NEXT MOBILITY

MENU

2023年6月16日【エネルギー】

出光、豪州でリチウム事業を推進するDLI社へ追加出資

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

出光興産は6月16日、豪州でリチウム事業を推進する「Delta Lithium (デルタリチウム/以下、DLI社)」に出資。今年1月に実施した5百万豪ドルの初期出資と合せて、合計出資額が約53百万豪ドル、株式保有比率が15%に達したことを発表した。

 

同社は、電気自動車(EV)をはじめとしたモビリティの電動化や、定置用大型蓄電池需要の拡大に伴うリチウムの需要増加に対応するため、リチウム採鉱の知見を蓄積し、地政学的に安定した豪州でのリチウム鉱石の生産・供給安定化に貢献することを目指すとしている。

鉱物資源に恵まれる豪州には、リチウム・バナジウムといった多くのレアメタルが賦存。DLI社は、西オーストラリア州でリチウム鉱山に関する2つのプロジェクト(Mt.Idaプロジェクト/Yinnetharraプロジェクト)で、リチウムの探鉱活動を推進し、昨年10月、Mt.Idaプロジェクトに於いて、リチウム鉱量12.7Mt、品位1.2%のJORC資源量(※1)があることを公表。リチウム鉱石(スポジュメン)採掘に向けた事業化の検討を進めるための出資者を募った。

 

出光興産は、豪州子会社である「出光オーストラリア(Idemitsu Australia/本社:ブリスベン)」が重要鉱物(クリティカルミネラル)事業推進を目的として設立した「出光ミネラルズオーストラリア(Idemitsu Minerals Australia/出光オーストラリア出資100%)」を通じて、DLI社に追加出資し、既出資分の約2.3%を含めた合計出資額を15%とした。

 

さらに、DLI社との協業に関する検討も進めており、鉱山の操業・マーケティング・資金調達・政府支援政策の獲得活動・鉱区取得活動・購買・精製精錬技術、さらには下流のリチウム化合物製錬事業への進出について、今後協議していく予定だと云う。

 

 

出光興産は、今回の出資は、バナジウム鉱山プロジェクトを進めるCritical Minerals Group社、Vecco社への出資(※2)に続く、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換に必要なレアメタル事業への進出を進める動きの一環であるとしており、今後も、豪州での約40年に亘る石炭鉱山操業で培ってきた事業基盤を活かして、石炭鉱山操業と親和性があり、低炭素社会を実現する上で不可欠なレアメタル事業への参入を進めていくとしている。

 

※1:JORC(Joint Ore Reserves Committee Code・鉱物資源量および鉱石埋蔵量の報告に関する大洋州規程)は、オーストラリア証券市場ASXに上場する資源関係企業が探鉱結果や鉱物資源量の報告を行う際の基準資源量。
※2:(出光興産のニュースリリース)豪州でのバナジウム探鉱プロジェクトに参画(2022年9月27日付)豪州でバナジウム事業を推進するVecco社への出資を拡大(2023年3月24日付)

 

 

[デルタリチウム社の概要]

 

– 会社名:Delta Lithium Limited
– 所在地:Suite 4, 6 Centro Avenue, Subiaco, Perth, WA 6008, Australia
– 代表:David Flanagan

– プロジェクトの概要:

・プロジェクト名:Mt. Ida Project / Yinnetharra Project
・鉱山場所:西オーストラリア州

 

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。