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2022年10月13日【テクノロジー】

ソニー・ホンダモビリティが発足。設立発表会見を実施

NEXT MOBILITY編集部

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ソニー・ホンダモビリティ(SHM)が10月13日、設立発表会見を開催した。

 

新会社は、ソニーグループ(以下、ソニー)と本田技研工業(ホンダ)が共に50%ずつ出資して設立した、高付加価値型のエレクトリック・ビークル(EV)の共同開発・販売とモビリティ向けサービスの提供を行う合弁会社。多様な知を繋げ、最先端テクノロジーを追求するMobility Tech Company(モビリティー・テック・カンパニー)として、人の感性や行動へ働きかけていくモビリティの革新を実現していくと云う。

 

会見では、代表取締役会長兼CEOの水野泰秀氏と、代表取締役社長兼COOの川西泉氏によるスピーチが行われ、経営の方向性、モビリティとサービスの方向性やその投入計画、技術的な取り組みなどについて語られた。

ホンダ+ソニー・ロゴ

1. 設立の経緯

 

・ソニーとホンダは3月4日、モビリティ分野に於ける戦略的提携に向けて基本合意し、6月16日に「ソニー・ホンダモビリティ」の設立に関する合弁契約を締結。高付加価値型のエレクトリック・ビークル(EV)の共同開発・販売と、モビリティ向けサービスの提供を合わせて事業化することで、モビリティ業界に於ける変革をリードしていく点で合意した。

 

 

2.経営の方向性と存在意義

 

・ソフトウェアを中心とした新しい技術の投入や、他社とのパートナーシップ構築を積極的に行い、新しいアイデアを採用することで、高付加価値型の商品やサービスの提供、客との新しい関係の構築にチャレンジし、「Mobility Tech Company」を目指す。

 

・両社の知見だけでなく、共感・共鳴するカスタマー、パートナー、クリエイターの知を結集し、オープンに参加できる機会や場の醸成に積極的に取り組む。

 

・企業パーパス(存在意義)は「多様な知で革新を追求し、人を動かす」。

 

・知を繋げ、最先端のテクノロジーへの挑戦を行い、人の感性や行動へ働きかけていく、人を動かしていくモビリティの革新を実現していく。

 

 

3.客との接点、商品投入計画

 

・商品の販売やアフターサービスのみならず、バリューチェーン全体で客との関係を長く深くするための、リアルとデジタルを融合させた新しいサービスを提供。

 

・商品の所有に関わらない、ブランドに共感する仲間が集うコミュニティづくりを目指し、様々な産業を支えるパートナーと新たな体験価値創出に向けた協業に取り組んでいく。

 

・販売は、オンラインを中心に行う予定。客とダイレクトに繋がり続けるネットワークを構築。

 

・商品開発プロセスへの参加を呼びかけ、販売後もパーソナライズされた顧客体験を個々に提供し続ける。

 

・SHMによる第1弾の商品は、2025年前半から先行受注を開始し、同年中に発売を予定。デリバリーは、先ず北米(2026年春)で、その後日本(2026年後半)で行う計画。

 

・生産拠点はホンダの北米工場を予定。

 

4.モビリティとサービスの方向性、技術的な取り組み

 

・ソニーとホンダがこれまで個々で検討してきた、モビリティの進化への貢献・リードという考えをベースに、SHMとしての高付加価値型EVのコンセプトを3つの“A”(①Autonomy(オートノミー):進化する自律性/②Augmentation(オーグメンテイション):身体・時空間の拡張/③Affinity(アフィニティー):人との協調、社会との共生)に集約。

 

 

①Autonomy:進化する自律性

 

– 安心安全技術の上に、快適な移動空間を提供。

– 特定条件下での自動運転機能、レベル3搭載を目指すと同時に、市街地等、より広い運転条件下での運転支援機能、レベル2+の開発にも取り組む。

– ハードウェアとして合計800TOPS(*1)以上の演算性能を持つ高性能SoC(*2)を採用予定。

 

②Augmentation:身体・時空間の拡張

 

– 新たなHMI(*3)を提案し、クラウドで提供するサービスと連携することで、ユーザーごとにパーソナライズされた車内環境を実現。ユーザーに運転以外の楽しみを提供する。

– リアルとバーチャルの世界を融合していくことで、移動空間をエンタテインメント空間、感動空間へと拡張。メタバースなどデジタルをフルに活用し、新しいエンタテインメントの可能性も追求。

– HMI/IVI(*4)システムには最新のSoCを2個搭載。また高性能なAD/ADAS(*5)ECU(*6)と組み合わせて、従来のECUをハイパフォーマンスな統合ECUに集約していく。

 

③Affinity:人との協調、社会との共生

 

– カスタマーだけでなく、自動車産業や様々な産業を支えるパートナー、そしてモビリティに於ける新しいエンタテインメントの創出に共にチャレンジするクリエイターと、オープンで自由な環境を作っていく。

 

・サービスの方向性は、双方向性のあるモビリティ社会と、新しいエンタテインメントの創出。車載ソフトウェアからクラウド上のソフトウェアまで一貫した統合的なフレームワークを用い、モビリティを移動体験サービスと捉え、サービス全体のアーキテクチャを設計していく。

 

 

*1)TOPS:1秒あたりの演算処理回数(兆回)の単位。Tera Operations Per Second の略語。
*2)SoC:装置やシステムの動作に必要な機能のすべてを、一つの半導体チップに実装する方式。System on a chipの略語。
*3)HMI:人と機器をつなぐ装置や手段の総称。Human-Machine Interface の略語。
*4)IVI:車載インフォテインメント(In-Vehicle Infotainment)の略語。
*5)AD/ADAS:自動運転(Automated Drive)、先進運転支援システム(Advanced Driving Assistant System)の略語。
*6)ECU:車両に搭載される電子制御ユニット(Electronic Control Unit)の略語。

 

 

[会社概要]

 

– 社名:ソニー・ホンダモビリティ株式会社(Sony Honda Mobility Inc.)
– 所在地:東京都港区
– 資本金:100億円
– 出資比率:ソニーグループ株式会社 50%、本田技研工業株式会社 50%
– 役員構成:

代表取締役 会長 兼 CEO:水野 泰秀
代表取締役 社長 兼 COO:川西 泉
取締役 副社長:山口 周吾
取締役 専務:岡部 宏二郎
取締役(非常勤):小澤 学(本田技研工業株式会社)
取締役(非常勤):堀井 直也(ソニーグループ株式会社)

■ソニー・ホンダモビリティ:https://www.sony-honda-mobility.com/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。