NEXT MOBILITY

MENU

2024年2月6日【ソフトウェア】

BASF、GLASSツールで塗装工程全域のCO2削減へ

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

GLASSツールが製品カーボンフットプリントと塗装工場の透明性を実現

 

BASFのコーティングス事業本部は2月6日(独・ルートヴィッヒスハーフェン発)、GLASSツールを通じた透明性を実現化する分析アプローチを提供する。

 

GLASS( Global Life Cycle Assessment of Automotive Surface Solutions )ツールとは、CO2排出量や関連コストなど、環境への影響を分析・特定するための手段を指すもの。

 

このツールによる分析では、ゆりかごから墓場までのアプローチに従い、原材料採取や塗装前処理工程。更には自動車塗装の最終段階であるクリヤーコート塗装工程に至るまでのバリューチェーン全体が透明化できるようになる。

 

結果、BASF製品を使用する顧客はコスト、パフォーマンス、エコロジカルフットプリントの全域でCO2排出量に係る最適化を導き出すことが可能となる。なお、このBASFのGLASSツールは、独立した第三者機関によってテストされ、DIN EN ISO 14040および14044に準拠した関連要素を満たしている。

 

重要なのは、塗装工程全域のフットプリントやエネルギー負荷を透明化すること

 

このツールについて、BASF自動車部門でEMコーティングスのグローバル・マーケティング担当バイスプレジデントを務めるサブリナ・プラゼック氏は、「一般的に製造車両1台あたり約30kgのCO2が塗膜から排出されています。

 

 

しかし、実塗装工程の全域から捉えると車両1台あたり、少なくとも車両製造工程の約3分の1に相当する150kgのCO2が排出されており、はるかに大きな影響を与えています。

 

そのため塗装工場に於ける塗装工程のフットプリント、更にはエネルギー消費量と関連コストを透明化することが重要です。

 

そのためには包括的なデータとシミュレーションがあってことで、その結果、初めて、効果的な対策を導き出すことができるようになります。GLASSツールは、それを実現するものであり、業界にとって非常に有益な知見をもたらします」と説明した。

 

塗装工程全体の一貫した要素・環境への影響を分析することが可能に

 

そんなGLASSツールは、適合したライフサイクル分析モデルに基づいている。これは、特定のオーブンや塗装システムといった塗装工程の個々の側面を考慮するだけではなく、BASFの製品を利用する顧客とBASFコーティングス事業部が塗装工程全体を通して環境への影響を分析することを可能にするという。

 

それは地域の気候条件、エネルギー使用、顧客環境下での固有の塗装プロセスや生産構造など、地域や土地固有の要因も考慮され、その結果、初めて塗装ライン全体のCO2排出量の削減効果に係る検討と分析を可能にする。

 

そうした背景と効果の算出手段についてBASFコーティングス事業部のライフサイクル・アセスメント・エキスパート兼GLASSツールの開発者のティム・バニック氏は、「全行程を透明性していくことで私たちは、お客様に的を絞ったアドバイスを提供でき、バリューチェーンの初期段階に於けるCO2削減技術がどのようなものであるか。また、お客様の環境に適したCO2削減効果の高いソリューションを提案、並びにその効果を語り合うことができるようになります」と述べている。

 

また、BASFコーティングス事業部のサステナビリティ担当ディレクターであるDr.マーカス・ピーペンブリンク氏は、「私たちは業界のサステナビリティをリードすることを目指しています。そのゆえサステナビリティは私たちのすべての行動の中心にあります。

 

我々が市場から頂戴している数々の好意的なフィードバックは、我々の目指すツールやソリューションづくりが正しい道であることを証明しており、長期的には、そんなGLASSツールに関しては自動車OEMコーティング業界だけでなく他分野にも提供していきたいと考えています」と結んでいる。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。