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2017年11月28日【テクノロジー】

日立金属、レア・アース企業の三徳と子会社化に向けた基本契約締結で合意

坂上 賢治

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日立金属は11月28日、レア・アースの原料から高純度化合物、各種合金までを取り扱うレア・アース総合メーカーの三徳と三徳株式を取得し、三徳を子会社化する手順について合意し、基本契約を締結した。(坂上 賢治)

 

但し上記三徳の子会社化については、公正取引委員会による承認を前提としている。日立金属の磁性材料カンパニーは、世界最高レベルの磁力を有するネオジム磁石 NEOMAX®を軸に、自動車分野をはじめ、IT・家電分野、産業機械分野、医療・環境・エネルギー分野で小型・軽量化、高効率・省エネルギー化、環境性能向上に重要な材料として、高性能磁石を幅広く供給している。

 

 

一方、三徳は世界で初めてレア・アースの溶融塩電解(レア・アースを含む酸化物から電気分解によってレア・アースを分離する方法)やレア・アース急冷合金(急冷することで組織を微細化したレア・アース合金)の量産化に成功するなど合金組織制御技術中心に高い技術力を保有し、レア・アースの原料から高純度化合物、各種合金までを一貫生産している。

特にネオジム磁石の原材料となるネオジム磁石合金については、その製法であるストリップキャスティング(溶解した材料を、回転するロール上で急冷し凝固させる方法でネオジム磁石合金の一方向凝固薄片を量産化する技術)に関連する特許を保有し、レア・アース総合メーカーとして世界をリードしてきた。

 

 

対して日立金属では、EV・HEVの総称である「xEV」などの分野での成長が見込まれる中で、高性能磁石の競争力強化目指し、生産体制強化と原材料から製品に至るマテリアルフローの最適化に取り組んできた。

その一環として同社は、ネオジム磁石合金製造や新たなリサイクル技術の開発に積極的な投資を行ってきたが、さらに取り組みを加速するために三徳を子会社化した。

 

日立金属は今回の三徳の子会社化により、ネオジム磁石事業の合金製造から磁石製造、リサイクルまでの一貫生産体制を整備することで、安定生産体制を構築し、グローバル市場で持続的な成長を実現していく構えだ。

 

なお三徳の概要は以下の通り
名 称:株式会社三徳
所 在 地:兵庫県神戸市東灘区深江北町 4 丁目 14 番 34 号
代表者の役職・氏名:代表取締役社長 岡田 力
事 業 内 容:希土化合物、希土メタル、磁石材料、電池材料の製造・販売
資 本 金:1,500 百万円
売 上 高:17,792 百万円(2017 年 3 月期)
設 立:1949 年
上場会社と当該会社との間の関係:
資本関係で日立金属は三徳の発行済み株式数の 4.5%を保有している。また取引関係では販売及び仕入取引の関係がある。

 

取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式状況は以下の通り
同契約に基づく三徳株式の取得は、公正取引委員会の承認を前提としていること、また、今後、三徳の株主と三徳株式の譲渡について、個別に合意していくことから、現時点で取得株式数は確定していない。

締結に関わるスケジュールは以下の通り
日立金属に於ける決定日:2017年11月28日
基本契約締結日:2017年11月28日
三徳株式の取得:2018年4月2日(公正取引委員会の承認を前提予定)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。