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2023年5月29日【イベント】

ヒョンデ、米国で水素トラクターの市販モデルを発表

坂上 賢治

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ヒョンデ・モーター・カンパニー(Hyundai Motor Company)は5月に米国カリフォルニア州アナハイムのアナハイムコンベンションセンターで開かれた北米最大の先端輸送技術とクリーンフリートのイベント「アドバンス・クリーン・トランスメーションエキスポ(Advanced Clean Transportation Expo/ACT Expo)」で当地の商用車(CV)市場向けに燃料電池市販電気モデル(クラス8、6×4)の新型XCIENT Fuel Cellトラクターを初公開したことを5月29日に日本の報道陣に向けて発表した。

 

当日の記者会見では、HMA取締役副社長兼グローバル商用車・水素燃料電池事業責任者のケン・ラミレス氏が、「Progress for Humanity」(人類のための進歩)という同社のビジョンを掲げ、これを実現するためにはカーボンニュートラルの達成が如何に重要であるかを強調した。

 

 

また同氏は「私たちは、持続可能な社会の基盤となるエミッションフリーのモビリティと共に〝Progress for Humanity(人類のための進歩)〟という我々のビジョンを実現するためには、水素が最も強力で実際的なソリューションの一つであると固く信じています。

 

そんな業界のパイオニアである当社の水素燃料電池技術は、高い効率と耐久性が実証されています。これらのメリットを活かして、商用車や船舶、さらにはエアモビリティなど、幅広いモビリティ用途に於いて、水素エネルギーによる輸送の更なる変革を目指します。

 

また当社はモビリティだけでなく、水素の製造から貯蔵、輸送、配送までの統合された水素エコシステムも視野に入れています。

 

当社はバリューチェーン全体でシームレスなソリューションを提供できるユニークな立場にあります」と自社の水素エコシステムを推し進める意欲を示した。

 

加えてヒョンデ専務兼商用車ビジネスイノベーション責任者のマーク・フライミューラー氏は「私たちは、長年に亘り各地域で水素バリューチェーンを拡大して来ました。

 

 

従って、その取り組みトラックの開発・製造だけに留まらず、水素燃料の補給やトラックのメンテナンスなどの分野も含めて広域に及んでいます。

 

従って、ここ米国でもこれまで同様の取り組みを計画し、それぞれのお客様に最適な水素バリューチェーンのシナリオを提供する予定です」と水素バリューチェーンを形成する姿勢と地域パートナーシップの拡がりを強調した。

 

そのためにヒョンデは、ジョージア州に建設中のHyundai Motor Group Metaplant America(HMGMA)電気自動車専用工場について、年間最大30万台のEVの生産が可能であることなど、施設の概要を来場者に訴求した。

 

 

なお生産される車両についてヒョンデ取締役副社長兼商用車開発責任者のマーティン・ツァイリンガー氏は「2020年に初めて発売されたXCIENT Fuel Cellは、スイス、ドイツ、イスラエル、韓国、ニュージーランドの5カ国で展開されており、これまでに400万マイル以上の走行を重ねてきました。

 

これは、実際の使用実績と技術的信頼性を備えた唯一の大型燃料電池電気モデルです。展示されているモデルは、2つの90kW水素燃料電池システム(合計出力180kW)と350kWの電気モーターを搭載した6×4トラクターで、総重量は最大82,000ポンドで、フル積載時でも1回の充電で450マイル以上の航続距離を提供します。

 

なお同車に当社グループの水素エネルギー専門事業ブランドであるHTWOが提供する世界最高水準の水素燃料電池システムを搭載しています。また水素事業には、エアモビリティ、自動車、船舶、鉄道などのさまざまな形態のモビリティと、定置発電にも応用することが含まれます。

 

そもそも当社は20年以上前から水素に着目してきた歴史があります。その先進的な燃料電池技術は、さまざまな用途、特に商用車分野で既に使用されています」と自社の水素システムの信頼性の高さを述べて締め括った。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。