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2023年6月28日【エネルギー】

ボルボカーズ、北米地域でテスラ製充電器の利用を可能に

坂上 賢治

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ボルボカーズは6月27日、来たる2025年以降の北米向け仕向け車に、北米充電規格(NACS)の充電ポートを搭載すると発表した。これにより当該車は米国、カナダ、メキシコ全土のテスラ製スーパーチャージャー(域内12,000台)を利用出来るようになるという。( 坂上 賢治 )

 

このNACS規格とは、米テスラ(Tesla)が2022年11月に世界に向けて開放した充電コネクター規格を指す。当地のAC充電と最大1MWのDC充電に対応している。

 

テスラは先の2022年11月11日、自社の充電コネクターと充電ポートを自社の機器や車両に設置するよう充電ネットワーク事業者や自動車メーカーへの打診を開始していた。

 

一方、北米では独フォルクスワーゲンやフォード、GMが参画するCharIN(CCS策定団体)によるCCS1充電器が並列して存在している。その違いは、NACSが可動部品がなく、CCS1コネクターの半分の大きさで2倍の充電パワーを備えている点にある。

 

また北米に於けるEVの充電ネットワーク網は、テスラが敷くNACS網・約1万9000基の規模に対して、CCS1網は約1万5000基の規模と見劣りする。またこれを前提にフォード(今年5月)・GM(今年6月)が相次いでNACS規格の採用計画を発表。この結果、北米地域では充電規格のデファクト化が進んでいく流れだ。

 

こうしたなかボルボ・カーズは、テスラと契約を結んだ最初のヨーロッパの自動車メーカーとなり、現在および将来のボルボ製EVは、全米のNACS(スーパーチャージャー)網にアクセス出来るようになった。

 

ボルボ・カーズは「この協定により、米国のボルボ車は12,000 か所の新しい急速充電ポイントにアクセス出来るようになり、テスラが当該地域でスーパーチャージャーネットワークを拡大し続けるにつれて、この数字は更に増加すると予想されています。

 

これらの新しい充電ポイントは、ボルボのドライバーが既存の何万もの急速充電ポイントにアクセス出来る機能が加えられ提供されます」と記している。

 

なおボルボ・カーズのジム・ローワン最高経営責任者(CEO)は「2030年までに完全電気自動車を実現するための取り組みの一環として、電気自動車のある生活を出来るだけ楽にしたいと考えています。

 

そもそも交通機関による移動を、より持続可能なものにするための重要なステップである電気自動車への移行を、より多くのお客様へご利用頂くための最大の阻害要因は、簡単で便利な充電インフラへのアクセスです。

 

私達は、このテスラとの合意により、米国、カナダ、メキシコのボルボ車ドライバーに対して、EV利用に係る敷居のひとつを取り除く大きな一歩を踏み出します。

 

XC40およびC40 Rechargeから、最近発表されたEX30およびEX90に至るまで、ボルボ・カーズの現行ラインナップのドライバーは、ボルボ・カーズ・アプリを通じて簡単に充電場所を見つけることが出来、スーパーチャージャーを使用出来るようになる予定です。

 

より具体的には2024年前半から、NACS規格に対応したアダプターを使用することでテスラのスーパーチャージャー・ネットワークに接続出来るようになります。

 

またNACS 充電ポートを装備したボルボ車のドライバーが、既存の複合充電システム (CCS1) の充電器を介して充電を継続したい場合、ボルボ カーズが提供するCCS1対応アダプターを使用して充電を続けることが出来ます」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。