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2023年2月9日【企業・経営】

東京海上日動、空飛ぶクルマのリスク管理ブック公開

坂上 賢治

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空飛ぶクルマ・産業用ドローン事業におけるリスクマネジメントチェックブック

 

東京海上火災保険と三菱総合研究所が共同で事務局を務める「空飛ぶクルマ・産業用ドローン事業に於けるリスクマネジメント検討会(座長:藤田友敬 東京大学大学院法学政治学研究科教授 以下、リスクマネジメント検討会)」は2月9日、〝空飛ぶクルマ〟のリスク管理ブックを無償公開した。

 

この冊子は「空飛ぶクルマ・産業用ドローン事業におけるリスクマネジメントチェックブック(以下、チェックブック)」としたもので、産業用ドローン等の無人航空機の運航に係るリスクを評価し、実用化・事業化へ向けて対策を行うためのチェックブックとなっている。 

 

 

無償公開した理由は、2022年12月に改正航空法が施行され、有人地帯上空での補助なし目視外飛行(レベル4飛行)が実現した事がある。この結果、急速に拡大するドローンの活用や、将来の空飛ぶクルマの活用を見据えたリスクマネジメントが求められるようになった。

 

そうしたなか東京海上日動が2021年度に提唱し設立した「リスクマネジメント検討会」では、事務局を務める東京海上日動と三菱総合研究所が共同で関連する産業の事業者や研究者、法曹界等の多面的な産官学と連携し、国内外で進展するドローン及び空飛ぶクルマの実用化・事業化に向けた環境を整備するために、リスクを網羅的に列挙・整理した基礎資料の作成を検討して来た。

 

このリスクマネジメント検討会としては、空飛ぶクルマに関する社会受容性の向上のために必要な安全性の確保に貢献するべく、広く無人航空機を運航する事業者に使用して貰う事を目的にリスクチェックの質を標準化して取り纏めたチェックブックを無償で提供する事とした。

 

検討会では、2017年に欧州航空安全局が主導し、無人航空機運航のリスクアセスメントとして発行したSORA(Specific Operations Risk Assessment)のリスク評価の分析を踏まえ、運航安全のみならず、第三者の権利侵害、騒音およびセキュリティリスク等、事業者にとってのレピュテーションリスクについても議論を重ねたという。

 

 そんな「空飛ぶクルマ・産業用ドローン事業に於けるリスクマネジメントチェックブック」の概要は、国内の民間事業者が無人航空機または空飛ぶクルマを運航するにあたり、発生しうるリスクを以下の項目ごとに把握し、対策を行うためのチェックブックとなっている。その内容は5分類、約200のチェック項目で構成されており、概要は以下の通り

 

 

  • 安全管理体制の定期的な確認
  • 運航事業者の安全管理体制が確保されているか
  • 地上リスク(地上の被侵害利益)
  • 無人航空機および部品や積載物が落下した場合に地上に及ぼしうるリスク
  • 空中リスク(その他の航空機)
  • 有人航空機やそのほかの無人航空機をはじめ飛行体との空中衝突に繋がりうるリスク
  • 運航におけるその他の第三者権利の侵害リスク
  • プライバシー及び財務など、第三者の権利の侵害を含むリスク
  • その他の事業者自身にとってのリスク
  • 運用を行う上で事業者に財務面で発生する損失など、事業者の運航リスク

 

詳細情報とチェックブックの入手は下記サイトへ
https://www.drone-flyingcar-riskmanagement.jp

 

チェックブックを公開したリスクマネジメント検討会は、今後について、今回のチェックブックを土台とし、業界全体のリスク管理の標準化、将来の安全運航の環境整備、社会受容性を含む今後新たに発生しうるリスクを網羅的に想定して適切な対策を促していく事で、将来にわたってドローン及び空飛ぶクルマを活用した事業の実現に貢献することを目指すとしている。

 

検討会メンバーは以下の通り
50音順(除く座長)

 

座長 東京大学 大学院 法学政治学研究科 教授 藤田友敬

 

東京海上ディーアール株式会社 
ビジネスリスク本部 本部長 宇田川 将生
製品安全・環境本部 本部長 亀崎 洋

 

神⼾⼤学  大学院
法学研究科 教授 窪田充見

 

⼤江橋法律事務所
パートナー弁護士 嶋寺 基

 

TMI総合法律事務所 
パートナー弁護士 白石和泰

 

株式会社三菱総合研究所
営業本部 杉浦孝明

 

東京⼤学
未来ビジョン研究センター 特任教授 鈴⽊真二

 

朝日航洋株式会社 
航空事業本部 エアモビリティ事業部 フェロー 長尾 牧

 

日本航空株式会社
安全推進本部 航空安全研究部 マネジャー 中島徳顕

 

慶應義塾大学 大学院
SDM研究所顧問 中野 冠

 

株式会社ACSL
研究開発ユニット 研究プロジェクト推進グループ 中村 哲
事業推進ユニット 製品開発グループ  國久尚人

 

株式会社SkyDrive
エアモビリティ事業部長 福原裕悟

 

【オブザーバー】
経済産業省 製造産業局 産業機械課 次世代空モビリティ政策室
国土交通省 航空局 安全部 無人航空機安全課

 

【事務局】
東京海上日動火災保険株式会社 営業企画部
株式会社三菱総合研究所 フロンティア・テクノロジー本部

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。