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2022年12月26日【SDGs】

パナソニック、インドでラストマイル交通の実証事業に着手

坂上 賢治

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パナソニックグループは12月26日、インド当地に於けるラストマイル交通の運用をサポートするべく本格的なシステム開発&実証事業に着手すると発表した。

 

これは当地企業のETO Motors( ETO Motors Private Limited )とパナソニックによる実証事業化にあたり、当該プロジェクトの助成元であるNEDOからGOサインが出た事によるもの。

 

より具体的にはNEDOが今月、インド当地の行政元であるデリー準州政府交通局と、ラストワンマイル交通の利便性と輸送効率の向上を目的とした国際実証事業「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業」で国際合意。協力合意書(LOI)を取り交わした事によりプロジェクトが動き出した。

 

今回、両社(パナソニックとETO Motors)が実証事業を行うインドは、人口約14億人・2021年の実質国内総生産( GDP )成長率が8.7%に上る巨大市場だが、近年の急激な経済成長に伴い、都市部での交通渋滞による大気汚染が深刻な社会問題となっている。

 

この大気汚染に係るインド当地の課題を解決するには、環境負荷の低いメトロ交通網の拡張・利用拡大が欠かせない。またこれに加えて公共交通の利用促進を大きく推し進めるために、メトロ交通網の最寄り駅からのラストワンマイル交通の整備も重要となる。

 

しかし当地に於けるラストマイル車両が、天然ガスで走るオートリキシャ(三輪車両)である事が、課題解決に向けての大きな妨げとなっている。

 

それは当該車の利便性や信頼性がとても低いためで、結果、環境負荷の低い筈のメトロ交通網を市民があえて使わず、自家用車やタクシー、ライドシェアサービス利用による直接移動が大半を占めてしまっているという。

 

こうした事からメトロ交通網が使われる頻度が下がるのみならず、交通のトラフィック網に流入する車両数自体が大きく膨らみ、これが深刻な渋滞や大気汚染を招く負のスパイラルになっている。

 

そこで今回、パナソニックとETO Motorsは、メトロ交通の最寄り駅を繋ぐラストマイル向けにEモビリティ(電動リキシャなど)のIT運用支援システムを導入。メトロ交通網の利用増による交通渋滞の改善に併せて、温室効果ガス( GHG )排出量の削減も目指す。

 

そのために実証事業で参画両社は、「オンデマンド運行管理」「配車アルゴリズム」「バッテリーマネジメントシステム」をモバイル通信を介してクラウド上に取り込み、オペレーター(車両運用事業者)へ、ドライバーへ、乗客へ向けた各々の3つのアプリを介して以下機能を提供する。

 

(1)オペレーター向け:車両管理・運用・バッテリー管理
(2)ドライバー向け:需給マッピング・バッテリー表示、キャッシュレス決済
(3)乗客向け:空き車両情報確認・乗車予約・キャッシュレス決済

 

上記の3アプリを通じて、乗客数の増加、運行効率の向上( 車両稼働時間増加、到着時間低減 )、運行コスト削減( 運用車両削減、バッテリー活用時間向上 )などのモニタリング検証を行う。

 

加えて検証結果を基に運用の最適化を行って運用内容を更に改善。この結果、ラストマイル交通に於ける乗客の利便性と輸送効率の向上を図って、収益増加と流入交通網の削減に貢献していく。

 

なお実証事業の実施体制は以下の通り

助成先:パナソニック ホールディングス株式会社
現地協力企業:ETO Motors Private Limited
実施場所:デリー・メトロ カルカジ・マンディール駅周辺地域

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。