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2023年5月29日【イベント】

ジャガー・クラシックの復刻車、日本上陸・展示公開

坂上 賢治

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ジャガー・ランドローバー・ジャパンは5月29日、ジャガー・ランドローバー・クラシックが手掛けた復刻車「C-TYPE CONTINUATION」と「D-TYPE CONTINUATION」の日本初上陸を記念し、6月5日~14日に富士モータースポーツミュージアムで公開。更に6月18日には、クラシックカーオーナー向けのミーティングイベント「Ralph’s Coffee & Cars supported by Octane」開催での展示を行う。

 

 

ジャガー・ランドローバー・クラシックとは、世界中のクラシックジャガーとランドローバーの愛好家のために、真正の車両、エキスパートによるサービス、純正部品、そして忘れられないエクスペリエンスを提供する部門。

 

主要拠点のジャガー・ランドローバー・クラシック・ワークスはコベントリーにあり、そこでは高度な技術を持つエンジニア、卒業生、実習生からなるチームが両ブランドの優れたリボーン・レストアや、ジャガーの「Lightweight E-TYPE」、「XKSS」、「D-TYPE」、「C-TYPE」など、オリジナルの仕様での製造再開(コンティニュエーション)を専門に手掛けている。

 

さて今回、日本に上陸した〝C-TYPE〟と〝D-TYPE〟はレース専用車として開発され、20世紀半ばのレースシーンで最も成功したモデルだ。

 

特に「C-TYPE」は、1951年にル・マン24時間耐久レースに初参戦し優勝を果たし、その後1953年にも平均速度105.851マイルの新記録も打ち立て優勝した。また「D-TYPE」はル・マンでの優勝を目指して開発したモデルで3 年連続(1955 年、 1956 年、 1957 年) で総合優勝を果たした。

 

復刻は2022年。1953年のル・マン24時間耐久レースでの勝利から70周年を記念してデビューした。製造では1台あたり、ジャガー・クラシックのエンジニアによる最低250マイルのフィジカルテストと、3,000時間に亘る集中的かつ高度な技術を要する工程を経て製造。完成後は全て1,000マイルの高速耐久テストが実施される。

 

 

今回、展示されるジャガー「C-TYPE CONTINUATION」と「D-TYPE CONTINUATION」は、このジャガーの最も象徴的なレーシングマシンを新たに製作したもの。顧客の要望に応じて台数限定で製造・販売されるスペシャルモデルであり、オーダー毎のパーソナライズにも応える。

 

 

車両製作では、当時の機械製図をベースに最新のCAD技術を駆使して設計し、英国コベントリーにあるジャガー・クラシックで手作業で製造される。製作過程では、1台あたり3,000時間以上掛かる綿密な工程があり、なかでも伝説の直列6気筒XKエンジンのチューニングとバランスを完璧にするためには、エンジン調整だけで9か月を要する。 

 

今回展示される「C-TYPE CONTINUATION」は、1953年のル・マン24時間耐久レースで優勝した車両と同じ仕様で、革新的なダンロップディスクブレーキのセットアップも施した。

 

 

一方の「D-TYPE CONTINUATION」は、1955年仕様のショートノーズと1956年仕様のロングノーズの2種類から選択可能なモデル。どちらのモデルもオリジナルに忠実にしながら耐久性向上のためにボディパネルを厚くし、FIA公認の4点式シートベルト、自動消火システム、スロッシング(振動)を軽減する最新の燃料バッグを装備した。

 

この車両は、1956年に最後の1台が製造されてから62年の時を経た2018年にプロトタイプをパリで開催された「サロン・レトロモビル」で初披露された。

 

先の1955年東寺に「D-TYPE」を100台製作する計画があったが、完成したのは75台のみ。当時の設計を忠実に再現し、残りの25台が製造された。もちろんオリジナルのエンジニアリングドローイングと最先端のCAD技術で設計し、製造は英国コベントリーのジャガー・クラシックで手作業で完成に至る。

 

1955 年仕様のショートノーズ、または 1956 年仕様のロングノーズから選ぶことが可能で、1955年から1957年まで3年連続でル・マン24時間耐久レースを制覇した、ジャガーの歴史上、最も象徴的で美しいレーシングマシンのひとつといわれている。エクステリアは16色のヘリテージカラー、インテリアカラーは9種類が用意される。

 

気になる車両本体価格は、「C-TYPE CONTINUATION」が1,500,000ポンド、「D-TYPE CONTINUATION」は1,750,000ポンドとなる。

 

 

C-TYPE CONTINUATION主要諸元

・エンジン:3.4リッター直列6気筒トリプルウェバーキャブレター
・ギアボックス: 4速マニュアルトランスミッション(当時の仕様と同様のPlessey Dynamics社製の油圧ポンプ付き)
・シャシー:マルチチューブラーフレーム(鋼製)
・サスペンション:
【フロント】独立懸架式サスペンション(ウィッシュボーン式およびトーションバースプリング)
【リア】パンハードロッド
・ブレーキ:ディスクブレーキ(ダンロップ製)
・ホイールおよびタイヤ: 16インチ、60本スポーク、6.50×16タイヤ
・内径(mm):83
・行程(mm):106
・排気量(cc):3,442
・圧縮比: 8:1
・最高出力(bhp/rpm):218.5 / 5,250
・最大トルク(Nm):298
・最高速度(mph):148.8
・0-60mph加速(秒):6.6
・ホイールベース(mm):2,440
・フロントトレッド(mm):1,295
・リアトレッド(mm):1,270
・全長×全幅×全高(mm):3,990×1,640×980(スクリーンを除く)

 

 

D-TYPE CONTINUATION主要諸元

・エンジン:3.4リッター直列6気筒トリプルウェバーキャブレター
【ショートノーズ】DOHC
【ロングノーズ】DOHCワイドアングルシリンダーヘッド
・ギアボックス:ジャガー社製4速マニュアルクロスレシオトランスミッション
・シャシー: レナルズ531チューブラーフレーム
・ボディ:
【ショートノーズ】アルミ製(リベット付き)、運転席側のドア、ショートノーズ仕様のボンネット、
シングルハンプリアクラムシェル、スペアホイールコンパートメント、助手席側のトノ-カバー
【ロングノーズ】アルミ製(リベット付き)、運転席側と助手席側のドア、ロングノーズ仕様のボンネット、
トールフィンリアクラムシェル、スペアホイールコンパートメント
・内径(mm):83
・行程(mm):106
・排気量(cc):3,442
・圧縮比:9:1
・最高出力(bhp/rpm):
【ショートノーズ】295 / 6,000
【ロングノーズ】320 / 6,000
・最大トルク(Nm):352

 

 

一般公開 実施概要
「JAGUAR CLASSIC MUSEUM DISPLAY at FUJI MOTORSPORTS MUSEUM」
開催日:2023年6月5日(月)~6月14日(水)
会 場:富士スピードウェイ 富士モータースポーツミュージアム内
    〒410-1308 静岡県駿東郡小山町大御神645
URL :https://fuji-motorsports-museum.jp/

 

 

「Ralph’s Coffee & Cars supported by Octane」
開催日時:2023年6月18日(日)7:00 – 10:00
会 場:東京プリンスホテル 駐車場
     〒105-8560 東京都港区芝公園3-3-1

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。