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2019年1月1日【トピックス】

全国ワースト16年連続!?愛知県交通事故死者189人

中島みなみ

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68年ぶり100人台、11人減少でも…

 

 愛知県警は1日、2018年の県内交通事故発生状況の暫定数を公表した。年間死亡者数は189人。前年比11人減少。68年ぶりに死者数を100人台に抑えることに成功したが、全国的にみると、全国ワーストの不名誉な記録を16年連続で更新する勢いだ。

 

事故抑止対策はそれなりの効果を見せた。例年12月に事故死者数が増えることを見越して、同月4日に大村秀章知事が交通安全年末緊急アピールを発信。加藤達也県警本部長と共に街頭啓発活動に取り組んだ。重点的な取締りの実施もあり、12月中の事故死者数を前年比で9人減少させることができた。死者数の減少幅は、けして全国的に見ても少なくはない。

ただ、事故傾向から重点分野を作って対策すると、その分野では事故は減るが、他の分野で増えるという“いたちごっこ”が止まらない。すべての分野で全体的に死亡事故を減らせないところが、愛知県の大きな悩みだ。

 

四輪車死亡事故、シートベルト非着用が47.6%

 

 例えば、大村知事は緊急アピールで歩行者に対して明るい色の服装や反射材の利用を呼びかけた。結果的には歩行者の死者数は減ったが、今度は自動二輪車(29人/前年比9人増)など、バイク、自転車の運転者を中心とした事故死者が増えた。また、高齢者の事故を減らそうと働きかけたところ、高齢者の事故は減ったが、16歳~24歳の若者の事故(17人/前年比5人増)が増えた。

 

事故発生場所では三河地域が高く、名古屋市内は低い傾向があった。そのため三河地域に力を注ぐと、今度は名古屋市内の事故(55人/前年比16人)が増えてしまった。(当事者別、年齢層別、地域別の特徴はそれぞれ独立した分析。バイクに乗った若者の事故が多いというような相関関係を示しているものではない)

 

また、飲酒運転中の死亡事故が前年比で9件増加の13件あった。四輪車死亡事故では42人中20人がシートベルト非着用のだった。運転者が心がけがあれば死亡事故に至らなかった状況が、関係者のいらだちを募らせる。

 

 死亡状況は、その年ごとに大きく変動する。それでも愛知県が常に全国ワーストを続けていることは、実は根深い問題だ。全国の交通事故発生状況は仕事始めの4日にしか明かされないが、先駆けて愛知県警が発表する理由は、そこにある。( 中島みなみ・中島南事務所/東京 文京)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。