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2024年4月10日【CASE】

トヨタベンチャーズ、気候変動施策等の投資に3億ドルを調達

坂上 賢治

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トヨタ・ベンチャーズ、フロンティアテクノロジーと気候変動ソリューションへの初期段階の投資を拡大するためにさらに3億ドルを調達

 

トヨタ自動車が去る2017年、米カリフォルニア州ロスアルトスを拠点に立ちあげたトヨタ・ベンチャーズ(Toyota Ventures/トヨタのベンチャーキャピタル部門)は4月10日(米・西海岸時間)、イノベーションの最前線で新興企業への投資を拡大するべく2つの1億5,000万ドル規模の新たなファンド( TVFF IIとTVCF IIに約460億円/概要は後述 )を発表した。

 

この新しいファンド、Toyota Ventures Frontier Fund II(TVFF II)及び Toyota Ventures Climate Fund II (TVCF II) の追加により、同社の運用資産総額は8 億ドルを超えた。なお今投資では、宇宙事業の商業化、気候変動などのフロンティアテクノロジーに焦点を絞ったスタートアップを支援する構えという。

 

先の2017年7月にトヨタ・ベンチャーズを創設して以来、人工知能、ロボット工学。水素ソリューション、再生可能エネルギー分野など75社を超えるスタートアップ企業に投資。トヨタの次なる未来の発見を支援するという使命を推進してきた。

 

そんなトヨタ・ベンチャーズは、北米、ヨーロッパ、中東、アジア太平洋にポートフォリオ企業を持っている。同社では、こうした資金により社会と地球のために、より良い未来を構築するべく世界中の多くの起業家を支援しているという。

 

その取り組みについてトヨタ・ベンチャーズでマネージング・ダイレクターを務めるジム・アドラー氏は、「私たちは探検家です。私たちの役割は、短期的にはトヨタのモビリティ変革を前進させ、長期的には次世代の破壊的イノベーションを受け入れる可能性がある技術トレンドを理解することです。

 

一部の投資家が規模を縮小している中、私たちは当初のフロンティア基金と気候基金を倍増して規模を拡大しています。生成AI、電子燃料、宇宙商業化、炭素回収、合成生物学などに於ける劇的な進歩。それはトヨタにとって投資すべき重要な時期であると言えます」と述べている。

 

なお先のTVFF IIとは、トヨタベンチャーズの国際的な存在感の拡大を目指すAI、ロボティクス、モビリティ、クラウド、量子コンピューティングなどの分野のディープテクノロジーの最先端スタートアップに焦点を当てるものだとした。

 

こうした新しいファンドは、フロンティア・ファンドのパートナーであり、ベテランの投資家であるため、執行役員でもあるデイビッド・ソコリッチ氏が率いることになっている。

 

初期のフロンティアファンドのポートフォリオ企業には、衛星サービスプロバイダーのスターフィッシュスペース、バイオセンサーメーカーのセンティアンバイオ、量子コンピューティングソフトウェアスタートアップの ハイクなどが含まれる。

 

一方、TVCF IIは、気候変動と闘い、環境の持続可能性を促進するスマートでスケーラブルなソリューションを開発するスタートアップを探す。これは2021年に設立され、気候基金パートナーのリサ・コカ氏のリーダーシップの下、18社のポートフォリオに成長した同社初の気候変動重視基金を基盤とするものとなる。

 

最初の気候基金のポートフォリオには、アバランチエナジーのような再生可能エネルギーの企業が含まれている。エネルギー貯蔵および電子亜鉛電池 やAM電池などの電池。エアカンパニーやリビングカーボンのような炭素の回収、除去、利用。エコレクトロのような水素ソリューションなどがある。

 

トヨタベンチャーズでチーフを務めるギル・プラット氏は、「イノベーションはチームスポーツであり、今日、トヨタのような産業界のリーダーにとって、急速に進化する世界で、私たち全員が直面する重大な課題に取り組むために、新進気鋭のスタートアップ企業と協力することがこれまで以上に重要になっています。

 

我々の新しい基金は、可能性の限界を押し上げる起業家をサポートするという当社の献身的な姿勢を強調するものであり、トヨタベンチャーズのチームとポートフォリオと共に、この旅を続けられることにいつも心を躍らせています」と結んだ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。