NEXT MOBILITY

MENU

2023年1月3日【イベント】

ヴァレオ、CES2023出展概要

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

ヴァレオは1月3日、ラスベガスで開催されるCES2023への参加概要を発表。主にモビリティに係るメカトロニクス・エレクトロニクス・ソフトウェア技術を披露する。特に今年のCESでは自動車への搭載技術のみならず、交通環境下のインフラストラクチャを統合した新しいサービスを提案。自動車の領域を超えた移動の自由を示すとしている。

 

 

なかでも人工知能はもはや運転支援と自動車の自律性に不可欠であり、今日、自律運転は自動車価値の10%を占めているが、来たる2030年にはそれが30パーセントに到達する。

 

そうしたなかでヴァレオはCES2023では「パントマイム」を世界で初公開する。このパントマイムはサイクリストなどの脆弱な道路利用者の動きをアルゴリズムを使用して理解するソリューションだという。自動運転車は、これらの道路利用者の行動を予測する事で、安全で効率的なナビゲーションを確実に行えるようになる技術だ。

 

 

続いて今年のCESで展示されるもうひとつの技術は、自動運転車に不可欠な第3世代のLiDAR(ライダー)向けのレーザースキャナーであるSCALA3LiDARであるという。

 

この第3世代ライダーによりレベル3の条件付き自動運転の認証を得る事が出来るとしている。2021年11月に発表された同技術はステランティスに採用された事を皮切りに2024年からは、その他の自動車ブランドにも搭載される。

 

 

この第3世代ライダーの特徴は、独自のレーザービーム設計によって他の技術に立脚したライダーや、人間の目では見えないものを見る事が出来る事にある。特に照明のない場所に於いて、黒いアスファルトの道路上にある物体を150メートル離れた場所から識別する事が出来る点が大きなアドバンデージだとしている。

 

更に同社は高電圧のEVの電サーマルシステムについても独自の管理システムを搭載したプロトタイプを展示する。例えば充電器に係る機能では、バッテリーの充電に加えて、車両ネットワークにエネルギーを再注入し将来のスマートグリッドにエネルギーを供給する事も出来るようになる。

 

 

前世代と比較して電力密度が40パーセント増加する同プロトタイプは、エネルギー効率が5パーセント向上したSiCインバーターも搭載して目下、米国製の自動車へ向けて鋭意開発が進んでいる。

 

またNVIDIA DRIVE Simプラットフォームを使用し、CESの来場者向けにライティング分野の仮想体験も提供する。これはAIソフトウェアにより車両のスタイルと機能を最適化し、リアルタイムで正確に視覚化出来るものとなっている。

 

 

同システムは、未来のライティングソリューションの仮想開発を加速させる。例えばプロトタイプを可能な限り最新の段階で構築するなど、開発に係るコストを大きく削減する事が出来るとした。

 

更にヴァレオは、より大きなインフラ環境下で、ZutaCoreとデータセンターを冷却するための技術を未来に向けて投下する。今日のデータセンターでは、ますます強力なマイクロプロセッサが使用されており、冷却のためにより効率的なサーマルシステムが必要になっている。

 

ヴァレオは元々自動車のバッテリーセルを冷却するためのサーマルシステムで専門知識を有しており、これをサーバーの熱最適化に活かした。目下、研究中のソリューションは空冷よりもエネルギー消費を5分の1に低減。5倍のコンピューティングパワーを解き放つ事が出来るという。

 

 

最後にヴァレオはCESでスマートポールも初公開する。Equans、GHM、Eclatec、Lacroix Cityと共に開発した同製品は、歩行者、ドロイド、自動運転シャトル、マイクロモビリティ・オペレーターなど交通環境下で包括した安全性を高める。

 

これは、センサーとテクノロジー(超音波ベルトセンサー、路面プロジェクションなどのスマートライティング、充電ステーション、複合材料など)を組み合わせたパッケージで、近距離でのモーション検出、スマートな公共空間のライティングを提供し、市街地での道路横断の安全性向上に寄与する。

 

スマートポールはリアルタイムで周辺を観察し、歩行者が安全に道路を横断出来るを知らせる事が出来る。併せて通過する車の数を記録してリアルタイムの道路交通情報を提供したり、信号機を制御して渋滞を緩和したり (グリーンウェーブ)、駐車スペースの管理を容易にするなど都市やコミュニティに新しいサービスをもたらす事が出来るだろうと結んでいる。

 

ヴァレオ出展ブースは以下2箇所となる。セントラル プラザ – スタンドCP17(ヴァレオブース)、ラスベガス コンベンション センターPiero’s駐車場 -Lot355((ヴァレオブース))の他、ラスベガスコンベンションセンタードライブでも​技術展示がなされる予定だ。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。