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2023年11月22日【ソフトウェア】

デンソー、ロボットの高速同時作業を実現する技術開発に成功

坂上 賢治

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3台のロボットによる高速同時作業の様子

 

ロボットの動作経路を自動生成するAIアルゴリズムを開発

 

デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:林 新之助)は11月22日、複数台のロボットが高速で同時作業するための最適な動作経路を自動生成するAIアルゴリズムを開発した。

 

通常、ロボットの動作を設計するには、ティーチングと呼ばれる作業で専門の技術者がロボットを実際に動かしながら動作を作り込んでいく必要がある。

 

更に実際の生産現場では、時間当たりの作業量を増加させたり、ロボットに複雑な作業を担わせたりするために、複数台のロボットによる同時動作が求められる場合もあるが、複数台のロボットに対するティーチングは、互いが衝突せず、動作時間が短い最適な経路で動くよう調整しなくてはならず非常に難しい作業となる。

 

今回デンソーは、専門の技術者による複雑なティーチングを行うことなく、AIアルゴリズムによって動作経路を自動生成する技術を開発した。

 

一般的に、アルゴリズムによる動作経路の自動生成は、ロボットが複数台の場合、経路パターンが膨大となり、実用的な計算時間で、最適な経路を算出するのは難しい。

 

一方でデンソーが開発したAIアルゴリズムでは、経路を最適化する処理の過程に於いて、熟練のロボットティーチング技術者の知見を反映し、有望な経路パターンの絞り込みを効果的に行うことで経路最適性と計算高速性を実現させている。

 

こうした経路最適性と計算高速性のレベルの高さを確認するために、今回、3台のロボットが高速に作業対象を整列する実証試験を行ったところ(CDを整列するデモンストレーションを実施)、熟練のロボットティーチング技術者が動作設計したロボットに比べ、デンソーが開発したAIアルゴリズムを使用したロボットでは作業時間を20%以上低減できることを確認した。

 

AIアルゴリズムを使用した複数台のロボットが、高速で同時作業するための動作経路を、実際の生産現場でも活用可能な高いレベルで自動生成できる例は他に無く、これは世界トップクラスの技術となる。

 

デンソーは、今回開発したAIアルゴリズムをデンソーウェーブ製のロボット向けに実用化することを目指す。これが実用すれば、人手でのティーチングに掛かる時間を大幅に低減させることが可能になり、生産設備の導入時間を短縮することに繫がる。また、技術者の不足に悩む製造業の人手不足解消にも繫がると考えている。

 

そこでデンソーは、デンソーウェーブと共に11月29日から12月2日まで東京ビッグサイトで開催される「国際ロボット展2023」で、今回開発した技術を参考出展する。会場では、3台のロボットが高速に作業対象を整列する実機でのデモンストレーションが披露される見込みだ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。