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2023年11月9日【IoT】

ステランティスNV、毎年恒例の技術イベントを今年も開催

坂上 賢治

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ステランティス N.V.は11月8日(ブラジル時)、〝We Win Together(共に勝利する)〟という自社の中核的価値観を掲げた毎年恒例のイベント「第8回 Factory Booster Day2023(ファクトリー・ブースター・デー2023)」を開催。

 

共に空間を分かち合うリアル環境だけでなくメタバース プラットフォームも利用し、世界64のサプライヤー企業やスタートアップ企業と共にプレゼンテーションやデモンストレーション発表を共有。ステランティス製品改善策の可能性を模索した。

 

 

今回、ブラジル・ベティムで開かれたファクトリー・ブースター・デーでは、炭素排出量を2030年までに2021年の排出量から50%削減し、かつ2038年までに排出量実質ゼロを実現するというステランティスの長期戦略計画「Dare Forward2030(デア・フォワード2030)」に沿った35の課題を公開公募で規定し、参画企業と共有。最も有望なソリューションを持つ99の社の技術提案を讃えた。

 

これら課題解決に繫がる技術提案には、ステランティスの資産を利用したパイロットテストを行う権限が与えられ、テスト結果は、ステランティスの技術リーダーが率いるイノベーション委員会によって検討・共有。優れた施策は世界中の他のステランティス工場に導入される。そんな今回の2023年に於けるファクトリー・ブースター・デーの技術提案の一例には次のようなものがあった。

 

– AIを活用してプロセスのパフォーマンスを向上させる技術。
– エネルギー消費をモデル化し、測定し、より適切に管理する技術。
– BEV バッテリーの緩みや汚染を検出する技術。

 

 

ステランティスの最高製造責任者であるアルノー・ドゥブッフ氏は、「100年に1度の変革期にある自動車産業に於いて、我々は革新的な技術を分かち合う強力なコミュニティを共有しています。

 

毎年開催されるこの素晴らしい年次イベントにより、私たちは共に技術の効率性と競争力を向上させることができ、それが引いてはお客様の利益に結びつきます。

 

あらゆる面でイノベーションをもたらしてくれるビジネスパートナーの皆様には心から感謝の意を表したいと思います。

 

例えば、既にステランティスの製造現場で採用されたイノベーションには次のものがあります。車両ドアのショートフランジをハイテク溶接することにより、レーザー溶接に比べて溶接部の品質と安定性が向上しコスト削減に繫がったもの。

 

移動組立ラインで、コンピューターアルゴリズムを介したビジョンツールを用いて、ありとあらゆるオブジェクトを追跡。結果、最小限のコストで組み立てラインを統合できるソリューション。

 

生産工程のクラウド分析を介して、個々工程のエネルギー使用量をリアルタイムで測定。それらのエネルギー使用量を動的管理し異常を検出するシステム。

 

 

これらファクトリー・ブースター・デーで見い出された様々な技術は、エネルギー使用量の削減やより完成度の高い製品づくりに役立つなど、その成果は多岐に亘ります。

 

またそれらは全て、当社が掲げているデア・フォワード2030の戦略目標を達成する上で重要な役割を果たしています。

 

これらのお陰で我々は2022年の製造工程に於いて、定めていたスコープ1及び2の二酸化炭素排出量を2021年段階から11%削減することが出来ました。

 

また工程自動化・デジタルソリューションの進展・人工知能の導入などにより、生産現場に於けるコストを2030年までに40%削減する目処が見えて来ています。

 

結果、当社は2038年までに、全ての企業活動に於いてカーボンネットゼロ企業になることができるでしょう。また併せて従業員の健康維持・安全性・多様性を包括性に実現。最適な職場としての評価も高められていることに感謝したいと思います」と述べた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。