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2024年4月1日【IoT】

東陽テクニカ、エル・テール買収で水素事業拡大へ

坂上 賢治

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東陽テクニカは4月1日、先の3月29日付けで流体制御装置の製造・設置を手掛けるエル・テールの全株式を取得し100%子会社化したことを明らかにした。

 

そもそもエル・テールは、東陽テクニカが展開する燃料電池評価装置製造の協力会社として携わっており、今回の子会社化によって設備投資を進め、燃料電池や水電解評価システムの増産を視野に、海外需要に対応できる体制を整える。

 

ちなみにエル・テール買収の背景には、日本政府が2023年6月に改定した「水素基本戦略」で、水素の普及に向けて水素供給量を2040年に年間約1,200万トンに拡大する目標を掲げるなどの投資拡大計画があった。実際、日本政府は水素を作る水電解技術、水素を使う燃料電池技術の強みを活かし、水素コア技術が世界市場で活用されることを目指している。

 

そうした流れを受けて東陽テクニカは、1999年より燃料電池評価ソリューションの自社開発、販売を手掛けてきた。現在は、水電解評価にも対応しており、燃料電池、水電解の電気化学反応を計測、解析するためのソリューションも多数展開している。

 

またエル・テールは、1997年に設立以降、独自技術を駆使した流体制御装置の製造や設置を手掛け、その装置は研究機関や大手ガス会社などでも活用されている。東陽テクニカの燃料電池評価システムの装置製造にも協力会社として携わってきており、燃料電池の様々な評価にも対応してきた経緯がある。

 

そこで東陽テクニカはエル・テールの子会社化を契機に、両社が持つ知財やノウハウを共有。ひっ迫する需要に対応できる量産体制を構築することで、水素関連事業を拡大させる。両社では、「今後さらに活発化する水素コア技術の研究開発に向けてオリジナルな計測技術を追究し、環境にやさしい水素社会実現に向けて、さらなる貢献を目指してまいります」と話している。

 

株式会社エル・テール概要
名称:株式会社エル・テール
所在地:兵庫県川西市加茂6-108-4
代表者の役職・氏名:代表取締役社長 水田 愼一朗
事業内容:流体制御装置製造、制御装置設置工事、電気工事
資本金:2千万円
設立:1997年12月1日

 

<参考>
・東陽テクニカ燃料電池ソリューション ポータルサイトhttps://www.toyo.co.jp/material/contents/detail/fuelcell.html
・東陽テクニカ電気化学測定情報サイト「電気化学測定ラボ」https://www.toyo.co.jp/material/elechem/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。