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2021年3月2日【自動車素材】

JFEスチール、スチール骨格に樹脂を活用した新部材開発

NEXT MOBILITY編集部

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JFEスチール・ロゴ

 

 

JFEスチールとイイダ産業は3月2日、自動車のスチール製骨格部品に樹脂を活用したマルチマテリアル構造により、超高強度鋼板を自動車のエネルギー吸収部品に適用可能とする構造を開発したと発表した。

 

 

近年、自動車の車体には高い衝突安全性能と軽量化の両立が求められており、構造骨格部品への超高強度鋼板(引張強度980MPa以上)の適用が大幅に増加している。しかし、これらの適用部品はセンターピラーやルーフサイドレールを代表とする、衝突時の変形抑制が必要なキャビンを構成する部品に限られていた(図1)。一方で、衝突エネルギーを部品変形によって吸収する必要のあるフロントサイドメンバーやリアサイドメンバーなどの部品では、超高強度鋼板を適用すると、衝突時の部品座屈や曲げ変形時に部品母材が破断してしまい、必要なエネルギー吸収が得られないため、高強度薄肉化による軽量化が困難であった。

 

 

【図1】自動車におけるエネルギー吸収部品と構造骨格部品

 

 

 

 

同社は、超高強度鋼板をエネルギー吸収部品に適用するため、イイダ産業が開発した高延性・高密着性樹脂を、超高強度鋼板製の部品本体と薄肉鋼板製の部品でサンドイッチした構造を開発(図2)。

 

 

【図2】開発構造

 

 

 

 

樹脂をサンドイッチした結果、車両衝突時にエネルギー吸収部品が座屈・曲げ変形する際の、変形部の曲げRが大幅に拡大し、超高強度鋼板部品が破断しなくなるため(図3)、エネルギー吸収性能が大幅に向上した。引張強度590MPa・厚み2.0mmの部品と比較すると、同一重量のマルチマテリアル化した引張強度1470MPa・厚み1.4mm部品のエネルギー吸収性能は53%向上。さらに、エネルギー吸収性能が同等の場合、25%の軽量化が可能となる(図4)。

 

 

【図3】開発構造における母材破断抑制効果(フロントサイドメンバーモデル部品)

 

 

 

 

【図4】マルチマテリアル化によるエネルギー吸収性能向上と軽量化

 

 

 

同社では今後、この構造の電気自動車への適用も視野に入れ、自動車メーカーとの共同開発を加速していく考え。

電気自動車は、従来のガソリン車などと異なり、エンジンを搭載しておらず、衝突時に変形してエネルギーを吸収するフロントエンドやリアエンド(図1)が短くなるため、効果的にエネルギーを吸収する必要がある。また、エンジンから発生する振動がなくなり、乗員が走行時に発生する振動に敏感になるため、従来以上に振動を低減することが求められる。同構造は、振動を吸収しやすい樹脂のおかげで、走行時に発生する振動を大幅に低減することができるため、高い衝突安全性能と軽量化を両立しながら、快適な乗り心地を提供することが可能になるという。

 

JFEスチールでは、高強度鋼板の開発・製造だけでなく、工程の省力化や商品の性能向上に資するソリューションを提供するため、EVI(Early Vendor Involvement)といわれる、自動車メーカーの新型車開発時に設計初期段階から参画し、新型車のコンセプトに合わせた鋼材使用、部材加工方法、パフォーマンス評価等を提案・開発する活動を積極的に展開している。今後とも、樹脂などの軽量素材を組み合わせたマルチマテリアル構造をはじめとする、それぞれのニーズに合った様々な製品と利用技術を開発・提案し、自動車車体の軽量化によるCO2排出量削減と高性能化に寄与していきたいとのことだ。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。