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2021年2月2日【イベント】

パナソニック、通期業績見通しを大幅に上方修正

山田清志

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梅田博和CFO

 

パナソニックは2月2日、2020年度第3四半期累計(4~12月)連結決算を発表した。それによると、売上高が4兆8732億円(前年同期比15.3%減)、営業利益が2268億円(同5.8%減)、当期純利益が1301億円(同26.9%減)と減収減益だった。通期業績見通しも減収減益と変わりがないが、大幅な上方修正をした。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

 

9~12月期は減収増益に

 

「第3四半期(9~12月)の売上高は、為替影響や非連結化影響を除く実質ベースでは増収に転換した。車載機器やホームアプライアンスなどの増収がコロナ影響による500億円の減収をカバーした。第1四半期(4~6月)はコロナの影響が拡大したが、その後、回復傾向が続き、第3四半期では前年を上回る水準となった」

 

取締役常務執行役員の梅田博和CFOは第3四半期をこう振り返った。売上高1兆8141億円(前年同期比5.1%減)、営業利益1302億円(同29.7%増)、当期純利益812億円(同5.2%増)と、減収だったが増益となり、梅田CFOも少し安堵の表情を見せた。

 

オートモーティブ、インダストリアルソリューションズ、アプライアンスが第3四半期で前年を上回る水準まで回復。経営体質強化の取り組みが着実に進捗し、空調空質、車載電池、情報インフラ向けといった社会変化を捉えた事業の増販も寄与し、調整後営業利益は全セグメントで黒字になったという。

 

なかでも空調空質の関係では、コロナ影響もあって同社独自の「ナノイーX」搭載商品の需要が拡大。「これまでは気にしないようなことも、満足感や付加価値を求めるようになっている。エアコン、冷蔵庫、トイレにもナノイーを搭載し、除菌や消臭、衛生を求めている。高付加価値商品が受け入れられている」と梅田CFOは説明する。

 

ナノイー搭載製品の生産台数も、2019年度の800万台から20年度は850万台へ拡大すると見込んでおり、25年度には1500万台規模にまで生産を拡大する計画だ。現在、エアコンや空気清浄機など40製品に搭載し、自動車メーカー8社、鉄道事業者11社に納入しているそうだ。

 

 

テスラ向け事業は通期でも黒字に

 

セグメント別の業績では、アプライアンスの売上高が1兆8911億円(前年同期比8%減)だった。中国は堅調に推移し、その他地域でも回復傾向だったが、上期における市況悪化の影響が大きく、減収となった。営業利益については、減販損の影響を固定費や充売費削減などの効果でカバーし、前年同期に比べて増益の991億円だった。

 

ライフソリューションズの売上高は1兆1012億円(同27%減)で、営業利益が593億円(同17%減)だった。空気清浄機は好調だったが、住宅関連事業の非連結化に加え、上期による市況悪化の影響で減収減益となった。

 

コネクティッドソリューションズの売上高は5763億円(同25%減)、営業損益は146億円の赤字となった。中国でのサーバー等向け実装機が好調だったが、航空便数の激減や航空機の大幅減産の影響を受けたアビオニクスの減販が大きかった。ただ、第3四半期(9~12月)には黒字に転換したという。

 

インダストリアルソリューションズの売上高は9305億円(同5%減)、営業利益は458億円(同367%増)だった。「情報通信インフラ向けの好調が継続したほか、システムとデバイスに加えて、プロセスオートメーションが好調だった。また、半導体の構造改革の効果などが利益に貢献した」と梅田CFO。

 

そして、前年同期に292億円の赤字を計上したオートモーティブは、売上高が9604億円(同14%減)、営業損益が74億円の赤字だった。車載機器で充電器関連の一時費用の影響があったものの、固定費削減や円筒形車載電池の材料合理化などが寄与し、赤字幅が減少した。

 

 

また、これまで頭を悩ませてきたテスラ事業については、「20年度第2四半期で黒字化し、第3四半期も2ケタ億円の黒字となっており、通期でも黒字を見通せる状態になっている。2021年度以降は、黒字になるかどうかといった議論はなくなる」と梅田CFOは説明し、赤字になることはないようだ。

 

また、新型車載電池「4680」について、梅田CFOは「現段階は開発のフェーズで、まもなく試作ラインの設置を進める」と話し、住之江工場(大阪市住之江区)に数十億円かけて設置されると見られている。

 

オートモーティブを早期に利益率5%に

 

2020年度通期の連結業績見通しは、7月30日の公表値に対して、売上高が1000億円増の6兆6000億円(前期比11.9%減)、営業利益が800億円増の2300億円(同21.7%減)、当期純利益が500億円増の1500億円(同33.5%減)へと大幅な上方修正をした。セグメント別の業績見通しについては、梅田CFOが次のように説明する。

 

「アプライアンスは、堅調な販売やコストコントロールなどの進捗を織り込み、売上高、利益とも上方修正した。ライフソリューションズは、コロナ影響の縮小に加えて、空質関連事業での増販、徹底した固定費削減などにより、売上高、利益とも上方修正した。一方、コネクティッドソリューションズは、固定費削減を徹底したものの、コロナの長期化により、アビオニクスなどの回復が遅れており、売上高、利益ともに下方修正した。

 

 

オートモーティブは、自動車市場が当初の想定よりも早く回復したことで売上高を上方修正した。また、車載機器では充電器関連の一時費用を計上したものの、販売回復などにより赤字が縮小。テスラ向けの円筒形車載電池でも合理化や新製品導入効果が寄与して、利益も上方修正(20億円の赤字)した。インダストリアルソリューションズは、車載向けの市況改善やデータセンター向けの伸長により、売上高、利益とも上方修正した」

 

また、中期戦略で掲げた経営体質強化による1000億円の効果ついて、1年前倒しで2020年度に達成する予定で、車載事業の収益改善も固定費削減や生産性向上などで着実に進捗し、21年度以降利益率5%の早期実現に向けて取り組んでいくことを強調した。

 

パナソニックは決算発表前日の2月1日に太陽電池の生産撤退を発表したが、今後発展をしていくためにはさらなる構造改革が必要だろう。なにしろ津賀一宏社長は「34ある事業部のほとんどが成熟産業」と話している。今後は商品を売って終わりではなく、リカーリング・ビジネスなどをうまく結びつけた新たな成長事業を構築していくことが必要だ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。