NEXT MOBILITY

MENU

2024年5月1日【IoT】

NTTデータが加わるソフトウエアの炭素排出評価が国際規格に

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ソフトウエア利用時の炭素排出量比較評価スコア「SCI」がISO/IEC国際規格に採択

 

NTTデータグループは、自社が加盟する団体GSF( Green Software Foundation )が策定したSCI( Software Carbon Intensity )1.0版が「ISO/IEC 21031:2024」として国際規格化されたことを同社が( 5月1日 )明らかにした。

 

上記団体のGSFとは、2021年5月にLinux Foundationの配下に設立された非営利団体。同団体は、パリ協定で定められた目標「2030年までにICT分野における温室効果ガス排出量を45%削減」への貢献を目標にソフトウエアによるCO2排出量の削減(グリーンなソフトウエア開発)に必要な開発標準や開発ツール・ベストプラクティスの策定と普及展開をミッションに掲げている。

 

またSCIとは、ソフトウエア利用時の炭素排出を構成する電力、電力の炭素強度、ハードウエア利用量をもとに、炭素排出量をスコアとして評価する手法を指すもの。

 

例えば昨今、生成AIの消費電力が大きいことが問題視されているが、消費電力が大きくなるということはSCI(上記の炭素排出量スコア)が高くなるということを意味する。

 

従ってSCIを活用することで、同じ機能を持つ複数のソフトウエアを使った際の環境負荷を比較できる他、ソフトウエアに加えた改修が炭素排出量に与える影響を把握することができるようになる。

 

SCIを下げるには、消費電力を下げる工夫をする、実行する環境を工夫する(再エネ利用の多いデータセンターで実行する等)、といった対応が必要となる。SCIを下げるための方策を実行することで、生成AI起因のGHG排出量削減が実現されるため、生成AI等のAIソフトウエアにも適用することができことから、先の団体のGSFは、重要トピックと位置付けて、これに取り組んでいる。

NTTデータグループは、GSFのSteering Member(運営メンバー)として、他メンバーと協力しながら規格化に取り組んだ。そもそも予てよりSCIは、ITシステムの脱炭素化に向けた有用なツールであったが、社会全体に如何に広く普及させるかが課題となっていた。しかし今回のISO化により、多くの企業や団体でSCIの導入が進むことが期待できる。

 

NTTデータグループでは、国際規格採択前の2022年より、SCIを算定するサービスを欧州に於いて提供を開始。今後は、自社事業での活用とGSFでの活動の両輪でSCIの普及を進めつつ、開発するITシステムや自社で利用するITシステムへのSCI活用を通して、IT業界の温室効果ガス排出量削減に取り組んでいく構えだ。

 

「Software Carbon Intensity」α版の策定について
     https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2021/120601/

「Software Carbon Intensity」1.0版の策定について
     https://www.nttdata.com/global/ja/news/information/2022/120200/

ISO/IEC 21031:2024 Software Carbon Intensity(SCI)specification
     https://www.iso.org/standard/86612.html

1.0版からの主な差分はCarbon Intensity(炭素強度)としてマージナル強度に加えて、アベレージ強度が利用可能となった点にある。1.1版( 英語 )は以下のリンク( GitHub )を参照されたい。
     https://sci.greensoftware.foundation/

NTT DATA Italiaが提供するSCI算定ツールを含むサービス紹介ページ( イタリア語 )
     https://it.nttdata.com/insights/blog/green-it-framework-tecnologia-sostenibile
※文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標となる。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。