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2019年5月2日【オピニオン】

米TRIのベンチャー基金、1億ドル規模の新ファンド設立へ

坂上 賢治

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先の1号ファンドに続き、自動運転モビリティやロボティクス関連のベンチャー企業へ投資をさらに継続

 

 人工知能や自動運転・ロボティクスなどの研究開発を行う米TRI(Toyota Research Institute)傘下のベンチャーキャピタルファンド「TAIV(Toyota AI Ventures)」は5月2日、自動運転やロボティクス関連分野に取り組むベンチャー投資基金として新たな2号ファンドを設立すると発表した。(坂上 賢治)

 

 このTAIVは、起業家精神にあふれた企業と人材の連携拡大を目的に1億ドルを投じて、2017年7月に設立された。設立から現在までにTAIVは、様々な技術・事業領域に取り組むベンチャー企業19社に投資を行ってきた。

 

今回の2号ファンドの設立により、将来有望なベンチャー企業へ投資やサポートを行うTAIVの資産総額は1号ファンドをあわせて2億ドル以上に拡大した。

 

 こうした取り組みについてTAIVのマネージング・ダイレクターを務めるジム・アドラー氏は「自動車業界の急速な変革期で先頭に立つには、自動車メーカーはベンチャー企業のエコシステムに参画する必要があります。

 

 

ベンチャー企業への投資により、モビリティにおける最新のイノベーションを発掘することにつながる長期的関係を築くことができるのです」と語っている。

 

 TAIVは、対象を限定しない様々な業界で人工知能、データ、クラウド技術などを使って重要社会課題の解決や新たな市場創造に取り組む設立間もないベンチャー企業を投資対象としている。

 

現在の投資先は、日常生活の自動化支援に使われるロボットを開発する「Elementary Robotics」、人工知能の認識技術を活用して人と共生するロボティクス技術に取り組む「Intuition Robotics」、一般乗客向け電動垂直離着陸機サービスの先駆者である「Joby Aviation」、レベル4自動運転のシャトルサービスをコミュニティ内で提供する「May Mobility」、船舶業界向けの自動操縦・ナビゲーションシステムに取り組む「Sea Machines」など、多岐に亘っている。

 

 

TAIVはこれまでも出資に加えて、製品の市場導入適合やトヨタの専門技術・グローバルネットワークの活用など、投資先企業の長期的な成功に向けた支援を行ってきたが、2号ファンドを活用することで、新たにこのような投資先への支援も拡充していく構えだ。

 

 この積極的な姿勢についてTRIのCEOで、TAIVの投資委員会メンバーでもあるギル・プラット氏は「自動運転システムへの関心の高まりは、AIや次世代モビリティ技術を活用して私たちの生活を向上させる大きな機会をもたらしています。

 

TAIVは、テクノロジーベンチャー企業と新たに生まれつつあるモビリティ産業との橋渡しをすることにより、私たちが将来の有力なリーダーたちを見つけ出し、投資を行うことの助けとなります」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。