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2020年4月21日【エネルギー】

ルネサス、人工呼吸器のシステムソリューションを提供

坂上 賢治

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 世界各地で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し続け、多くの地域で患者が病院の収容能力を上回り、同事態を解決するため各国政府並びに医療関係者による努力が続けられている。しかし依然、人工呼吸器が大幅に不足している状況が改善されない環境にある。(坂上 賢治)

 

そこでルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、技術的な専門知識を背景に今、最も必要とされる人工呼吸器の開発・製造をサポートするシステムソリューションの提供を開始した。

 

 

 それはオープンソースによる人工呼吸器システムのリファレンスデザインだ。これはメドトロニック社のPB560などの幾つかの設計仕様が公開されているオープンソースの人工呼吸器システムを基に、人工呼吸器用のリファレンスデザインとしたもの。

 

設計仕様は、人工呼吸器内のデジタル信号のやり取りをつかさどるマイコンや電源IC、アナログICなどをを筆頭に約20個のルネサスの半導体を使う。

 

またシステムは、センサ基板とモータ制御基板を実装しており、Bluetooth®接続を可能とした。これにより医療従事者は、タブレットや携帯機器を使って、複数の患者を同時に監視することが出来る。

 

 各基板には、左記の通りマイコンが搭載されており、接続された各基板の状態を監視し指令を制御する。併せて各機能をチェックするシステムを採用しているため、規制に関する認可を容易にし患者への安全も確保している。

 

従って患者の状態を監視しながら患者に送られる1回のガスの量や配分量を適切にコントロールできる。ちなみに同人工呼吸器は持ち運び可能な設計仕様であるため、ガスタンクの有無にかかわらず使用することができるのも利点だ。

 

 より具体的な実装機能としては、アシスト制御モードと圧力制御モードがあり、これを介して患者に高圧酸素を送る。このうちアシスト制御モードは、一呼吸毎に特定の量の酸素を患者へ。

 

吸入管の酸素流量は流量センサFS1023が監視し、MCUが一回の換気量を算出。酸素バルブはMCUが制御し、送り込む酸素量を管理する。

 

圧力制御モードでは、一呼吸毎に特定の圧力で酸素を患者に送り、吸入圧はマスクに装着された近傍気圧センサーが監視。その数値をRX23W(MCU)に送る。

 

圧力を高めた酸素を人工呼吸器に送り込むブロワー部は、RX23T(MCU)で制御されるモータ制御ボードが駆動。データの送受信はI2Cバスを通して行われる。

 

 なお同リファレンスには2つのMCUが搭載されており、互いに監視・リセットができるよう二重化して、安全性を高めた他、病室外・ICU外の場所で使える移動式人工呼吸器を設計できるものとしている。

 

さらに設計上リファレンスに加湿部も組み込まれているため、加湿器を人工呼吸器の摂取経路に接続し適度な湿度を含んだ酸素を送ることで患者の呼吸を和らげ、長時間接続することで、より効率的に快方に向かわせることが出来るという。

 

 提供情報に関して、ルネサスのIoT・インフラ事業本部のクリス・アレキサンダー執行役員は「ルネサスのエンジニアは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)と闘う中で世界が直面する課題に対処するために、人工呼吸器システムのリファレンスデザインを作成・提供致しました。

 

これは我々の幅広い製品ポートフォリオとシステム設計のノウハウを活かすことにより、病院やご自宅での操作が可能な医療用人工呼吸器システムを短期間で開発できるよう支援するものです」と述べている。

 

同システムのメリットは以下の通り
– 2つのMCUで相互監視が行える、二重化された安全なシステム
– アシスト制御モードと圧力制御モードが利用可能
– ハードウェアは低容量一回換気量、ピーク圧、接続解除、無呼吸アラームを制御可能
– FS1023が酸素の量・流速の両方を監視
– 酸素量をMCU制御バルブにより制御(流速センサを用いた監視)
– 呼気排出圧はMCUが排出バルブで制御
– 酸素センサをFiO2(吸入酸素濃度)テストに使用
– ブロワーを圧力/流量センサーフィードバックに従って制御
– LCDの輝度は、環境光を監視する光センサによって制御
– バッテリ残量モニタ機能により、バッテリの長寿命化に寄与

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。