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2023年6月22日【テクノロジー】

サンコール、EV用バスバーの生産拡大で25年度売上40億円へ

坂上 賢治

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京都の自動車部品メーカー・サンコール(本社:京都市、社長:大谷忠雄)は、EV/HEV用バスバーの生産拡大のため九州・熊本県の連結子会社サンコール菊池 に約4億円の投資を決めた。これによりバスバー事業売上で2025年度40億円を見込む。

 

投資拡大の理由は、世界的なEV化の加速にあたり配電部品の需要が高まっているため、なかでも銅などの金属で出来た導体棒のバスバーは、数百アンペアの大電流が走る電動車では効率的な電気の供給が動力性能や航続距離等に大きく影響するため重要部材となる。

 

 

加えて昨今では充電時間の短縮でも400→800Vへの高電圧化が見込まれているため、ワイヤーハーネスの代わりとしてインバーターやバッテリーパックなどのユニット間を繋ぐバスバーは電動車の血管ともいえる重要な役割を担っているという。

 

ちなみに戦時中に京都で創業したサンコールは、80年の歴史で培った塑性加工技術・溶接技術を応用したものづくりが持ち味。エンジン用弁ばねや、トランスミッション用のリングギアなど高強度材の加工技術を応用。電動化の時代に向けて独自のEV製品戦略を展開している。

 

 

そのなかでバスバーのマルチフォーミング(multi-forming)が強みのひとつとなっていった。このフォーミングとは、線状の材料を送りながら一筆書きの要領で曲げていく工法で曲げ太りや断面の管理などのノウハウを必要とする。

 

同社ではオリジナルのフォーミングマシンを持っており、サイズの自由度だけでなく、少量多品種にも対応できる。そんな同社のバスバー事業は、2013年に国内自動車メーカーのハイブリッド車に採用されたことを皮切りに開始。以後、愛知県豊田市の広瀬工場に一貫生産ラインを構え国内自動車メーカーの電動化を支えている。

 

 

そうしたなか、相次いで国内メーカー2社がEV向けの量産を開始。2025年量産開始の大型EVプログラムも始動したことから、熊本県の子会社・サンコール菊池を新生産地に選定。生産能力拡大を決めた。既に4月から一部生産を開始、2025年にかけて約4億円の投資による更なる増強を目指す。

 

 

今回の生産拡大先をサンコール菊池とした理由は、同拠点の技術力があった。もともとぜんまい部品製造用に使われていたフォーミング機械を、サンコール菊池の春田社長を筆頭に同拠点の技術者が自ら改造してオリジナルのバスバー設備を完成させた。

 

100%熊本出身者で構成されているサンコール菊池は、社員の提案を尊ぶ自由な社風と、女性でも活躍出来る職場作りが認められ、2020年に「熊本ブライト企業」に認定されている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。