NEXT MOBILITY

MENU

2024年2月5日【イベント】

TRG、小暮選手・山本選手のWRCチャレンジプログラム開始

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生、小暮ひかる選手と山本雄紀選手が、2024年シーズンの初戦として2月2日(金)から3日(土)に掛けて開催されたフィンランド・ラリー選手権第1戦「アークティック・ラップランド・ラリー」にGR Yaris Rally2で参戦。Rally2車両での初出場となったラリーで完走を果たした。

 

WRCチャレンジプログラムの2期生として、小暮と山本は最初の2年間を2輪駆動のRally4車両で戦い、実戦経験を積んできた。

 

そして3年目となる2024年は、よりハイスピードかつパワフルな4輪駆動車両のRally2にステップアップ。Rally2は、WRCのトップカテゴリー・ラリーカーであるRally1に次ぐ、高いパフォーマンスを備えたラリーカーとなる。

 

 

小暮選手と山本選手がドライブするクルマは、今年1月に開催された2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロで実戦デビューを果たしたばかりの、GR Yaris Rally2。彼らにとっては大きなチャレンジとなった。

 

アークティック・ラップランド・ラリーは、多くの強豪選手が出場するフィンランド・ラリー選手権の第2戦であり、北極圏の入り口であるロヴァニエミを拠点に12本、合計199.95kmのスペシャルステージ(SS=競技区間)で競われた。

 

路面は全て積雪および凍結路であり、非常にハイスピードなスノーラリーとしても知られている。また、一日の終りには暗闇の中を走行するナイトステージも用意された。

 

小暮選手と山本選手は一年前、このラリーにRally 4で出場した。しかしRally2での出場となる今年は走行スピード域が大幅に上がるため、全てのステージを走りきり、できる限り多くの経験を積むことを目標にラリーをスタート。両名とも全ステージを走破し、その目標を達成した。

 

昨年に続き、コ・ドライバーのトピ・ルフティネン選手とコンビを組んで出場した小暮選手は、初日の金曜日から速さを示しSS3ではSM1クラス6番手タイムを記録。クラス9番手で金曜日を終えた。

 

土曜日の午前中には、クルマの技術的な問題でタイムを失ったが、サービスで問題が解決した後は順調に走行。柔らかい新雪に覆われた難しいステージや、全長32.65kmのロングステージを走破し、SM1クラス8位でフィニッシュした。

 

一方、山本選手は、昨年をもってWRCチャレンジプログラムを「卒業」した勝田貴元選手とも以前ペアを組んでいた、マルコ・サルミネン選手を新たにコ・ドライバーとして迎えて今シーズンをスタート。

 

土曜日午前中のステージではオーバーシュートによりタイムを失ったが、その後は良い走りを続けて挽回し、SS10ではSM1クラス4番手タイムを記録。小暮選手と1.7秒差のSM1クラス9位でRally2デビュー戦を終えた。

 

以下はドライバーコメントとなる。

 

小暮ひかる選手:
まず何よりも、このラリーを完走することができて嬉しいです。始まる前は少しナーバスになっていましたが、全てが上手く行きました。

 

GR Yaris Rally2のフィーリングはとても良く、結果にも満足しています。運転のリズムとクルマのフィーリングを掴むことに集中していたので、自分のスピードに関してはそれほど意識していませんでしたが、結果的に速さもあったので良かったです。

 

GR Yaris Rally2に乗り換えてスピード域は上がりましたが、落ち着いてスムースに走ることができたので満足しています。路面が荒れていたり、滑りやすいコンディションでは少し苦戦し、特に金曜日のスーパーSSは手を焼きました。それでもシーズン最初のラリーでしたし、次のラリー・スウェーデンに向けて改善に集中したいと思います。

 

山本雄紀選手:
とてもいい経験になりました。GR Yaris Rally2で出場した初めてのラリーで、何もかもが新しくワクワクしていました。ラリーを完走し、全てのステージを走り切ることが今回の目標でしたし、絶対にやり遂げなければならないことだったので、達成することができて本当に良かったです。

 

ラリー前のプレイベントテストでは非常にいいフィーリングが得られていたので、ラリー本番でも同じリズムをキープすることを心がけていました。もちろん、様々なコンディションに直面したため簡単には行かず、序盤は少し慎重になり過ぎました。

 

しかし、ステージを重ねるごとに自信がつき、フィーリングもどんどん良くなって行きました。今回、いくつか異なるタイプのステージを走れたことは、ラリー・スウェーデンに向けていい予行演習になりましたし、次のチャレンジに向けて心の準備もできました。

 

 

最後にチーフインストラクターのミッコ・ヒルボネン氏は、「ひかると雄紀にとって、エキサイティングな一週間でした。彼らは多くの新しいことに直面しましたし、新しいGR Yaris Rally2をドライブすることにもプレッシャーを感じていたはずです。

 

また、彼らにとっては昨年8月のラリー・フィンランド以来となるラリー出場だったので、テストの数こそ多かったとはいえ、競技という点では長いブランクがありました。それを考えると彼らはよくやったと思います。

 

ステージはグラベル(砂利)が多く出ているような難しいコンディションだったため、タイヤを少しセーブすることも考えなければなりませんでした。それでも、ふたりともプッシュできる時にはプッシュし、本当に堅実でスマートなドライブをしたと思います。

 

一番の目標は新しいクルマでできるだけ多くの距離を走ることでしたが、ふたりとも非常にうまくやってくれました。ラリー・スウェーデンに向けての素晴らしい準備になりましたが、それはまた別のチャレンジです。

 

それでも、タイヤマネージメントや、競技レベルのスピードでこのクルマを走らせる方法など、今回のラリーで多くの経験を積むことができたと思います。彼らがいいスタートを切ったことに、とても満足しています」と話している。

 

アークティック・ラップランド・ラリーの結果(SM1クラス)
1 Mikko Heikkilä/Kristian Temonen (Toyota GR Yaris Rally2) 1h41m02.8s
2 Teemu Asunmaa/Ville Mannisenmäki (Škoda Fabia RS Rally2) +7.3s
3 Roope Korhonen/Anssi Viinikka (Toyota GR Yaris Rally2) +35.7s
4 Georg Linnamäe/James Morgan (Toyota GR Yaris Rally2) +57.0s
5 Benjamin Korhola/Miikka Anttila (Hyundai i20 N Rally2) +1m37.5s
6 Niclas Grönholm/Tomi Tuominen (Škoda Fabia R5) +2m31.2s
8 小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Toyota GR Yaris Rally2) +3m51.2s
9 山本 雄紀/マルコ・サルミネン (Toyota GR Yaris Rally2) +3m52.9s

 

なお小暮選手と山本選手の次戦は、2月15日から18日にかけてスウェーデン北部で開催される、WRC第2戦「ラリー・スウェーデン」となる。

 

今回のアークティック・ラップランド・ラリーと同じように、雪と氷に覆われた森林地帯の未舗装路が舞台となるこのスノーラリーは、スウェーデン北部のウーメオーを中心に行われる。

 

小暮選手と山本選手は昨年もRally4車両でラリー・スウェーデンに出場したが、今回はよりハイパフォーマンスなGR Yaris Rally2での出場となり、WRCのサポートカテゴリーである「WRC 2」に初めて挑むこととなる。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。