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2023年11月29日【ソフトウェア】

英セカンドマインド、マツダとの戦略的パートナーシップを拡大

坂上 賢治

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既存投資家及びマツダ含む新規投資家から合計1600万ドルの資金を調達

 

AIアルゴリズムによるモデル設計に強みを持つSecondmind(セカンドマインド/本社所在地:英国ケンブリッジ、日本法人所在地:神奈川県横浜市)は11月28日(英時間)、マツダと戦略的パートナーシップの提携を拡大。複雑化する自動車技術の設計・開発に対応していくため、AIに係る技術協業の加速化で合意したと発表した。

 

これによりSecondmindは、マツダ車に対して車両設計開発のシステムエンジニアリングと検証プロセスをサポートするソリューションの研究開発と、量産適用を中心に活動していく。

 

また拡大を決めたパートナーシップ関係では、高度で複雑な課題を克服する戦略的なアプリケーション技術に重点を置き、マツダに於ける設計と開発の仮想化を通じて、それらに掛かる時間とコストの効率化を目指す。

 

加えて今回、Secondmindが実施した新シリーズB2資金調達ラウンドについても、既存投資家でベンチャーキャピタルのAmadeus Capital、Atlantic Bridge Ventures、Cambridge Innovation Capitalに、マツダがパートナーシップ拡大の一環として参加する。

 

今回の資金調達ラウンドについてSecondmindは、Future Fundの社債転換を含む今回の資金調達により、営業とマーケティングの強化、数々の受賞を獲得したクラウドネイティブのSecondmind Optimization Engine(システム設計、キャリブレーション、ライフサイクルなどの車両最適化に繋げるための課題分析技術)の開発加速化など、事業の主要部分を拡大するために使われるとしている。

 

 

なお同投資ラウンドで第4の投資元となったマツダの存在についてSecondmindは、自社のリーダーシップ、アクティブ・ラーニング技術の革新性、製品の差別化、自動車市場に於ける事業機会の大きさへの賛同を裏付けるものだと自身で評している。

 

実際、今提携拡大では、過去三年に亘る両社の提携関係に加え、マツダの先端AIの先行研究及び、それを担う人材の育成に於いても協力関係を深めていきつつ、英ケンブリッジのAI業界への案内役として、マツダの自動車工学への取り組みに対して、最先端のAI技術を適用させる研究分野でマツダに協力しすると説明している。

 

Secondmindの最高経営責任者(CEO)のガリー・ブロットマン氏は、「Secondmindとマツダは、車両設計と性能の継続的な最適化の実現に向けて、意気投合しました。

 

今回の戦略的パートナーシップの拡大は、長年に亘る深い協力関係を強化するものであり、先端AIの先行研究及び関連技術を担う人材の育成で、自動車工学上でのAIイノベーションを切り開いていくマツダにご協力できることを誇りに思います。

 

加えて今回の資金調達ラウンドに於いて、Amadeus Capital、Atlantic Bridge Ventures、Cambridge Innovation Capitalに加え、マツダを出資者として迎えることができたことを嬉しく思います。

 

この資本増強を活用し、ソフトウェア・デファインド・ビークルの時代に於いて、マツダと自動車業界全体にとってより価値の高い、システム設計最適化とキャリブレーション用ソフトウェアの開発と量産適用を加速させたいと考えています」と語っている。

 

 

対してマツダの佐賀尚人執行役員は、「自動車業界では、市場ニーズの多様化や技術の高度化と複雑化によって、開発スピードの更なる加速と効率化が求められています。

 

Secondmindとのパートナーシップが、固定概念にとらわれない発想や革新的な技術をマツダにもたらし、マツダのクルマづくりの更なる進化に貢献してくれることを期待しています」と語った。

 

またAmadeus Capital Partnersの共同設立者兼パートナーであるハーマン・ハウザー氏は、「私たちは、実用的なAIアプリケーションを世の中で始めて開発する企業の1つであったSecondmindのアーリーステージから、Secondmindを支援してきました。

 

自動車産業へ注力するというSecondmindの戦略は大きな成功を収めており、マツダとのパートナーシップ拡大はその証となります。今回の投資ラウンドで、このような業界のリーダーとパートナーになれることを嬉しく思います」と述べた。

 

 

Atlantic Bridge Venturesのマネージング・ダイレクターであるケビン・ディロン氏は、「Atlantic Bridge Venturesは、2017年以来Secondmindの主要な投資家として、同社が開発するエンジニアリング用途の画期的な機械学習ソリューションへのニーズに対し継続して支援しており、今回、自動車工学のイノベーターであるマツダをSecondmindの戦略的出資者として迎えることを嬉しく思います。

 

我々は、ソフトウェア・デファインド・ビークルの時代において、Secondmindが、自動車の設計と開発の効率を大きく変えるきっかけになるとを強く信じています」とコメント。

 

最後にCambridge Innovation Capitalのパートナーであるイアン・レイン氏は、 「AIと機械学習の力で、サステナブルな車両の設計開発に変革をもたらすというSecondmindのミッションに関われることを嬉しく思います。

 

マツダとの革新的なパートナーシップの拡大により、自動車産業のカーボンニュートラルな世の中への移行を加速させるという世界的な取り組みの中心に、ケンブリッジの企業が関わっていることに対し、Secondmindを称賛したいと思います。

 

SecondmindのクラウドネイティブなAI最適化ソリューションは、エンジニアにとって、かつてないレベルの電動車開発やドライビングエクスペリエンスを実現するツールとなり、車両のライフサイクルを通じたエネルギー効率と性能の継続的向上を実現させていくと信じています」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。