンジン搭載車の積極投入のほか、ハイブリッド技術による電動化を推進、顧客ニーズの多様化に応える方針だ。ロータリーEVの開発は優先順位を下げた。(佃モビリティ総研・間宮潔)

 


 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。