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2023年12月13日【エネルギー】

蓄電池ベンチャーのソリトール、全固体電池の量産を目指す

坂上 賢治

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SOLiTHOR の新しい最先端の施設蓄電池ベンチャーのSOLiTHOR(ソリトール)は12月12日(ベルギー・リンブルフ州シント=トロイデン発)、液体電解質を一切持たないリチウム電池開発で、試作段階を超えて、リチウム金属アノードを使用した完全全固体リチウム電池の量産試作に向けて漕ぎ出したことを明らかにした。

 

同社によると、半固体電池とは異質の新型電池開発にあたって最も重要な課題は、ユニット内に於いて電気化学的特性と機械的特性の両立を維持しながら、固体電解質ユニットの厚みを極限まで薄くすることにあるという。

 

ソリトールは、過去 18 か月余りの開発期間を経て、固体電解質コンポーネントの厚さを 18分の1に減らし、固体電解質セパレータ厚35μm (+/-5μm)を達成した。

 

そもそも同社は、当初から電動航空機並びに空飛ぶクルマ、航空宇宙分野に焦点を当て続けており、ひたすら当該用途に適した独自の充電式全固体リチウム電池セル実現のための技術を磨いてきた。

 

現在、完成に近づきつつある薄型セパレータは、航空業界が求める厳しい安全要件を満たすだけでなく、航続距離の延長・軽量化という面でも、より高いエネルギー密度を達成させるための最重要ステップとなる。

 

ソリトールのヒュー・ハンプソン・ジョーンズCEOは、「当社は、航空機の完全電動化を可能にするための技術開発に取り組むだけでなく、機体に搭載できる最終製品の製造・商品化自体を創業の目的としています。

 

そこで、この目標を達成させるべく我々は昨年 8 月、シント=トロイデン内に約3,000平方メートル敷地面積を持つ最新鋭施設を設けました。この新たな施設では、電動航空機や電動船舶用の実証セル製造を視野に400平方メートルの乾燥室を含む新たなパウチセル製造設備を導入。

 

目下スタックレベルで700Wh/Lを実現した蓄積技術を糧に、今は800+Wh/Lスペックの量産向けスタックの開発に取り組んでいます。ちなみに現段階で、その歩みは245Wh/kgを達成しており、第1世代となる実証製品の短期目標を327Wh/kgとしています。

 

また施設内に設けた新テストセンターでは、製品仕様を電動航空機の飛行認証プログラムに準拠させるべく研究・開発に取り組んでおり、現場での熱機械特性で我々の固体電解質コンポーネントは120°Cの高温に耐えられる段階に到達しています。

 

これは常にセパレーターが、あらゆる条件 (温度) で正極と負極を確実に分離する必要があることから大きなアドバンテージになります。今後、我々の充電式全固体リチウム電池は、電動航空機領域を出発点に、電動船舶へと用途の幅を広げていき、いずれ大規模量産技術を蓄積した暁には、電動モビリティ分野へと進出していく考えです」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。