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2023年3月18日【エネルギー】

VW傘下のPowerCo、欧州で2番目のセル工場建設に着手

坂上 賢治

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独・フォルクスワーゲン傘下の蓄電池製造企業「PowerCo SE」はスペイン・バレンシア時間の3月17日、世界的なバッテリー事業を構築するための次の一歩を踏み出す。

 

 

PowerCoは、2026年にユニファイド セルの生産を開始。同セル製造拠点は将来的には3,000人以上を直接雇用し、スペインのサプライヤーやパートナーを含むと最大30,000の間接雇用が創出される可能性があるとした。

 

ギガファクトリーバレンシアの発表会見に登壇したスペインのペドロ・サンチェス大統領は「新拠点の設立は産業界に於ける私たちのコミットメントの表れであるだけでなく、イノベーション、領土の結束、官民協力など、グローバル市場に対する私たちのコミットメントの表れでもあります」と述べた。

 

これに続いて登壇したPowerCo SE の監査役会会長のトーマス・シュマール氏(Thomas Schmall)は「PowerCoの2番目のギガファクトリーの着工開始以降、カナダのセント・トーマスのギガファクトリー建設計画を発表。更に我々は新たなステップへと駒を進めます。

 

私たちの目標は、PowerCoをバッテリービジネスのグローバル プレーヤーにしていく事。また持続可能な方法で製造されたバッテリーセルにより、新たなモビリティ社会への道筋を示す事にあります。

 

ギガファクトリーバレンシアは、その重要なマイルストーンのひとつになるでしょう」と語った。

 

 

加えてPowerCoのフランクブロメ(Frank Blome)CEOは「バレンシアに新たなセル製造向上を設ける事を決めた理由は、良好な労働条件、環境への配慮、低コストでグリーン電力が利用出来る可能性、優れた輸送インフラ、VWグループのスペインの生産拠点への近さなど様々な要因があります。

 

しかしそれよりも我々は、このバレンシアの地の良き隣人となり、経済発展に大きく貢献する事が最も大事な事と考えています。

 

将来的に3,000人以上の雇用を創出するだけでに留まらず、地方政府と協力して、科学と社会の強化を目的とした地域プロジェクトも開始する計画です。

 

ちなみにギガファクトリーバレンシアの当初の年間生産能力は40GWhですが、将来的には60GWh まで拡張する可能性があります。

 

そのセル工場は、バレンシアのすぐ近くにあるサグントに約130ヘクタールの敷地に建設されます。また同工場と並行して建設される予定のサプライヤーパークを合わせると、その面積は200ヘクタールにもなります。

 

そんなバレンシアのギガファクトリーは、マルトレルやパンプローナなどの車両工場へ向けてユニファイド セルを供給する予定となっいます」と拠点の役割について説明した。

 

 

続いて登壇したバレンシア自治政府のシモ・プイグ氏は「フォルクスワーゲングループとSEATへ感謝の意を表します。

 

モビリティの持続可能な移行に向けて、私たちが一緒に出来る事を嬉しく思うだけでなく、我々はこの野心的な計画について精力的に取り組みます。

 

そのために近隣の250ヘクタールの発電所からセル工場へ、太陽光発電と風力発電によって生成されたグリーン電力を完供給します。PowerCoによる持続可能なバッテリー製造計画をサポートしていきます」と述べた。

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。