運転席側と助手席側で異なる映像を表示し、左右からのタッチ操作も識別
ジャパンディスプレイ( JDI )は8月2日、見る方向により異なる2つの映像を表示する2Vision Display( 2VD )の画質を大幅に向上させ、車載用途で求められる画質に対応できる2VD の製品を世界で初めて実用化したことを明らかにした。
更に運転席 / 助手席からのタッチ操作を識別できる機能( Dual Touch )も世界で初めて搭載。1枚のディスプレイをあたかも別々の2枚のタッチ機能付きディスプレイのように利用することを可能にした「DualTouch 付き高画質 2VD 製品」も併せて開発した。
この2VD技術は、先の通り1つのディスプレイ上に見る角度によって異なる2つの映像を表示することができる技術だ。技術的には異なる映像表示についての目処をつけていたのだが、これまでは画質の向上が課題だった。
しかし同社のLTPSと液晶パネル光学技術を活用することで、大幅な画質の向上を実現できたという。
この技術の進歩を契機として今後、2VD の普及が進むことにより、ドライバーの安全運転をサポートする情報表示と、同乗者に対する大画面・高画質な映像表示を 1枚のディスプレイで同時に提供することが可能になる。
また車内ディスプレイが増加するに従い、インテリアデザインに制約を与えていた問題も、2VD の導入により解決する。ディスプレイ数を減らすことでシンプルかつ洗練されたデザインを実現し、新たなトレンドが創出できる可能性が広がった。
また2VD表示は、運転席と助手席それぞれに異なるコンテンツを表示できる一方、従来はタッチ機能がなかった。今回、開発品に搭載したDual Touchは、運転席側と助手席側のどちらからタッチ操作したかを識別する機能であり、2VD技術と組み合わせることによって 1枚のディスプレイをあたかも 2 枚の別々のタッチ機能付きディスプレイのように利用することができる。
なお現在、2025年以降に発売される自動車への搭載を目指し、世界各国の複数の自動車メーカーと商談を進めているという。
——————————————
同社が開発した2VDの仕様
項目____________同社従来品_本開発品
視野上の解像度(運転席/助手席)_88 ppi_171ppi
明るさ____________350nits_700nits
コントラスト_________350 : 1_1000 : 1
NTSC比___________70%___85%
タッチ機能__________無__Dual Touch
——————————————
同社は、自動車メーカーの皆様と共に、これまでにないレベルの安全性と快適性を追求し、世界中の車をより安全な移動手段にすることを目指すとした。
また、これらの技術は自動車業界だけでなく、空港などの交通機関での大型サイネージへの活用、視角制御によるセキュリティ強化、ゲームへの応用の可能性がある。
特に、高い位置にある大型サイネージでは、ディスプレイと人との距離に応じて角度が変わることを利用し、広告と離発着情報をより効率的に提供することが可能となる。従って技術の応用範囲は広く、多様な産業での活用を見込んでいる。
JDIではDual Touch 2VDが、ディスプレイの活用方法を大きく変える可能性を秘めた画期的な技術であると謳っており、今後は、個人、組織、そして全世界のクリエイティブコミュニティとのオープンイノベーションと協力を通じて、人々の日常生活を豊かにする新たなユースケースの探求を目指していくと結んでいる。
<問い合わせ>
https://www.webcoms.jp/jdi/jp/form.php?pid=524