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2018年2月13日【テクノロジー】

みちのりホールディングスら6社、スマートバス停の国内初実験を実施

NEXT MOBILITY編集部

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みちのりホールディングス、会津乗合自動車、凸版印刷、ナビタイムジャパン、KDDI、ウェザーニューズの6社は、次世代スマートバス停の実用化に向け、会津若松市内での実証実験を2月17日から開始する。

 

このスマートバス停は、電子ペーパーと将来的に開発・実装されるLPWA (注1) とを利用し、自然エネルギーで駆動、遠隔からの時刻表データ更新やバス停の接近情報を表示。電子ペーパー技術を活用したバス停としての実証実験は、国内初となる。

 

 

スマートバス停では、IoT技術・機器を利用し、バスの運行情報等をリアルタイムに提供することで、サービス及び快適性の向上につなげると云う。

 

また、地域情報を取り込んだ情報ステーション機能を備えた次世代バス停とし、バス利用を促進することを目的としている。

 

実証実験では、こうしたバス停の機能検証および、利用者の受容性を検証する。

 

 

また、今後の展望については、以下のよう述べている。

 

実証実験を通じ、開発を目指すスマートバス停が運行エリア全体で導入されれば、時刻表などの紙を張り替える必要なく、遠隔から時刻更新や路線変更を行えるようになる。

 

これにより現在、年二回程度の実施バス時刻の更新が、より高頻度にできるようになり、利用者ニーズに合わせたバスサービスの提供ができるようになる。

 

将来的には、バス停に配信するデータを効率的に管理、時刻表や路線データもGTFS形式 (注4) のような標準的な規格に合わせ、これらがオープンデータ化されることでデータを活用した新たなサービスの開発の土壌を整え、地域経済への波及させていきたい。

 

今後の技術開発と合わせて、こうしたスマートバス停を活用したサービス改善や電子広告出稿などの可能性を検証することで、本格的な実用化を進め、より多くのバス停へ設置を目指していく。

 

 

[スマートバス停の特長]

 

●運行情報のリアルタイム表示 (注2)

 

従来のバス停では定刻の時刻だけが表示され、定刻通りに運行されているのか、いつバスが来るのかがわからなかったが、運行状況をリアルタイムに表示することで、バスの信頼性を高め、バス自体の利便性を向上させる。

 

 ・リアルタイムなバスロケーション情報 (接近情報・到着予想情報) の表示 (注3)

 ・荒天や道路状況などによる運行状況急変のお知らせの表示 (リアルタイム表示)
 ・経路・時刻表・料金等の詳細情報の提供
 ・多言語での情報提供―増加するインバウンド旅客への対応
 ・電子ペーパーディスプレイモジュールによる屋外でも見やすい表示

 

●地域情報等の情報ステーション機能 (注2)

 

地域住民や周遊・観光利用客への情報提供を行う。

 

 ・天気予報やライブカメラによる、天候・道路情報/おすすめスポットなどの情報提供機能
 ・エリア掲示板/公共機関からのお知らせ/緊急時の避難情報配信など、地域コミュニティが利用できる情報インフラ機能

 

●電子ペーパーとLPWA無線技術を組み合わせた低消費電力仕様

 

両者は、低コスト・低消費電力であり、ソーラーパネル・DC電源での運用可能性を実証していく。また、機器・通信コストの低コスト化と外部電源不要であることから、従来のあらゆるバス停をスマートバス停に置き換えることが可能と見込んでいる。

 

 ・低消費電力のE Ink製の電子ペーパーディスプレイモジュールの採用
 ・LPWA無線技術は、低消費電力、低速度、広域カバレッジを特長とし、本取り組みでは携帯電話網を利用する通信規格LTE-Mを利用予定
 ・これまでのデジタルサイネージよりも安価に機器の設置が可能

 

[実証実験について]

 

<実施期間>
2018年2月17日設置 以降4月より1年間を開発段階とする

<設置場所>
本年度は、会津若松市内 (神明通り: 2面タイプ、鶴ヶ城入口: 1面タイプ) の2カ所に設置

 

<ディスプレイの仕様>

・サイズ:1面タイプ (縦511 x 幅274 x 厚み59mm) / 2面タイプ (縦1,022 x 幅274 x 厚み59mm)
・表示画面サイズ:13.3インチ
・必要電源:DC12V (ソーラーパネルによる供給も可能)

 

[各社の役割]

 

– みちのりHD・会津乗合自動車 (会津バス): 実証実験の取り纏め・運行情報の提供
– 凸版印刷: スマートバス停の機器準備・メンテナンス
– ナビタイムジャパン: 運行情報の処理、独自のWebサービスを用いた乗換情報等の提供
– KDDI: 通信環境の整備
– ウェザーニューズ: 気象観測機・ライブカメラの設置、気象情報の提供

※各社の役割については今後の開発・実装計画分を含む

 

注1) LPWA: Low Power Wide Areaの略称。低消費電力で遠距離での通信を可能にする通信方式。本取り組みでは将来的にLTE-Mを活用予定。
注2) 一部の機能は今後、独自のWebサービスと連携してサービスを提供していく予定。
注3) バス停の接近情報表示は本年度春先以降での導入を想定。
注4) GTFS: General Transit Feed Specificationの略称。公共交通機関が持つデータを統一するために定義されたデータフォーマット。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。