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2024年2月8日【CASE】

ボルボ・カーズ、イェーテボリにモビリティの技術拠点

坂上 賢治

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ホームタウンのトースランダに設ける「自動車技術を育むゆりかご」

 

ボルボ・カーズは2月8日、自社100年のホームタウンであるイェーテボリ・トースランダの地に、次世代のプレミアムEVを支えるための基礎技術を育むだけでなく、新素材の研究、Vehicle-to-Gridなどのワイヤレス双方向充電技術、自動運転機能などを磨き、生み出すための最先端拠点「モビリティ・イノベーション・センター」を設立することを明らかにした。( 坂上 賢治 )

 

なおこのトースランダを含む敷地は、更に拡張工事の手が入り、周辺のエリアには、ボルボ・カーズ自らが自社のビジネスパートナーやスタートアップ企業の招聘も行っていくとしている。

 

同社のジム・ローワンCEOは、「私たちは、新たな研究開発拠点を造るこの取り組みを介して、車載テクノロジー、そしてクルマを取り巻く走行環境や、インフラ施設など、モビリティの未来を発展させるエコシステムを構築することを目指しています。

 

そんな私たちが掲げるテーマと目標の最終到達点は、現在のテクノロジーを更に切り拓き、グローバル人材を惹きつけ、他の最先端ビジネスと繫がることにあるのです。

 

従って全く新しく設けられるイノベーション・センターでは、ラボ内で基礎技術を研究するだけではなく、未来の社会を模した環境下で先端技術をテストすることができる拠点となります。

 

実証実験のための街を作って、次世代のイノベーションを試す

 

つまり私たちが未来を想定して生み出した次世代のイノベーションを、ひとつの都市環境のような場所でテストし、検証し、展開することができるようになるのです」と述べた。

 

そこでまずは新たな拠点を作るための第一のステップは、既存の敷地の向かい側に近代的なオフィスビルを建設すること。そんな新たな建物は、2030年までに完全な電動化を実現し、新しいテクノロジーとサステナブルなモビリティ業界のリーダーとなるというボルボ・カーズの戦略的目標を実現するための極めて重要なものだとしている。

 

 

最初に新設される25,000平方メートルの建屋は、ボルボ・カーズ占有の拠点となる予定で、木造用建築素材を組み合わせたハイブリッド構造となる。

 

それは鉄骨とコンクリートからなる従来の骨組みと比べ、二酸化炭素排出量を15%削減できるものとなりそうだ。着工自体は、2024年第2四半期を予定しており、2026年までに完成する。従って2027年のボルボ・カーズ創立100周年には間に合う予定としている。

 

なおこれらの拠点の新設計画には、イェーテボリ市が計画している「イェーテボリ・グリーン・シティ・ゾーン構想」のなかに含まれている。

 

各々の実証拠点をネットワークで結び、新たなクルマづくりを目指す

 

このイェーテボリ市計画の当該ゾーンには、ボルボ・カーズ以外のイェーテボリ市との関係が深い企業の他、研究者達も集い、2030年までに排出ガスゼロの交通を実現することを目標に、次世代の乗り物の研究・開発と共に、インフラの面でも新しいテクノロジーをテストできる地域に仕立てられていく予定だ。

 

ボルボ・カーズとしては、この「イェーテボリ・グリーン・シティ・ゾーン構想」の区画のなかに、最近オープンしたボルボ・カーズのソフトウェア・テストセンターを筆頭にデザインセンター、パイロットプラント、バッテリーラボ、風洞、衝突テストラボを備えたセーフティセンターなど、試験・開発拠点を含む強力なエンジニアリング施設が含まれる。なおNorthvolt社との合弁会社Novo社による新しいバッテリー工場も同じ拠点内に建設中だ。

 

また、この新たなテック・ハブは、スウェーデン(ストックホルムとルンド)政府、ポーランド(クラクフ)政府、インド(バンガロール)政府、シンガポール政府も協力する形で運営される。

 

また、ボルボのエンジニアリング・センターは、イェーテボリ同拠点の他に、中国・上海にも設けられている。それぞれの拠点は、個々に独自に重点研究領域を持っており、全体として各国に配された技術イノベーションの重要なネットワーク網の一部を担い合っている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。