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2018年5月17日【テクノロジー】

ボッシュ、二輪車の自動運転関連技術のパッケージシステムを開発

NEXT MOBILITY編集部

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ボッシュは、ライダーの死亡事故を防ぐことを目的に、アダプティブ クルーズ コントロール、衝突予知警報、死角検知を含む、二輪車の安全性を向上するパッケージシステムを開発した。

 

このライダーアシスタンスシステムは、2020年から量産を開始し、Ducati、KTMなどの二輪車メーカーの車両に採用される予定だ。

ボッシュ・ロゴ

クラッシャブルゾーン、エアバッグやシートベルト等によって安全性を高めることができる自動車に対し、二輪車のライダーは、自動車のドライバーよりも死亡事故のリスクが、平均で約20倍高くなると云う。

 

そうしたことを背景に、ボッシュは自動車の自動運転を実現させるための関連技術をベースに二輪車の安全性を向上するパッケージシステムを開発。

 

この技術について、ボッシュは、ライディングの楽しさを損ねることなくライダーの責任を奪いすぎない、Accident-free(交通事故のない)のライディングの実現に向けた次のステップであるとコメント。

 

同社取締役会メンバーのディルク・ホーアイゼル (Dirk HoheiseI) 氏は、「ボッシュはライディングの安全性を新たな次元へ引き上げます」と述べている。

 

ボッシュの事故調査報告では、二輪車事故の主要因の2つは、ライダーが二輪車を制御できなくなってしまうことと、他の車両との衝突。

 交通事故の10件中9件が人為的なミスに起因することから、二輪車車両によりインテリジェントな安全技術を装備すべきだと主張している。

 

同社は既に、二輪車向けにABS(アンチロック ブレーキ システム)や、MSC(モーターサイクル用スタビリティコントロール)などのアシスタンスシステムを提供しているが、さらにその先に進み始めている。

 

同事故調査報告ではまた、レーダーベースのアシスタンスシステムの装備で、二輪車事故の7件に1件を防ぐことができたともある。

 

同社は、レーダーが二輪車の感覚器官としての役割を担う電子制御式ライダーアシスタンスシステムが、周囲を常にモニターすることで、危機的状況下で人間よりも迅速に対応できるとしている。

 

ボッシュのモーターサイクル&パワースポーツ事業部門を率いるジェフ・リアッシュ (Geoff Liersch) 氏は、「未来の二輪車は、見て感じ取る能力を備える必要があります」と、述べている。

 

[ボッシュの新しい二輪車向けテクノロジーについて]

 

○ ACC(アダプティブ クルーズ コントロール)

 

ACCは交通の流れに合わせて車速を調整し、前走車との安全な距離を維持、前走車との距離が不十分なために発生する追突を効果的に防ぐ。ACCの装備で、ライダーは利便性の向上を感じるだけでなく、渋滞の中でも走行により集中できる。

 

 

○衝突予知警報

 

追突事故のリスクを低減、または二次衝突の被害をできるだけ軽減する二輪車向けの衝突予知警報。このシステムは、車両が始動するとすぐに作動し、速度域全体でライダーをサポートする。他の車両が危険なほど接近し、ライダーがその状況に何も対処しないことを検知すると、聴覚的、または視覚的な信号を通じてライダーに警告する。

 

 

○死角検知

 

車両の周囲をモニターし、ライダーが安全に車線を変更できるように支援する。その際、電子の目として機能するレーダーセンサーが、ライダーから見えづらい位置にある対象物を確認し、死角に車両が来た際には、ミラーに視覚信号などを表示し警告する。

 

 

ボッシュは、こうした二輪車向けアシスタンスシステムが、Emission-free(排出ガスのない)、Accident-free(交通事故のない)、そしてStress-free(ストレスのない)のモビリティというビジョンの実現に向けたさらなる一歩になるとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。