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2022年11月28日【IoT】

名鉄ら4社、ETC活用の踏切注意喚起システムの実証実験

NEXT MOBILITY編集部

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名古屋鉄道と名鉄EIエンジニア、トヨタシステムズ、東邦電機工業の4社は11月28日、「AI画像解析」と「ETC 2.0」、「ITSスマートポール」を活用した踏切安全のための注意喚起システムに関する実証実験を、12月5日から実施すると発表した。

線路と道路が交差する踏切は、接触事故が起きる恐れがあることから、「鉄道における弱点箇所」とも呼称されると云う。

 

全国で年間200件程度発生する踏切事故での死傷者数は100人以上。また、その都度列車の運休や遅延を伴うため、その社会的な影響も大きなものになっている。

 

このような状況に対して、交通に関わる事業者が互いに協力し、AI画像解析を活用した事故を未然に防ぐシステム構築のための実証実験を昨年11月より実施。その中で、前方道路が混雑しているにも関わらず、踏切内に進入した自動車がそのまま停滞する事象への対応が新たな課題として浮かび上がった。

 

事業者らは、その対策として、「ETC2.0(※1)」や「ITSスマートポール(※2)」の技術を活用し、前方道路の混雑時に踏切進入前の車内へ直接注意喚起により、不注意による踏切内の自動車の停滞を抑制し、接触事故の未然防止を図るシステムを検討。今回、8社の協力会社(以下、実証実験の概要・協力会社8社の役割を参照)と、そのシステムの有効性の確認のための実証実験を、国土交通省からの鉄道技術開発費補助金を受けて実施することとなった。

 

※1)ETC2.0:新世代型のETC(Electronic Toll Collection System)。従来のETCの機能(料金収受)に加えて、対応カーナビへの渋滞回避支援や安全運転支援、災害支援情報の提供、車両の走行データ(車両の経緯度、時刻、加速度等)の蓄積・収集などの機能を有する。
※2)ITSスマートポール:交差点周辺の車両や歩行者を検出するカメラやセンサー、通信機器、およびLED表示板などの情報機器を搭載した多機能型ポール。ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は、道路交通の安全性、輸送効率、快適性の向上等を目的に、最先端の情報通信技術等を用いて、人と道路と車両とを一体のシステムとして構築する新しい道路交通システムの総称。

 

 

[実証実験の概要]

 

– 開始日:12月5日(月)
– 実施場所:名古屋鉄道 住吉町1号踏切(愛知県半田市宮路町:住吉町駅南端)

 

<実施内容>

 

名古屋鉄道が2021年度より導入を進める踏切監視システム(踏切の映像・動作記録を遠隔監視するもの)に、「踏切AI画像解析システム」と「ETC2.0」、「ITSスマートポール」の技術を組み合わせ、踏切での前方道路の先詰まりの検出と、進入前の自動車への注意喚起を行う。

 

現行の踏切監視システム・踏切AI画像解析システムでは、踏切の周囲も含めてカメラの映像に映っている人や自動車などがどのように動いているかを検出・解析して、遠隔の指令などに通知しているが、今回の実験では、新たに「ITS無線通信(ETC2.0とITS Connect)」により踏切を通行する試験車両に設置した「ETC2.0車載器」、「ITS Connect車載器(※3)」からの音声と、踏切に設置されたLED表示器などによる注意喚起を行う。これを、事故の発生防止につなげ、踏切の安全性向上を目指す。

 

<実証実験のイメージ>

①試験車両に設置した ETC2.0車載器や、ITS Connect車載器から「踏切の先詰まりに注意してください」と発話。

②踏切に設置したLED表示器には「踏切先注意」と表示。

③踏切手前に設置したLED表示器にはミリ波無線で通信し「注意」「踏切内」「立ち往生」を表示。

 

※3)ITS Connect車載器:ITS Connect路側機と必要な情報を交信するため、車両のダッシュボードの上等に設置する無線装置。ITS Connectは、700MHz帯の周波数を用いて路車間通信や車車間通信を行い、運転を支援する技術。

 

<実証実験実施4社の役割>

 

・名古屋鉄道:実験場所の提供、システムの有効性の検証。
・名鉄EIエンジニア:システムの全体設計および設置・導入・試験、無線免許申請、機器の調達。
・トヨタシステムズ:踏切AI画像解析システムの開発。
・東邦電機工業:踏切状態監視装置と踏切LED表示器連携システム開発。

 

<協力会社8社の役割>

 

・沖電気工業:ETC2.0 路側機器の準備、電波調整、セキュリティ関連の準備。
・中日本高速道路(NEXCO中日本):ETC2.0情報処理の実施。
・メイテツコム:ETC2.0発話用業務システム提供、発話試験の実施。
・豊田通商:ITS スマートポール実証実験のプロジェクトマネジメント。
・パナソニックシステムネットワークス開発研究所:ITSスマートポール制御器・ITS車載発話システムの開発、提供。
・京セラ700MHz帯ITS無線通信路側機の提供。
・積水樹脂:ITSスマートポールLED表示板の開発、提供。
・フジクラ:機器間無線通信機(60GHzミリ波通信機)の提供。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。