NEXT MOBILITY

MENU

2020年11月19日【テクノロジー】

amsのハンズオン検出静電容量センサ、欧州安全規制を準拠

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

amsは11月19日、路上車両のアシスト運転システムの安全性を高める、車載向け静電容量センサを発表した。新型のAS8579は従来トルクセンサが使用されていたステアリングロッドと比較して、より確実に、低コストでステアリングホイール(ハンドル)でのハンズオン検出が可能になる。

 

 

静電容量センサAS8579により、自動車メーカーは国連規制第79号に準拠しやすくなる。同規制は既にEUでは適用されており、2021年4月1日以降、ヨーロッパで販売される車線維持支援システム(LKAS)を搭載した全ての量産車両はハンドルにハンズオン検出を組み込まなければならない。

 

 

AS8579は新しい静電容量技術を実装しており、センサエレメントで測定されたインピーダンスの抵抗性分と容量性分(量/シェア/比率)を分離する。この技術は、現在自動車に使用されている静電容量センシングの充電-放電方式に比べて、手袋装用時や多湿環境におけるドライバーの手の検出精度を向上させる。これはAS8579によって、自動車メーカーが高度運転支援システム(ADAS)の安全性を高めつつ、システムのハンズオン検出コストを削減しやすくなることを意味する。AS8579はハンドルのヒーターエレメントでインピーダンスを感知するが、競合するハンズオン検出のための静電容量システムでは、ハンドルに専用の金属センサエレメントを組み込まなければならない。

 

 

amsの位置センサ事業でマネージャーを務めるアレクサンダー・レンシンク(Alexander Rensink)は、「ADAS技術において、ドライバーは油断せず路上に集中し続けることが必要とされます。失敗がなく、どんな運転条件でも機能する初のハンズオン検出システムの発表により、amsは次世代のADAS搭載車両の安全性を飛躍的に高めました」と述べている。

 

 

 

amsの改良された静電容量センシングがADASの安全性にまつわる疑問を解消

 

自動車メーカーが機能をますます高度化させ実装している適応型クルーズコントロール、渋滞時の停止/発進システム、LKASなどのオートパイロット機能は、車両システムが安全上の脅威を検出し損ねた場合、ドライバーが直ちに車両の制御が可能な状態でなければならない。そこでハンズオン検出は、ドライバーの状況を監視する上で重要な役割を果たし、乗用車および商用車にADASを実装する上で課題となる大きな点をひとつ解消する。

 

 

これまではトルクセンサが用いられていた。しかし、この方式のハンズオン検出はドライバーがハンドルを握った際に生じる連続した微細なぶれを検出するため、誤動作が起きやすくドライバー自身およびその他の道路利用者に危険を与える可能性があった。

 

 

現在、ハンズオン検出において静電容量センシングを使用することが自動車業界のトレンドとなっている。人間による接触をより確実にとらえると同時に、他の方法よりも簡単に低コストで設計、組み込みができる点が評価されている。静電容量センシングの充電-放電手法は、タッチスクリーンやタッチセンシングボタンなどの製品で長年にわたって使用されている、よく知られた技術であるが、ドライバーが手袋をすると検出できなくなり、湿気や湿度により検出信号が誤って生成されるため、この方法による静電容量センシングのハンズオン検出の安全性能は損なわれてしまう。

 

 

自動車メーカーは、I/Q復調に基づく確実な静電容量センシングを実装したamsのAS8579静電容量センサによって、オートパイロットや運転支援機能の安全性を最高水準まで高めることができる。

 

 

AS8579の安全認証には複数のオンチップ診断機能の提供も含まれており、ASIL Grade BまでのISO 26262機能安全規格のサポートを保証する。同センサはAEC-Q100 Grade 1に準拠。4種類のドライバー出力周波数 - 45.45kHz、71.43kHz、100kHz、125kHz - から1つを選択して実行できるAS8579は電磁干渉に対する高い耐性を示している。SSOP24パッケージで提供され、5Vの電源電圧で動作する。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。