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2019年7月10日【テクノロジー】

GLM、ユニバンスと4駆EV試験開発。人くる2019名古屋

NEXT MOBILITY編集部

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電気自動車(EV)メーカーのGLMは、トランスミッション(変速機)などの駆動装置を手がけるユニバンスと協業し、同社の電気自動車・ハイブリッド車向け2段変速トランスミッション「Dual motor Multi driving mode e-Axle」を前後に搭載した4輪駆動のEV試験車両を開発した。

 

この事業は、「部品・素材・化学メーカー等の自動車関連事業の技術・開発支援」や、「自動車メーカーのEVの量産・研究開発支援」を展開する GLMの「プラットフォーム事業」の一環で、同社との協業は今回が初となる。

この試験車両に搭載したトランスミッションは、ユニバンスが独自に開発したもので、2基のモーター&インバーターと、2段階変速ができるギヤを組み合わせたユニット。

 

試験車両では車両の前後に、同一のユニットをそれぞれ配置し、4輪駆動が可能。一つのモーターで回転数、駆動力をコントロールするEVが多いなか、このユニットでは、走行条件に応じて2基のモーターの出力を制御、ギヤによる変速も行えるため、電力消費を抑えることができると云う。

 

 

 

 

GLMは、ユニバンスのような先進的な取り組みを行う企業に対して、完成車開発で培った知見・ノウハウを提供し、各企業の自動車関連事業参入・拡大をサポート。今後はショーカーだけでなく、量産化を見据えた研究開発分野での案件を、これまで以上に増やしていくとしている。

 

なお、この試験車両は、7月17日(水)から開催される「人とくるまのテクノロジー展 2019 名古屋」で、ユニバンス・ブースで展示される。

 

 

[4輪駆動・EV試験車両の特徴]

 

■低出力モーターを組み合わせることで車の低コスト化に貢献

 

一般的なEVの多くは、変速機構を持たず、低速域から高速域まで、出力の大きな一つのモーターで、回転をすべての領域に対応させながら走行。しかし、モーターにはそれぞれ効率のいい駆動領域があり、一つのモーターですべてを補おうとすることで、消費電力・パワーともにロスが大きくなる場合がある。

 

今回搭載した2基のモーター&インバーターでは、低速ギヤ段、高速ギヤ段に、それぞれ量産予定の低出力のもの(48V)を使用。2基を組み合わせることで、相互の苦手領域を補い、効率の良い、低電費走行を実現する。

 

 

<車両フロント部分(中央:トランスミッション)>試験車両は、48Vシステムで構築。欧州を中心に拡大が予想される48V電動パワートレインの検証も可能。

<車両フロント部分(中央:トランスミッション)>試験車両は、48Vシステムで構築。欧州を中心に拡大が予想される48V電動パワートレインの検証も可能。

 

 

また、それぞれに、より高電圧、大出力なモーターを取り付けることもできるため、軽自動車から大型トラックまで様々なパワートレインに対応することができる汎用性も兼ね備えている。

 

ユニバンスは、今年8月から、本車両を用いた走行試験を開始し、国内外の自動車メーカーおよび部品メーカーへの量産採用を目指し、2025年までの量産を目指している。

 

 

■GLMの第1世代プラットフォームをベースに4輪駆動化

 

GLMでは、「車体設計」と「電装設計」を担当。ベースとなったGLMの第1世代プラットフォームは、車両後部にモーター、バッテリーなどの主要ユニットを配置する後輪駆動(MR)の車両だが、今回製作した試験車両は、新機構の搭載にあたり、専用に設計。

 

 

バッテリーからの電力を各モーターやユニットに配電するためのリレー、端子等がまとまったユニット

バッテリーからの電力を各モーターやユニットに配電するためのリレー、端子等がまとまったユニット

 

 

前後に、同ユニットをレイアウトした4輪駆動とした他、サスペンションをダブルウィッシュボーン形式からプッシュロッド形式に変更し、前部のドライブシャフトなど、新たに必要になる部品の搭載スペースを確保している。

 

 

 

 

また、4つのモーターへの大電流を制御するための「ジャンクションボックス(※1)」や、ハーネス(配線)システム、ユニバンスが開発した専用システムとの通信機能、といった電装系を新規に開発。合計4機のモーターが安全に、独立して制御できるようにするなど、これまでスポーツEV開発で培った電装技術が生かされている。

 

 

 

 

[展示概要]

 

<展示場所>

 

「人とくるまのテクノロジー展 2019 名古屋」 第3展示館 138番 ユニバンスブース

 

<住所>

 

〒455-0848 名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地
「ポートメッセなごや」(名古屋市国際展示場)

 

<開催日時>

 

2019年7月17日(水)~19日(金)
時間17~18日:10:00~18:00 / 19日 10:00~17:00

 

<備考>

 

車両展示のみで、式典等は行わない。

 

 

[GLM会社概要]

 

– 社名:GLM株式会社
– 設立:2010年4月1日
– 本社:〒612-8418 京都市伏見区竹田向代町 74-3
– 代表:代表取締役 ジュリアン・アレクサンダー・カー

 

 

[問い合わせ先]

 

GLM株式会社

担当:河内
電話:075-681-5252

 

 

■GLM株式会社:https://glm.jp/
■株式会社ユニバンス:https://www.uvc.co.jp/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。