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2022年4月5日【イベント】

ロールス・ロイス、北極圏で新型スペクターの寒冷試験を完了

坂上 賢治

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BMW傘下のロールス・ロイスは4月5日、自社の次期新型EV「スペクター」のウィンター・テストを去る3月30日に終了したと発表した。これは同社が、スウェーデン/アリエプローグ(北極圏から55キロメートル地点)にある寒冷地・極寒期を想定した専用施設に於いて、アルミニウム製スペース・フレーム「アーキテクチャー・オブ・ ラグジュアリー」をプラットフォームとして採用したスペクターが気温マイナス40度の環境下で耐えられる事を確認したもの。(坂上 賢治)

 

 

アリエプローグの施設では、外気温度がマイナス26度からマイナス40度まで低下する過酷な環境にあり、同テストを潜り抜けた結果、400年間の使用を想定した250万キロメートルの試験走行プログラムのうち25パーセントを消化した事になるという。スペクターは、ファントム・ クーペのボディサイズを継承し、電動ドライブトレインと同社最新鋭のシャシー・エンジニアリングを組み合わせてブランドにとって新時代の到来を告げるものだとしている。

 

同社が、新型車両のテストを極限下で行う事に理由は、新型車の最初のプロトタイプを製作した場合、常に極限状態での基本テストを行う事がマストであるため、今回も平素と同じく極寒下で車載機能が100パーセント機能する事は欠かせない。

 

 

ちなみに、このようなテストの実施は、ロールス・ロイスならではの洗練性をどんな時でも、どんな場面に於いても常に発揮出来なければならないため。その際の課題は騒音・振動・ハーシュネス(NVH)試験に始まり、主要なハードウェア・コンポーネント用の素材の性能基準を確認する事。更にドア周りのラバー材の密度、ブッシュ材の組成、締結部の素材、接着剤の外気温等の特性変化に至る迄、様々なテストを行う。

 

またこれら変数による影響確認は、車室内の暖房・換気・空調・冷却システムの効率などにも気が配られる。加えてロールス・ロイスならではのウィンター・テスト於けるマスト要素には、同社のエンジニア達が「デ・エスカレーテッド・タイム(徐々に馴染ませる時間)」と呼ぶ独自基準が設けられているからだ。

 

 

このテスト実施についてロールス・ロイス・モーター・カーズのエンジニアリング・ディレクターであるミヒヤー・アユービ氏は「スペクターを実際に雪や氷などのトラクションが掛かり難い路面を走行させ、意図的に不安定な状態にする事で、エンジニアは通常なら高速走行で発生するようなダイナミックな状況を低速域で作り出す事が出来ます。

 

こうしてハンドリング、操縦性、安定性、予測可能試験を行う他、更にロールス・ロイスの走りを特徴付ける〝ワフタビリティ(浮遊感)〟などの分野での寒冷地の車両性能をパラメーター化して微調整を行うことによって様々な状況下で、システムをまとめ上げる事が出来ました。

 

今回デ・エスカレーテッド・タイムを伴うテストを実施する事によって、我々のエンジニア達はロールス・ロイスの応答特性に関して、他車では真似の出来ない洗練さ醸し出す事が出来、スペクターがロールス・ロイスの名に恥じないふるまい、ドライバーや乗員との対話を行える事が出来るようになります。

 

そのための50万キロメートル超えのテストを経て、現在試験プロセスの25パーセントを消化した段階にあります。これはロールス・ロイスによる未来に向けた電動化への新たな歩みであり、次なる時代に踏み出す〝ロールス・ロイス3.0〟始まりとなります」と語った。

 

 

ちなみに、このロールス・ロイス3.0に至る道程は、2003年の1月に宣言されたブランド・ルネッサンスにまで遡る。グッドウッド生まれの最初のロールス・ロイス「ファントム」のビスポーク・アーキテクチャーが、その原点となる〝ロールス・ロイス0.1〟であり、その後に考案されたオール・アルミニウム製スペースフレームの第2段階アーキテクチャーが〝ロールス・ロイス0.2〟にあたる。

 

最新鋭EVのスペクターは、新たなコンセプトをデジタル空間を活用して編み出したものであり、歴代ロールス・ロイス上でも最も高度に〝繫がる〟性能を持ち合わせ、これまでのどのロールス・ロイスよりも高度な情報化が実現されていると結んでいる。なおこのウィンター・テスト・フェーズを終えたスペクターは舞台を変え、引き続き新たな環境下でのグローバル・テスト・プログラムに挑戦し続ける事になる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。