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2022年4月5日【人事】

三菱ふそうトラック・バス、新CEO就任会見

松下次男

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カール・デッペン氏、三菱ふそうトラック・バス代表取締役社長・CEO就任

 

三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)のカール・デッペン社長・CEO(最高経営責任者)が4月5日、川崎市の本社で就任記者会見を開き、カーボンニュートラルに向けた取り組みの加速化や「ふそう」ブランド90周年の活動方針などの考えを示した。

 

2022年の事業展望については「多様なユーザーから車両の受注は積みあがっている」としながらも、前年度から続く半導体不足の影響などから供給面の懸念を表明。合わせて原材料費、ロシア・ウクライナ紛争に伴うエネルギーの高騰などをリスク要因に掲げた。

 

車両電動化に向けては次世代「eキャンター」を2022年内に発表する。具体的な発売時期については明言しなかったが、2017年に先駆けて市場投入した現行の電動小型トラックの「基盤がある」と先行者の強みを強調。

 

ユーザーからのフィードバックを次世代車両の開発に生かしていることや共同でカーボンニュートラルに向けて取り組んでいることを背景に、eモビリティに関する「エコシステムの確立を支援していきたい」と述べた。
デッペン氏のMFTBC社長・CEOへの就任は1月1日付。しかし、コロナ禍でビザ取得に時間を要したことなどから実際に日本に赴任したのは3月中旬となった。

 

商品展開だけでなく、製造を含む全体での炭素中立に向けた取り組みを推進

 

また、同氏はメルセデス・ベンツブラジル社CEOなどを経て就任したが、2021年12月からはダイムラートラックホールディングス社取締役、ダイムラー・トラック・アジア代表も兼ねる。
日本滞在の経歴もあり、今回のMFTBC社長の就任について「もう一度、戻ってきたことをうれしく思っている」と語った。

 

2021年の業績(ダイムラー・トラック・アジアベース)では、日本は3万2400台を販売、コロナ禍や半導体不足の影響から若干のマイナスとなったことを示した。
一方で、グローバル、とくにアジアで大きく伸長したことを強調。インドで1万4600台、インドネシア3万4000台販売し、とくにインドネシアでは商用車ナンバーワンを51年間継続、台湾でも30年間商用車のリーダーを続けていると述べた。

 

事業面では、CASEの取り組み推進を掲げる。
まずコネクティビティ分野ではトラックコネクト・バスコネクト登録車両数が2021年、前年比約倍増の伸びとなったことを明らかにした。さらにAI(人工知能)を組み込んだ米ワイズシステム社(業務提携)の最適な輸送ルート検索も好評という。

 

自動運転領域では、大型トラック「スーパーグレート」に国内でこのクラス初のレベル2に自動運転機能を搭載したことを紹介。ドライバーの運転不能時に車両を自動で停止させるエマージェンシー・ストップ・アシストや巻き込み防止のアクティブ・サイドガード・アシスト1・0の機能搭載車が2021年は30%を超えたと披露した。

 

シェアリングやサービス領域では、「ふそうマイレージリース」や販売店のデジタル化の取り組みを紹介。支店での車両の流れを可視化できるデジタル化を2022年中に全ての直営拠点に展開できるよう導入を進めていることを示した。

 

新eキャンターを22年内に発表、ブランド90周年のインベントも企画化へ

 

また、「ミライ」プロジェクトと名付けた高品質サービス拠点も拡充しており、これまでに全国12か所に設置。さらに春日部、白石などの拠点に設置する考えを示し、「整備時間を短縮することで、車両の稼働率をアップする」ことを支援すると表明した。

 

電動化では、電動小型トラックのeキャンターを世界で350万台以上納車し、その累計走行距離は450万キロを突破したことを掲げて、その学習効果は大きな「基盤である」と強調した。
また、カーボンニュートラルに向けては日本政府の「グリーン成長戦略」に貢献できるようバリューチェーン全体での脱炭素化を推進すると表明。

 

このため、商品展開に加えて、本社・川崎工場へのコジェネレーション導入や太陽発電の設置、照明のLED化などを進めており、工場の半分の電力を自社で賄っていると述べた。ユーザーと一体となった脱炭素化も推進する

今年迎えるふそうブランド90周年については、コロナ禍でもあり、まだ詳細な取り組みは決めていないとしながらも、「きちんと祝いたい」と述べた。

 

カール・デッペン社長・CEO略歴
1966年4月1日生まれ。ドイツ・オスナブルック出身。1990年ダイムラー・ベンツ社(ドイツ)入社。2011年ダイムラー社(ドイツ)副社長人事開発部門本部長。2014年ダイムラーグレーターチャイナ社(中国)副社長CFO。2017年メルセデス・ベンツ社(ドイツ)副社長コスト管理部門本部長。2020年メルセデス・ベンツブラジル社CEO。2021年12月1日ダイムラートラックホールディングス社取締役、ダイムラー・トラック・アジア代表。2022年1月1日MFTBC代表取締役社長・CEO

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。