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2018年2月13日【テクノロジー】

東北大学と東北特殊鋼、圧電素子を超える振動発電機能をもつクラッド鋼板を開発

NEXT MOBILITY編集部

 

東北大学大学院工学研究科材料システム工学専攻 成田史生教授と、東北特殊鋼は、大きな逆磁歪効果(※1)を示し、振動発電機能を有するクラッド鋼板(※2)を共同開発したことを、2月13日に発表した。

 

※1)逆磁歪効果:力を加えることによって材料内部の磁化の強さが変化する現象
※2)クラッド鋼板: 性質の異なる異種の金属を圧着した鋼板

新開発のクラッド鋼板は、冷間圧延鋼板(SPCC相当)とFeCo系磁歪材料(※3)の冷間圧延板を熱拡散接合させたもので、このクラッド構造により、FeCo磁歪材料単独の場合よりも、数倍から20倍以上の振動発電出力が得られると云う。

 

また、電磁力学場の数値シミュレーションにより、増幅機構解明にも成功。

 

この開発により、身のまわりの生活振動や、工場設備などの微小な振動を利用するIoTセンサー用電源や、強靱で衝撃に強い材質を活かした、鉄道車両・自動車などの走行振動や風力・水力などを利用する大型のエネルギーハーベスティングへの応用、省電力が課題のEV(電気自動車)などへの利用が期待できると云う。

 

この新開発のクラッド鋼板は、従来から振動発電素子として知られる圧電素子(※4)と比べ、微小な振動(加速度 0.1 G、振幅 20 µm、周波数 50 Hz)では25倍以上の出力を確認、IoTなどの無線センサー用電源としては、十分な電力が得られ、また破損しにくいという特徴があると云う。

 

加えて、冷間圧延鋼板をニッケル板におきかえたクラッド構造にすると、より大きな出力(圧電素子の50倍以上)が得られ、超磁歪材料 Galfenol(※5)に匹敵する発電性能を有する可能性もあり、現在、調査が進められている。

 

さらに、圧電材料や超磁歪材料の板を用いた振動発電器において、発電効率を大きくするためによく用いられる、板面方向の伸縮を大きくする平行梁構造(※6)のような複雑な構造を必要とせず、クラッド鋼板の単純な曲げ振動により発電できることも特徴の一つだとしている。

 

※3)FeCo 系磁歪材料:鉄(Fe)とコバルト(Co)を主成分とした、磁場によって寸法が変化する材料

※4)圧電素子:加えられた力を電圧に変換する、あるいは電圧を力に変換する素子で、セラミックスが主流
※5)超磁歪材料(Galfenol):通常の磁歪材料に比べ、磁場による形状の変化量が 100 倍程度大きな材料
※6)平行梁構造:2枚の板を平行に並べ、その両端を異種材に接合した構造

東北大学と東北特殊鋼は、以前からFeCo系磁歪材料の共同開発(※7)を行っており、東北特殊鋼では、2016年から自社の鋼材工場の設備の振動を利用したFeCo系磁歪材料による振動発電器を電源とするIoTセンサーシステム(モーター監視)を試験的に運用。

 

今回開発したクラッド鋼板による振動発電器を利用することにより、これまで振動が非常に微小なため、センサーノードが機能しなかった箇所へのシステム拡大を実現したと云う。

 

また、将来の大型化を想定した試験として、クラッド鋼板の小片による振動発電器を、自動車を模した台車に取り付けて走行させる実験(写真)では、数mW(数10V)以上の出力を確認。

 

実際の自動車では W(ワット)級あるいは路面状態によってはそれ以上の発電量が期待できると考えられるとコメントしている。

 

なお、この開発成果は2月12日に米国物理学協会速報誌「Applied Physics Letters」のオンライン版で公開された。

 

※7) 共同開発:科学技術振興機構(JST)の平成 24 年度発足のプロジェクトにおける弘前大学、東北大学、及び東北特殊鋼の3者共同開

 

[問い合わせ先]

 

– 東北大学大学院工学研究科
 材料システム工学専攻
 成田史生(教授)
 TEL/FAX: 022-795-7342
 E-mail: narita@material.tohoku.ac.jp
 
– 東北特殊鋼株式会社
 研究開発部 開発営業チーム:
 E-mail: toiawase@tohokusteel.com

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。