NEXT MOBILITY

MENU

2023年6月22日【CASE】

ティアフォー、トノックスと自動運転EVの量産へ

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

トノックス殿内常務取締役(左)とティアフォー加藤CEO(右)

 

基礎技術をオープンソース化することによる優位性と拡張性を活かし、世界規模で自動運転OSの開発・普及を手掛けるティアフォーは6月22日、レベル4水準の商用量産車の早期実現を視野に、特装車の企画・開発から製造までを一貫して手掛けるトノックスとの協業を開始した。

 

ティアフォーは先の通り、世界を巻き込んだ自動運転OSの「Autoware(オートウエア/The Autoware Foundationの登録商標)」の強みを活かし、現段階でも既存量産車への自動運転機能レベル4の実装例を数多く実現。自動運転に係る搭載ノウハウを積み重ねて、常に自動運転研究の技術領域をリードし続けて来た。

 

しかし現段階では、量産型の自動運転車両に係る技術構築への自信を更に深めるために、あと僅かの知見を必要としており、実際、様々な車両へ対して自動運転ソフトウェアが搭載出来るホワイトレーベル車両に係る構築・量産化技術に向けては、設備的にも技術的にも、実業面で車両の量産ノウハウを備えた大規模パートナーとの協業を必要としていた。

 

そうしたなかトノックスは。車体架装メーカーとして、これまで官公庁向け特装車設計・製作の経験を豊富に持ち合わせており、敷地面積46,000㎡となる平塚工場では年間3,000台超の車両を生産して続けて来た。

 

併せてトノックスは、先の通りで軽乗用車から小型車両、更にはバス・トラックなどの大型車両に至るまで幅広い車種へ技術対応出来ること。車両改造や部品・電装品の艤装に関しても独特のノウハウを持ち、また特殊仕様に対する豊富な対応能力だけに留まらず、車両そのものの量産体制も持ち合わせている。

そこで両社は、今協業を踏まえ、トノックスの平塚工場でティアフォーが策定する「レベル4自動運転化ガイドライン」に従い、レベル4水準の自動運転機能に対応可能な車両への数々の電動化対策。これに係るボディの設計・製造・構築技術等を磨き、レベル4の生産対象車種を順次拡充。自動運転技術の社会実装を拡張していく。

 

一方、ティアフォーは将来に向けて、自動運転技術の普及と進化に向けた技術レベルを更に高めつつ、パートナー企業と共に自動運転車両量産化に係る基礎技術を公開していくことで、未来社会への貢献を目指すとしている。

 

こうした取り組みにトノックスの殿内崇生常務取締役は、「架装メーカーとして実績と信頼を積み上げた当社と、先端技術である自動運転ソフトウェア開発を進めるティアフォー社との協業は、ハードがソフトの可能性を導き出す新しいクルマ作りへの挑戦です。

 

両社の高い技術力と志を融合させることで、ものづくり企業からモビリティ企業へと事業体制を進化させ、自動車産業のさらなる発展と移動課題解決に向けて貢献します」と述べた。

 

一方で、ティアフォーの加藤真平CEO兼CTO(東京大学大学院情報理工学系研究科・特任准教授、名古屋大学 未来社会創造機構・客員教授)は、「我々は、車体架装のリーディングカンパニーであるトノックス社との協業により、自動運転技術進化を更に高めていきます。

 

その後、様々な自動運転ソフトウェアの搭載が可能なホワイトレーベルEVの量産化モデルも構築。

 

この挑戦で得たノウハウは社会へ公開し、元々ディアフォーが目指していたあらゆる人がEVを設計できる技術の民主化を進めていきます。また併せて自動運転車の量産事業にも貢献していく所存です」と話している。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。