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2024年1月11日【IoT】

オンセミ、DC超高速EV充電ソリューションを発表

坂上 賢治

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オンセミは1月11日、DC超高速電気自動車(EV)充電器およびエネルギー貯蔵システム(ESS)向けの双方向充電機能を実現する9種類の新しいEliteSiCパワー統合モジュール(PIM)を発表した。

 

これらのシリコンカーバイド(SiC)ベースのソリューションは、従来のシリコンベースのIGBTソリューションと比較してサイズを最大40%、重量を最大52%削減できる高効率でシンプルな冷却機構により、システムコストを大幅に改善する。

 

よりコンパクトで軽量な充電プラットフォームにより、設計者は、わずか15分で電気自動車のバッテリを最大80%充電可能で、信頼性と効率が高く、スケーラブルなDC急速充電器ネットワークを迅速に展開するために必要なすべての主要ビルディングブロックを入手できる。

 

ちなみにJ.D. Powerの2023 Electric Vehicle Consideration Study(2023年 米国EV検討意向調査)によると、米国の消費者の半数近くが、EVを購入しない理由として、従来の内燃機関(ICE)車並みに簡単でシームレスな運転体験が得られる充電設備へのアクセスと迅速な充電に対する不満を挙げている。

 

米国では、需要に追いつき、ドライバーが公共充電ステーションを公平に利用できるようにするには、EV充電器の利用可能台数を2025年までに4倍、10年後までに8倍に増やす必要があるとされる。

 

このような電力需要の急増は現在の電力網に多大な負担をかけ、過負荷になる可能性がある。そこで同問題を軽減するために、通常のバッテリ充電とEVをエネルギー貯蔵システムとして使用し、必要なときに家庭に電力を供給できるようにするV2G(vehicle-to-grid)を実現するための重要なソリューションとして、双方向充電が登場した。

 

このソリューションは、DC急速充電ネットワークとV2Gの給電システムの実現に役立ち、数時間から数日かかる他の方法よりも高速で車両を充電できるため、充電設備へのアクセスと充電速度の課題に対応できる。

 

オンセミは、市場の主要なトポロジーに対応するために、最も包括的なPIMのポートフォリオを提供している。これにより設計者は、DC急速充電アプリケーションやエネルギー貯蔵システムアプリケーションでの電力変換ステージに適したPIMを柔軟に選択することができる。

 

またオンセミのセルフサービスPLECSモデルジェネレータによる高度なPLECS(piecewise linear electrical circuit simulation)モデルと、Eliteパワーシミュレータによるアプリケーション・シミュレーションの使用により、設計サイクルを加速させることもできるという。

 

また製品の一貫性と信頼性を確保するため、各モジュールに同じウエハーからのダイを使用。これにより設計者は別のサプライヤから供給されるディスクリート製品を使用する必要がなく、性能にばらつきが生じる可能性はなくなる。加えて同モジュールのポートフォリオには、信頼性に加えて以下のような利点がある。

 

– 業界で最も低いスイッチング損失と最高の効率を実現するGen3 M3S SiC MOSFET技術を使用
– マルチレベルTタイプ中性点クランプ(TNPC)、ハーフブリッジ、フルブリッジなどの主要トポロジーをサポート
– 25kWから100kWまでのスケーラブルな出力電力をサポートし、双方向充電を含む複数のDC急速充電およびエネルギー貯蔵システムプラットフォームを実現
– 熱界面材料(TIM)の事前塗布および圧入ピンのオプションを備えた業界標準のF1およびF2パッケージ
– 最適な熱管理を可能にし、過熱によるシステム障害を回避
– フルSiCモジュールは電力損失を最小限に抑えて省エネを実現することで、コストとエネルギーを節約
– 高い堅牢性と信頼性による安定した動作を実現

 

関連情報:
オンセミのEliteSiCパワー統合モジュールの詳細情報( https://www.onsemi.com/products/discrete-power-modules/power-modules/silicon-carbide-sic-modules
最新のホワイトペーパー:DC急速充電および超急速充電アプリケーション用パワーコンバータトポロジーのレビュー( https://www.onsemi.jp/download/white-papers/pdf/tnd6443-d.pdf
Eliteパワーシミュレータ( https://www.onsemi.jp/design/tools-software/elite-power-simulator )およびセルフサービスPLECSモデルジェネレータ( https://www.onsemi.jp/design/tools-software/self-service-plecs-model-generator )によるシミュレーション

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。