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2021年11月4日【テクノロジー】

ノリタケと東京ガス、水素LiBの電極材用連続焼成炉を開発

NEXT MOBILITY編集部

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ノリタケカンパニーリミテド(以下、ノリタケ)と東京ガス、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(以下、TGES)の3社は、11月4日、特殊セラミックラジアントチューブバーナを採用した世界初の水素燃焼式リチウムイオン電池(以下、LiB)の電極材用連続焼成炉(ローラー搬送で連続で通過させ熱処理を行う焼成炉)「C-SERT-RHK-Nero(C:セラミック + SERT:シングルエンドラジアントチューブバーナ + RHK:連続焼成炉 + Nero:ギリシャ語で水の意味<水素燃焼型>」を開発したと発表した。

従来、水素専焼による高温焼成はCO2が発生しない一方、特に狭空間においてNOX(窒素酸化物)の発生抑制、安定した加熱などに課題があったと云う。

 

今回3社は、ノリタケの焼成炉技術(食器製造で培ったローラーハースキルンによる大量技術)と東京ガス・TGESの水素燃焼技術(省エネバーナで1,200本の販売実績)を融合することで、この課題を解決。水素を燃料に、LiB電極材の製造工程で求められる高温域(1,000℃以上)での安定した熱処理が可能な、焼成時のゼロカーボンを実現する革新的製品、水素燃焼式LiB電極材用連続焼成炉「Nero」を商品化した。

 

ノリタケ、東京ガス、TGESは、Neroの高効率な加熱技術を、LiB電極材に限らず、高温域での安定した熱処理が求められる自動車(ホットスタンプ等)や5G向け電子部品などの用途にも応用し、様々な製品の加熱工程の脱炭素化に貢献するとしている。

 

 

 

[製品の特長]

1.水素燃焼式の採用によるゼロカーボンを実現

 

2.水素燃焼時のNOX(窒素酸化物)発生を抑制

・水素専焼による高温焼成は燃焼速度が速く、火炎温度が高くなることから、特に狭空間においてNOXが発生しやすい課題がある中、独自の燃焼技術により、NOX発生の抑制が可能。

 

3.天然ガス燃焼時と同等の温度精度を実現

・耐熱・耐蝕性能(高温で発生する汎用セラミックの寿命は短くする酸化現象)・耐リチウムアタック性(リチウム溶融で炉壁等を損傷させる現象)の高い特殊セラミックを発熱体(ラジアントチューブ)としてバーナに採用し、従来の電気加熱式の課題であった耐久性を解決。

 

・独自の燃焼技術により、温度分布の平準化やスムーズな温度追従性、酸素濃度の維持など安定加熱を可能とし、天然ガス燃焼時と同等の温度精度を水素燃焼で実現。

 

4.様々な高温域での熱処理への応用が可能

・LiB分野:正極材、負極材、次世代電池材。
・自動車分野:超高張力鋼板(ホットスタンプ)、焼結部品、プラグ、センサ、触媒、磁性材。
・通信機器分野:5G向け電子部品、フェライト、セラミック基板、ターゲット材 等。

 

5.水素・天然ガス混焼への対応

・現状は高価な水素を天然ガスと混焼することで、エネルギーコストを低減しながら、天然ガス専焼と比べCO2排出量の削減が可能。

 

 

 

[商品ラインナップ]

■都市ガス燃料型 C-SERT-RHK

・電気式と比較し最大40%エネルギーコストの削減が可能。
・Nero同様特殊セラミックラジアントチューブバーナにより高耐久性を実現。

 

■電力対応型C-SERT-RHK-Fos(ギリシャ語で光の意味、高耐食性ヒーター型を差す)

・Nero同様特殊セラミックラジアントチューブの採用により従来の電気式と比較して高い耐久性。
・天然ガス・水素ユーティリティー確保が困難な場合を想定し、電力にも対応。

 

 

[会社概要]

<ノリタケ>

– 社名:株式会社ノリタケカンパニーリミテド
– 創立:1904年1月1日
– 代表者:代表取締役社長 執行役員 加藤 博
– 資本金:156億3,200万円
– 売上高:1,070億円(2020年度[連結])
– 従業員数:5,029名(2021年3月31日現在)
– 所在地:愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36号
– HP:https://www.noritake.co.jp/
– 主な事業:

工業機材事業(研削砥石などの製造・販売)、セラミック・マテリアル事業(セラミック関連商品などの製造・販売)、エンジニアリング事業(工業炉などの製造・販売)、食器事業(陶磁器食器などの製造・販売)。

 

<東京ガス>

– 社名:東京ガス株式会社
– 創立:1885年10月1日
– 代表者:代表執行役社長 内田 高史
– 資本金:1,418億円
– 売上高:17,651億円(2020年度[連結])
– 従業員数:6,882名(2021年3月31日現在)
– 所在地:東京都港区海岸1-5-20
– HP:https://www.tokyo-gas.co.jp/index.html
– 主な事業:

ガス事業、電力事業、海外事業、エネルギー関連事業、不動産事業など。

 

<TGES>

– 社名:東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
– 創立:2015年4月1日
– 代表者:代表取締役 社長執行役員 小西 康弘(東京ガス株式会社 常務執行役員)
– 資本金:100億円(東京ガス株式会社100%出資)
– 売上高:1,393億円(2020年度)
– 従業員数:1,190名(2021年4月1日現在)
– 所在地:東京都港区海岸1-2-3汐留芝離宮ビル
– HP:https://www.tokyogas-es.co.jp/
– 主な事業:

LNG受入基地、高中圧導管、ガス供給設備、発電設備、エネルギー利用設備等のエネルギー関連設備の計画・設計・施工・オペレーション・メンテナンス、関連する機器等の販売に関する事業、マッピング・周辺業務に関する事業(ソフト開発・販売、データ構築・更新、機器販売等)、オンサイト・エネルギーサービス事業、地域冷暖房事業など。

 

■(ノリタケ)脱炭素工業炉技術情報:https://www.noritake.co.jp/noritake_dift/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。