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2023年6月10日【エネルギー】

ステランティス、パリで車椅子対応の水素タクシーを初導入

坂上 賢治

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ステランティスは6月9日、フランス国内で水素タクシーを提供するハイプ社( Hype )と共に水素動力車両の製造・供給と運営に関する提携を発表した。これに伴い両社は2023年からパリ地区に於いて、車椅子を搭載・輸送出来る50台の水素タクシーを本格稼働させる。( 坂上 賢治 )

 

ちなみハイプ社は、2015年のCOP21開催を契機にパリで誕生した世界初の水素タクシー会社。同会社は、2009年にパリでバッテリー駆動のタクシーを開発することを目的としたベンチャー企業「STEP」の設立から始まった。

 

その後、EVタクシーサービスの稼働率を上げるには、充電時間短縮の重要性に着目。航続距離が比較的長く取れ、充電時間が短い水素燃料電池車への移行を決定して新たな専業会社のハンプ社を設立した。

 

その程なく産業用ガスのリーディングカンパニーであるAir Liquide社やフランスの公的金融機関であるCDC社とパートナーシップを結んだ。

 

今回、ステランティストハイプ社とで使用車両は、車椅子利用の1名を含む5名が乗車可能な仕様だ。または車椅子の乗員が無い場合は6名の乗客を収容・輸送できる。

 

この架装車のベースモデルとなったのは、ステランティスのホーダン工場で製造されたプジョーe-エキスパートと、シトロエン ë-ジャンピーの乗用車バージョンを特別に改造したものとなる。

 

同車は水素駆動であるため航続距離400km、給油時間3分、排出ガスゼロ、車両積載量に一切の妥協がないため運行に係る制限が一切伴わない。また車両の格納能力は改造前のオリジナル車両と同じ最大限が確保できる。

 

更にもう1つのユニークな特徴は、充電式バッテリーと水素燃料電池システムで構成される100%電気駆動の「ハイブリッド仕様」であることだ。

 

今回の提携の一環としてステランティスとハイプは、2024年末までに最大1,000台の水素タクシーを配備する予定だ。この配備車両の具体的な数量は、現在フランス政府による運営ライセンスの管理体制に伴うもの。

 

今後の車両配備が進めば、移動が困難な人々のための輸送サービスが質に於いても、量に於いても大きく向上することになる。もちろんゼロエミッション輸送の新たな手段になるため、当地のオー・ド・フランス地域の産業活動を強化する役割を果たすことができる。

 

こうした取り組みについてステランティスのLCV(小型商用車)部門を担うザビエル・プジョー氏は「今後、Hypeとのパートナーシップを通じて、移動能力の低下した人々に焦点を当てたゼロエミッションバンにおけるリーダーシップをさらに強化できることを嬉しく思います」と話している。

一方でハイプ社のマシュー・ガーディーズCEO兼創業者は「ステランティスとのパートナーシップの一環として、パリでプジョーとシトロエンの車椅子対応水素タクシー50台の稼働を開始したことに大変満足しています。

 

これはハイプ社の発展とフランスの水素産業に於ける新たな一歩を示しています。今後は環境保護と社会貢献を責務を果たしながら、より広域での輸送業務が展開できるようになります。

 

今後、当社は、2024年のパリオリンピック・パラリンピック競技大会が迫っていることを踏まえ、他のタクシー事業者や、独立系のタクシー運転手やレンタカー企業に向けても、このゼロエミッションサービスの拡大に向けて挑戦し続けていきます」と語っている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。