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2023年6月1日【ケミカル】

ジェイテクト社員、日本トライボロジー学会奨励賞

坂上 賢治

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ジェイテクトは6月1日、同社の研究開発本部材料研究部所属の髙原加奈子氏が、摩擦や潤滑分野の学会である一般社団法人日本トライボロジー学会から「奨励賞」を授与されたことを発表した。

 

これは、従来では両立が難しかった耐白層はく離性と防錆性を兼ね備えたグリースの開発が評価されたもので、これらの成果は軸受の寿命向上に貢献します。

 

ちなみに上記に係る〝白層はく離〟は、転がり軸受で予測寿命より極めて短い期間での破損を引き起こす金属の白色組織変化を伴うはく離現象のことを指す。

 

より具体的には、水素中で金属が摩擦することで金属表面に形成される反応膜(添加剤由来)のはく離や、表面の摩耗により新生面が露出した際、水素が鋼中に侵入して白層が形成されることを示している。

 

また日本トライボロジー学会奨励賞の〝トライボロジー〟とは、潤滑・摩擦・摩耗・焼付きや軸受設計などの「相対運動をしながら互いに影響を及ぼしあう2つの表面の間に起こる全ての現象を対象とした科学と技術」分野を指す。

 

日本トライボロジー学会は、機械メーカーや大学の研究者らを会員に構成された学会で、「奨励賞」は、優れた研究成果をあげた若手会員(36歳未満)を称える賞となっている。

 

今回、受賞者となったジェイテクト社員
氏名:髙原 加奈子(たかはら かなこ)
入社年:2013年
出身地:岡山県岡山市
所属部署:研究開発本部材料研究部

 

受賞理由は以下の通り
2015年から継続的に実施してきた「グリース技術による玉軸受の耐白層はく離性向上に関する研究」が評価された。白層はく離は、「極圧剤」による金属表面への反応膜の形成により抑制されることが知られている。

 

一方で、同時に表面への吸着性の高い防錆剤を用いた場合、その効果が低減することが以前から知られていた。また従来当社で採用していた極圧剤は、優れた白層はく離抑制効果を有する材料だったが、環境負荷への懸念があった。

 

今回の研究では、環境負荷懸念の低い極圧剤をベースとし、異なる分子構造の組合せを最適化することにより、防錆剤の共存下でも極圧剤による表面反応膜の形成が阻害されることのないグリース設計に成功した。

 

この技術を活用しジェイテクトが開発したグリースは、環境負荷懸念物質を用いることなく、従来では困難とされていた「耐白層はく離性」と「防錆性」との両立で高い性能を有しているという。

 

受賞者のコメントは以下の通り
耐白層はく離性と高い防錆性とを同時にグリース技術で担保することは想像していた以上に難しく、分析や解析によるメカニズム解明を通じて相反する特性の両立に成功しました。

 

本研究に関してご指導頂きました社内外の関係者の皆様に感謝申し上げます。取組みの中で得られた知見をより拡げていき、お客様に喜ばれる技術の研究開発に取り組んでいきます。

 

髙原氏が同受賞を受けてジェイテクトでは、「今回の研究成果を活用して開発したグリースは、特に水素の影響を受ける環境で力を発揮するため、FCEV(燃料電池自動車)の関連部品などに於いて高い効果を発揮することが見込まれます。

 

これからもジェイテクトでは、材料の知見を深め、その成果をより良い商品づくりに結び付けてまいります。

 

また軸受分野に留まらず、多様な産業領域でNo.1&Only Oneの技術と製品を生み出し続け、〝地球のため、世の中のため、お客様のため〟に貢献し、社会課題の解決を進めていきます」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。